ヒーロー・ネバー・ダイ

ヒーロー・ネバー・ダイ

原題 眞心英雄

製作 1998年

めぐちゃんの満足度 ★★★★★

 

杜琪峯(ジョニー・トー)監督のハードボイルド作品です。
私は初めてこの作品を観た時「こんなかっこいい映画があるのかー!!」と度肝を抜かれました。

 

ペイ(任世官)は対立するチョイ(方平)の組織との抗争が激化し、二大勢力による抗争は収拾がつかない事態に陥っていました。
チョイの組織の幹部であるチャウ(劉青雲)は構成員たちと共にペイの命を狙いますが、ペイの組織の幹部であるジャック(黎明)と構成員たちの護衛によって謀殺は失敗に終わります。
相談役のフェイ(王天林)はジャックとチャウの間に入り、話し合いを行うように促します。

 

ジャックとチャウはポウ(元彬)が営むバーにやって来ますが、互いに譲らず話し合いになりません。
チャウの恋人のリン(梁藝齡)とジャックの恋人のケイ(蒙嘉慧)が現れ、彼女たちが持ってきたワインの内の一本を開栓し、もう一本はボトルキープにします。

 

抗争は集結せず、ペイは占い師に縋るまでに追いつめられます。
チョイはペイがタイの大ボスと接触する前に始末しろとチャウに命じ、チャウはタイへ入国します。
同じくタイへ入国していたジャックはペイを護衛しながら宿へ向かいます。

 

日が暮れるとチャウと構成員たちが宿を襲撃し、ペイの命を狙います。
激しい銃撃戦となり、対峙したジャックとチャウは撃ち合い、互いに銃弾を浴びて倒れます。
ペイは倒れたチャウの脚に銃弾を撃ち込み、宿から立ち去ります。

 

ジャックとチャウはタイの病院へ搬送され、2人は一命を取り留めますが多くの構成員たちは命を落とします。
その後、タイの大ボスの命令によりペイとチョイの和解が成立し、巨大組織が誕生します。

 

ペイは不要になったジャックを消すために病院へ刺客を送ります。
ジャックのお見舞いに来ていたケイは刺客の存在に気づくと、ストレッチャーに乗せたジャックを連れて逃げ出します。
刺客に追いつめられたケイはジャックを遺体安置所の保管庫に入れますが、刺客は遺体安置所に火を放ちます。

 

重体だったチャウは両脚の切断を余儀なくされ、退院後はリンが献身的にチャウの面倒を見ます。
金銭的に余裕が無かったリンは船を手配している男に体を売ってチャウと香港へ戻ります。

 

ペイとチョイはナイトクラブの新店舗を開業します。
リンは組のために長年尽力してきたチャウをあっさり見限ったチョイが許せず、車いすに乗ったチャウと共にナイトクラブへ乗り込みます。
しかしチョイは全く取り合わず、チョイの部下たちはリンとチャウを追い払います。
チャウが乗っていた車いすは車に轢かれて使えなくなったため、リンはチャウを台車に乗せて再びナイトクラブへ押し入りますが、腹を立てたチョイはついにリンを銃で殺害します。

 

チャウは両脚を失ってから生きる気力を無くしていましたが愛する恋人を殺されたことに憤り、チャウの復讐心に火がつきます。
移動するための台車を改造し、チョイを狙撃するために体を鍛えて射撃の訓練を行います。
チョイの動向を監視し、ついに狙撃に最適なビルを発見します。

 

退院したジャックはタイに残り、遺体安置所で全身やけどを負ったケイと二人で暮らしていました。
ジャックは雑誌を見てチャウが生きていることを知りますが、香港へ戻るつもりはないとポウにFAXを送ります。
するとジャックとチャウがボトルキープしたワインの写真が返信されてきます。

 

チャウは狙撃する機会を窺って待ち続けているとようやくチョイが現れたため、すかさずチャウはチョイを狙撃しますが、標識のポールに阻まれて暗殺は失敗します。
チョイの部下たちはチャウがいるビルへ駆け込み、チョイの構成員(佐滕佳之)は逃走するチャウを撃ちます。

 

チャウは銃で撃たれながらも台車に乗って逃げ切り、ポウのバーへ向かいます。
そこで一杯飲んだチャウは再びビルへ戻ります。

 

ポウのバーに押し入ったペイとチョイは腹いせにジャックとチャウのボトルキープワインを無理やり開栓して飲み、バーを破壊して去って行きます。

 

ケイは容姿に執着があり、年を取ることを恐れていました。
美しいまま死にたいという願望を持っていたケイはジャックに望みを伝えると、ジャックはケイの言う通りにします。

 

自宅へ戻ったジャックは人の気配を感じて警戒します。
ジャックの前に再び刺客が現れ、ジャックは刺客の男たちを殺害します。
香港へ戻るつもりはなかったジャックですが、ポウから返信されたFAXを受け取ったジャックは闘志を取り戻します。

 

ビルへ戻ったチャウは再びチョイを狙撃しようとしますが、チョイの部下に撃たれた傷が致命傷となり、チャウは復讐を果たせずに息絶えます。

 

香港へ戻ったジャックはポウからチャウの死を知らされます。
ジャックはタイで死んだペイの部下たち(林雪、羅靖庭、趙志誠)の棺をチョイのナイトクラブの店内に置きます。
異変に気づいたペイとチョイはうろたえ始めると、ジャックが死んだチャウを乗せた車いすを押してナイトクラブに姿を現し、構成員たちを次々と銃で撃ちます。
捨て身のジャックは反撃を食らっても攻撃の手を緩めず、ペイとチョイに容赦なく銃弾を撃ち込みます。
ジャックはチャウの手に銃を握らせ、チャウの手でチョイにとどめを刺すとジャックはその場で息絶えます。

 

ペイたちに飲まれたジャックとチャウのワインは機転を利かせたポウがあらかじめ別のワインとすり替えており、2人のボトルキープワインは棚に保管されるのでした。

 

最高です。傑作です!!

 

ジャックとチャウの関係性が絶妙で良いですね~。
敵同士なんだけどお互い実力を認め合っていて卑劣に攻撃することは絶対にありません。
最期は友情のために捨て身で乗り込んで散るという潔さ。

 

黎明(レオン・ライ)が本当にカッコイイんです(*´Д`*)
素朴な役もいいけど、こういうクールな役もとてもハマっています。

 

劉青雲ラウ・チンワン)はウエスタンハットに葉巻がイカすね♪
ちなみにウエスタンハットは日本ではよくテンガロンハットと呼ばれますが、正式には劇中でチャウが被っていた帽子はキャトルマンと呼ぶそうです。

 

ジャックとチャウのバーでの小競り合い最高(´艸`*)
ワインをかけたり、コインでワイングラスを割り合ったり、やっていることは子供じみているのにこれがメチャクチャかっこいいんだ~♪
チャウがジャックに照準を当て続けて挑発するシーンもイイ!!
ジャックはチャウが撃たないって分かっているのです。
あとジャックはチャウの部屋をメチャクチャに荒らすんだけど、ワインセラーには一切手を出さないところが粋なんだよね♪

 

クライマックスのナイトクラブでの銃撃戦はガラスが粉々に割れて散っていく映像が鮮やかで、照明の色味も素敵です。
これは引き込まれるわぁ(・o・)

 

ペイとチョイは本当最低だわ!!
部下を捨て駒にするわ、勝手にボトルキープワインは飲もうとするわ、店は破壊するわ、もう本当に最低!!
でもポウが機転を利かせてワインをすり替えていたから良かった(>_<)
チョイたちに大事なワインを飲まれてたまるかってんだヽ(`Д´)ノ
ポウ役の元彬さんも非常に好演で、良いバーのマスターだったなぁ(T_T)

 

ジャックは恋人のケイが邪魔になったわけではなく愛していて、苦渋の選択だったけど彼女の望みを叶えたんだと思う。
もうこの時すでに生きて戻るつもりはなかったと思うし。

 

林雪(ラム・シュー)がまだ若くて痩せていました(・∀・)
本作の任世官(ヤム・サイクン)が鳩山由紀夫氏に見えて仕方がない(^^;)

 

今回佐藤さんは「佐滕佳之」とクレジットされていたので準じて記載しました。

 

一つ気になることを挙げるとすると、タイでの銃撃戦であれだけ撃たれたジャックに少しも後遺症が無いというのが少々気になるかな。

 

ノワールとかマフィア映画を観ていると「屌(F●●K)」とか「仆街(くたばれ)」とか「冚家剷(全員死ね)」とか下品な罵り言葉がバンバン出てきて、こういう言葉ほど覚えちゃうんですよね(^^;)

 

主題歌は「SUKIYAKI」で、原曲は坂本九氏の「上を向いて歩こう」です。
坂本氏が歌うのとはまた違った雰囲気で良い感じです(*^^*)