燃えよデブゴン10 友情拳

燃えよデブゴン10 友情拳

原題 贊先生與找錢華

製作 1978年

めぐちゃんの満足度 ★★★★★

 

洪金寶(サモ・ハン・キンポー)が監督、武術指導、主演を務めるカンフー作品で、日本では「燃えよデブゴンシリーズ」として位置付けられています。

 

本作は詠春拳をテーマにした作品で、詠春拳は尼僧の「嚴詠春(イム・ウィンチョン)」が創設した武術で、「嚴詠春」から彼女の夫である「梁博儔(リョン・ポーチャウ)」に伝わり、「梁博儔」から商人の「梁蘭桂(リョン・ランクワイ)」に伝わり、「梁蘭桂」から武術家であり粵劇役者の「黃華寶(ウォン・ワーボウ)」と「梁二娣(リョン・イータイ)」に伝わり、「黃華寶」と「梁二娣」から「梁贊(リョン・チャン)」、「陳華順(チャン・ワーソン)」、「葉問(イップ・マン)」と伝わって行きます。
昔の話なので伝説的な部分もあるそうです。
間違っていたらご指摘ください。

 

老人のモー(馮克安)は両替屋を営んでいますが裏では悪事を働いている悪党です。
表向きは善人を装っているモーは佛山の町長の座を狙っていますが、詠春拳の使い手で医者でもあるツァン(梁家仁)の存在を厭わしく思っています。

 

モーの両替屋で働くファー(卡薩伐)は懐に入っていた手形を届けにモーの屋敷を訪ねると、モーが町長(崔戊雄)を暗殺しようと計画している話を聞いてしまいます。

 

ファーは急いで町長の元へ向かいますが、夜だったので町長に会うことができず、町長の助役(石天)が応対します。
助役は明日町長と会わせることをファーに約束しますが、助役はモーと結託しており、陥れられたファーはモーの仲間のライ(楊成五)、チャオ(李海生)、ハワイ虎(楊威)、そして刺客4人衆に襲われます。
腕に覚えがあるファーですが1人では太刀打ちできず、いったん退散します。

 

ツァンの弟子であるデブ春(洪金寶)は怪我をしているファーを発見すると、ツァンの所へ連れて行きます。

 

モーはファーをおびき寄せるためにファーの母親を殺害します。
ファーの母親が死んだことを知るデブ春ですが、母親を心配するファーの様子を見ると言い出すことができません。
町長が命を狙われていることをファーから聞いたデブ春は町長に掛け合いますが、全く相手にしてもらえません。

 

町長はライたちに取り囲まれると町長の護衛(劉家榮)が戦います。
護衛は刺客の4人衆を倒してチャオと戦いますが、チャオの体には刀が効きません。
ハワイ虎に追いつめられた町長は殺されてしまいます。
刀が折れると素手で戦う護衛ですが、ライの蹴りを食らった護衛は殺されてしまいます。

 

町長は失踪したことにされてしまい、新しい町長が決まるまでモーが町長代理を務めることになります。

 

ファーの母親が死んだことを隠し通すことができず、デブ春は本当のことをファーに伝えます。
モーの一味に殺されたのだと確信したファーは復讐を誓いますが、相手は強敵なのでツァンに相談したほうがいいとデブ春は提案します。

 

町長を始末しましたが、モーはツァンの所にいるファーの存在を懸念しています。
ライたちは茶樓にいたツァンの所へ行ってファーを引き渡すように脅しますが、ツァンが断るとライたちはツァンを襲います。
モーがやって来て止めに入りますが、ツァンは善人を装っているモーの本性を見抜いています。

 

ファーは怪我が完治するとツァンに弟子入りを志願しますが、ツァンは仇討ちのために詠春拳は教えられないと断ります。
するとデブ春がファーに詠春拳を教えますが、デブ春のいい加減な教え方に痺れを切らしたツァンは結局自分でファーに詠春拳を教えることになり、修行が始まります。

 

厳しい修行に耐え、徐々に詠春拳を身につけていくファーに対してツァンは相手に弱点のツボがあることも教えます。
力だけではなく動きの素早さや動体視力や反応動作なども鍛えます。

 

日課である茶樓を訪れたツァンの所に物乞いの男(鍾發)が近づいて来ます。
男は突然ツァンを刃物で刺すと、床が外れてツァンは1階へ落下します。
ツァンは物乞いの男と顔馴染みだったため、ツァンは警戒を怠ってしまったのです。
抵抗するツァンですが、不意打ちを食らっているのに加えてモーの一派の執拗な猛攻に太刀打ちできず、ツァンは殺されてしまいます。

 

ライたちはツァンの遺体を持って武館に押し入ります。
ツァンの弟子のサイ(錢月笙)がハワイ虎に殺され、デブ春はファーとツァンの姪のフォン(張敏婷)を逃がし、死んだふりをしてやり過ごします。

 

モーは正式に町長に就任します。
デブ春はファーとフォンと協力してモーの仲間たちを倒そうと考えています。
フォンは二刀流(八斬刀)でハワイ虎を、デブ春は挟み手(黐手)でライを、ファーは6カ条半の棒術(六點半棍)でチャオを狙います。

 

しかしデブ春がハワイ虎をライと間違えて接触してしまったため、仕方なくデブ春はハワイ虎と戦います。
槍を使うハワイ虎は強敵で、追いつめられたデブ春はハワイ虎を竹藪へ誘います。
狭い竹藪では槍が使いづらく、ハワイ虎はデブ春を捉えるのに苦戦します。
暗闇の中、詠春の目隠し修行で培った技を利用したデブ春はハワイ虎を見事に捉えて倒します。

 

フォンとファーはモーの屋敷へ向かい、ライとチャオの2人と戦います。
蹴り技が強烈なライでしたが、ファーはライの蹴りを封じ、突きを放ってライを倒します。

 

ファーはチャオと戦うフォンに加勢すると、助役が2人の殺し屋たち(孟海、錢月笙)を連れて来ます。
フォンは2人の殺し屋たちと戦いますが殺されてしまい、駆けつけたデブ春が刀で殺し屋たちを切り刻んで倒します。

 

鋼の体を持つチャオになかなか致命傷を与えることができないファーですが、弱点である足の甲のツボと急所を狙って竹で打撃を与え、均衡が崩れたチャオに回し蹴りを放って倒します。

 

デブ春の前に助役が立ちはだかり、クネクネとした動きでデブ春を翻弄します。
助役は頭突きでデブ春を攻撃しますが自滅して気を失います。

 

姿を現したモーは仮面を取ります。
なんとモーは老人になりすましていた若者だったのです。
蟷螂拳を使うモーは強敵で、助役を倒したデブ春はファーに加勢します。
デブ春とファーは攻撃と防御を分担して戦い、ファーがモーともみ合っていると、デブ春は倒れているフォンの髪から髪留めを抜き取ってファーの腰に髪留めを刺すと、刺された衝撃でファーの拳がモーに命中して吹っ飛びます。
よろけるモーに対し、ファーは飛び蹴りと手刀打ちで止めを刺します。

 

安定のカンフーアクションがとても楽しめる作品なのですが、本作は修行のシーンで詠春拳について言及していて、興味深くて面白いです(*'ω'*)
詠春拳の特徴と言われると、攻撃と防御が同時に行えること、接近戦に適していること、黐手(チーサウ)といった腕を中心とした動き、棒を用いた六點半棍(ロッディムプンクワン)、短刀を用いた八斬刀(パーチャントウ)などが思い浮かびますが、もちろん流派によって細かい違いがあると思います。

 

今回日本語字幕で「梁贊」は「ツァン」と表記されていて、日本語字幕に準じて表記しました。
「贊」は「チャーン」って感じの発音なんだよね。

「鎮長(チャンチョン)」は日本では馴染みが無い言葉なので、日本語字幕に準じて「町長」と表記しました。

「師爺(シーイェー)」はそのままでも伝わるかと思ったのですが、一応日本語字幕通り「助役」と表記しました。

 

序盤の茶樓でなぜかサミュエル・ホイの「佛跳牆(ファッティウチョン)」という曲が流れます!!
※ちなみにこの曲はエルヴィス・プレスリーの「Don't Be Cruel(冷たくしないで)」のカバー曲です。
「佛跳牆」とはフカヒレやアワビなどを使用した高級スープのことで、「美味しそうなスープの香りに僧侶ですら壁をジャンプしてやってくる」という意味からつけられたそうな。

 

ツァンが仇討ちは詠春拳の精神に反するとか言っておきながら、木人椿の部屋に思いっきり「仇」っていう文字が書いてあるのが(笑)

 

まだブレイクする前の元彪がモーの手先の役で出演されています(*^^*)
ダブルも結構行っていて美しい動き(*´Д`*)

 

楊威の「ハワイ虎」という役名の意味がよく分からん(?_?)
なんでハワイ??

 

モーの刺客の4人衆が途中でウィルソン・チンからマースに入れ替わってた!!
あとビリー・チャンとラム・チェンインはモーの刺客役の他にツァンの弟子役もされていました。
チン・ユッサンはツァンの弟子役と助役が雇った殺し屋役の2役をされていましたね。

 

石天さんは今回もへっぽこかと思いきや意外と健闘していました(笑)

 

じいさんかと思っていたモーが実は若者だったという衝撃といったら(笑)

 

フィクションとはいえ、梁贊があんな無残な殺され方をするという描写は当時末裔から苦情が来たりしなかったのかな??
ちょっと心配(^^;)