やがて哀しき復讐者

やがて哀しき復讐者

原題 報應

製作 2011年

めぐちゃんの満足度 ☆☆☆☆

 

羅永昌(ロー・ウィンチョン)監督のサスペンス作品です。

 

不動産会社の社長チウ(黃秋生)の長女デイジー(文詠珊)が何者かに誘拐されるという事件が起こります。

 

デイジーは素行が悪く、悪友とドラッグに溺れる日々を過ごしており、再婚したチウの妻(張可頤)とは関係が悪く、父親のチウとも衝突が絶えません。
デイジーの素行の悪さを鑑みたチウは今回の事件を狂言誘拐だと思っています。

 

しかしチウの携帯電話にデイジーが監禁されている動画が送られて来たため、チウの妻とボディーガードのチョー(任賢齊)は警察に相談することを勧めます。

 

チウは身代金を用意し、誘拐犯から指定された場所へ向かいます。
バイクに乗った人間がチウの車に積んであった身代金を奪って逃走します。
身代金は奪われてしまいましたが、デイジーが戻って来ることはありませんでした。

 

チョーはデイジーを見つけるために手がかりを探します。
チョーの昔の友人から賭博場にデイジーの腕時計を持っている男(林敬剛)がいるという話を聞きます。
男は腕時計を質に出していて、金を返済して腕時計を取り戻します。

 

チョーは腕時計の男を尾行して捕まえると、男は金で雇われてデイジーを誘拐して首謀者に引き渡し、デイジーを引き渡す際に彼女の腕時計を拾ったと言います。
男にデイジーの居場所を尋ねると、デイジーはすでに殺されていました。
駆けつけたチウは正気を失い、シャベルで男を殺害します。

 

デイジーの火葬を終えると、チウは首謀者を捜して復讐することを考えます。
デイジーが死んだことはチョーと2人だけの秘密にします。

 

チョーとエイミー(盧巧音)はチウのボディーガードの仕事を辞め、チョーはチウに代わって犯人を捜します。
チョーはデイジーが通っていたバーを訪れた際、首に刺青のある男がいたことを思い出し、チウのドライブレコーダーの映像を確認すると、バイクに乗って身代金を奪った男の首には同じ刺青がありました。
刺青の男タイホン(恭碩良)は腕時計を奪った男の仲間で、チョーはタイホンを追います。

 

チョーはタイホンを捕まえて拷問すると、パン(林利)という男が首謀者であることを白状します。
チョーはパンを尾行すると気づかれて逃げられます。
資材置き場で撃ち合いになり、チョーはパンを追いつめると金銭目的でデイジーを殺害したことを認めます。
チョーはパンを殺害します。

 

デイジーの死はチウの妻にも知られてしまい、妻は家から出て行きます。
精神が不安定な状態が続いているチウは睡眠薬を貰いに病院へ行くと、エイミーがデイジーの発作を止める薬を取りに来たと医者から告げられます。
何と今回の誘拐事件にエイミーも絡んでいたのです。

 

チウとチョーはエイミーのマンションへ押し入って彼女を問いつめると、エイミーはお金のために誘拐事件に加担したことを認めます。
しかしパンがデイジーを殺すことは想定外であり、エイミーは罪悪感に苛まれていたのです。
エイミーには幼い子供がおり、怯える子供の姿を見たチウとチョーはエイミーには手を下さずに立ち去ります。

 

真相が明らかになり、誘拐事件は幕を閉じます。

 

う~ん、何が言いたいのかよく分からない作品だったなぁ(*_*;)
とにかくツッコミどころがたくさんあります。

 

ジョニー・トー製作ですが、今回は杜琪峯ファミリーの羅永昌(ロー・ウィンチョン)が監督を務めています。
正直、ジョニー・トー製作なのにこれでいいのか!?と思ってしまいました。

 

機能していないエピソードがいくつか見受けられます。
デイジーが誘拐された時にチウの妻が協力を求めようとするマー警察官という存在、一切登場しません。
チウの部下が交渉している地上げの話もストーリーに全く関係ありません。
チウのワンマンな性格を印象付けたい演出なのでしょうが、それならば序盤で1度見せれば十分で、度々登場する意味は無いと思います。
もし地上げの話を取り入れるなら、本筋と関連付ければ良かったのになぁ。

 

誘拐犯がずさん過ぎます。
首に刺青がある男は身代金を奪う際に首を隠していないし、ドラレコに映ったら一発でバレるじゃん!!
誘拐犯の動機が単なる金銭目的だったのも物足りないなぁ。
金銭目的の動機が悪いというわけではなく、それに至るドラマが欲しいです。

 

そしてエイミーが誘拐事件に関与しているという唐突感。
意外性でも何でもなく唐突過ぎますし、動機がよく分からない。
劇中で観ている限りチウのボディーガードって高給そうだし、退職しても退職金はたくさん出そうだし、お金に困っているようには思えないんですよね。
借金がたくさんあるとかそういうエピソードでもあれば納得できるのですが…。

 

あと真相をそのまま映像で説明する演出が少々くどかったです。
先にデイジーが死んでいることを観客に見せる演出ならなぜ死んだのかというエピソード作りが非常に大事だと思います。


父親と娘の関係性、息子の進路の話、離婚したチョーの妻と息子の話など、ドラマ性のあるエピソードがあるのですが、表面的で心を掴まれなかったです。
グレてドラッグに溺れるデイジー
地上げを強行しようとするワンマン社長のチウ。
被害者なのに同情できない要素が多いので、感情移入できなかったのも残念だったなぁ。

 

色々言いたい放題ですみません…。

 

ちなみにチウの息子役の黃一一(ウォン・ヤッヤッ)はアンソニー・ウォンの実の息子なんですよね。
ポリス・ストーリーでおなじみの曹查理(チャーリー・チョウ)が出演されていたのは嬉しかったです♪
かわいそうな役なんですけどね(T_T)