傾城の恋

傾城の恋

原題 傾城之戀

製作 1984年

めぐちゃんの満足度 ★★★★

 

張愛玲(アイリーン・チャン)の原作を映像化した許鞍華(アン・ホイ)監督によるロマンス作品です。

 

1940年の上海
8年前に夫と離婚したスウ(繆騫人)は実家に戻って暮らしていましたが、旧家の養女だったスウは家族と折り合いが悪く、義姉(焦姣)に小言を言われる日々に嫌気が差し、疎外感を抱いていました。

 

ある日、シュウ夫人(馬海倫)はスウの義妹のルオ(錢慧儀)に縁談話を持ってきますが、義姉はルオの縁談話には消極的です。
シュウ(鍾景輝)はスウの別れた夫の親戚で、シュウ夫人はスウを慰めて再婚を勧めます。

 

ルオのお見合い相手は良家出身のファン(周潤發)でイギリス留学から帰国して多くの縁談話が舞い込みましたがファンは全て見送っています。
ルオの縁談話でしたが、ファンはルオではなく付き添いのスウを気に入ります。
幼い頃に観た京劇がきっかけで踊りに興味があったスウはダンスが得意で、ダンスの相手をしたファンはしおらしいスウを見初めてしまいます。

 

離婚した夫に苦労したスウは男性不信となり再婚に積極的ではありません。
シュウ夫人が香港へ行くという話を聞いたスウは家から出て行く良い機会であることと、ファンから離れるためにシュウ夫人と共に香港へ向かいます。

 

滞在先の香港のホテルでファンと再会したスウは戸惑いますが、スウに好意を抱いているファンは積極的にスウを口説きます。
ファンは海外留学経験があっても保守的で中国の文化を重んじており、慎み深いスウを気に入っています。
ファンのアプローチに対してスウは気を許せずにいましたが、一緒に過ごす時間が増えてくるうちに徐々に心を開いていきます。
それでもあと一歩が踏み出せないスウは上海へ戻ることを決意します。

 

しばらくすると上海に戻ったスウの元にファンから手紙が送られてきます。
手紙には香港へ戻ってきてほしいと綴られていて、悩んだ末にスウは再び香港へ向かいます。
スウはファンを愛し、ついに2人は結ばれます。

 

ファンは仕事の都合でしばらく香港を離れることになり、長い間会えなくなればスウは互いが心変わりしてしまうのではないかと不安になります。
しかしほどなくして太平洋戦争が起こり、ファンは急遽仕事の予定を取りやめます。
日本軍の攻撃が激化し、自宅の建物が爆撃されるとファンはスウを連れて逃げます。

 

イギリスの軍用トラックに乗って避難したスウとファンは食堂でひと息つきますが、新たな攻撃が始まり、イギリス軍は女性と子供を優先的に地下トンネルへ避難させます。

 

1941年
イギリス軍は日本軍に降伏します。
日本軍に占領された香港でスウとファンは一緒に暮らし始めるのでした。

 

初見ではハマらなかった作品なのですが、久々に鑑賞してみたら結構良いかもしれない(*゚ω゚*)
初めて観た時は繆騫人(コラ・ミャオ)演じるスウの卑屈な態度が歯がゆくて、あと普段大衆的な作品を観ることが多い私は文芸的な作品に正直抵抗感がありました。(最近は文芸的な作品にも挑戦するようになってみたり)
本作はロマンス作品なのですが、久々に鑑賞するにあたって1940年代の中国の風俗を考慮してみると見え方が変わりました。
先入観に囚われて食わず嫌いはもったいないですね( ;∀;)

 

封建的で体裁を気にする風潮、嫁に行ったらひたすら女が我慢する、親戚に嫌味や小言を言われる(中国も昔の日本と似てるね)個人主義より団体主義、イギリスの植民地になった香港がその後日本軍に占領されるという激動の時代など、ロマンス要素よりも当時の世相に重点を置いているのかもしれない。
当時の時代背景に造詣が深かったり中国語の真意が分かれば本作はもっともっと楽しめるかと思います。
こればっかりは80年代生まれの日本人の私にはちょっと難しいね(;´∀`)
もっと勉強します(._.)

 

スウとファンは結ばれましたが、もし太平洋戦争が起こらずにあのままファンが仕事で香港から離れていたらどうなっていたんだろう。
戦争が結びつけた恋…う~ん複雑ですね。

 

甘美なラブストーリーってちょっと気恥ずかしくなってしまうのですが、やっぱ發哥はイイ男過ぎてメロメロ~(*´Д`*)
あんな風に猛烈アタックされたらどうしよう(≧∇≦)(されません!!)

 

焦姣さん演じる意地悪な義姉がめっちゃハマってたなぁ。
ああいう嫌味を言うおばさんいそう(;^ω^)

 

「傾城(けいせい)」という言葉の意味がよく分からなかったので調べてみると、「美女・遊女」を指す言葉だそうで、漢書に「国が傾くほどの絶世の美女」と表現されていたのが言葉の由来らしいです。
私はスウ役のコラ・ミャオが絶世の美女だとは感じ難いですが(すみません、でも感じ方は人それぞれです)、いじらしくて慎み深い演技や表情などがスウのキャラクターにマッチしていてそういう意味では適役かもしれません。

 

私は広東語音声で鑑賞しましたが、役名は普通話読みで記載しました。