ザ・ミッション 非情の掟

ザ・ミッション 非情の掟

原題 鎗火

製作 1999年

めぐちゃんの満足度 ★★★★★

 

杜琪峯(ジョニー・トー)監督・製作のハードボイルド作品で、「エグザイル / 絆(放・逐)」の前身ともいえる傑作です。

 

黒社会組織のボスであるマン(高雄)は命を狙われており、殺し屋(佐滕佳次、易天雄)たちはマンの叔父のフェイチョン(王天林)が経営するスーパーボウル飯店に押し入ります。
マンの部下(劉中基)はマンを逃がすために自ら犠牲となり、マンは弟のナン(任達華)に刺客が来たことを携帯電話で伝え、厨房の冷蔵庫に隠れて難を逃れます。

 

ナンは現場から立ち去ったマンの部下(邱萬城)が裏切者だと疑い、捕まえて拷問しますが部下が裏切りを認めることはありませんでした。

 

マンは腕利きの男たちであるグワイ(黃秋生)、フェイ(林雪)、マイク(張耀揚)、ロイ(吳鎮宇)、シン(呂頌賢)を呼んで護衛を依頼します。
シンはロイの弟分で、5人の中で一番若手です。
フェイは護衛に使用する武器を調達し、万が一に備えてマンに防弾チョッキを装備させます。

 

グワイたちは日夜刺客を警戒し、突如襲ってくる殺し屋を撃退してマンの命を守ります。

 

ロイはマンの妻(施綺蓮)の送迎を行っていましたが、シンに送迎を任せることにします。

 

なかなか刺客が特定できず、マンは仕事を休むことにしますが、長引けば商売仲間にも影響が出てしまいます。

 

その後もグワイたちは命を狙われるマンを全力で守り抜きます。
エレベーターの前でグワイの知人であるホイ(錢江漢)に話しかけられますが、ホイは殺し屋たちと結託しており、グワイたちを足止めします。
裏切者だと疑われて拷問を受けたかつての部下はショッピングセンターの清掃を行っており、命を投げ出してマンたちに危険を知らせます。

 

マンを仕留め損なった殺し屋は逃走しますが、グワイたちは刺客を特定するために車で逃走する殺し屋を追跡します。

 

殺し屋たちが潜伏するアジトへやって来たグワイたちですが、迂闊に建物へ近づけばハチの巣です。
身を潜めながら殺し屋たちと撃ち合い、グワイとロイはうまく隙をついて建物へ侵入して殺し屋たちを殺害し、残った1人の男を捕まえます。

 

殺し屋はフェイチョンに雇われたと白状します。
フェイチョンはマンの父親と協力して組織を築き上げて来ましたが、実権を握れなかったことを恨み、マンを暗殺しようと企てたのです。
真相を知ったナンから命令を受けた部下(張志平)はフェイチョンを殺害します。

 

ナンから連絡を受けたグワイは拘束していた殺し屋を殺害してアジトから立ち去ります。
護衛の任務は完了し、グワイたちはレストランで祝杯を挙げます。

 

報酬を支払うためにナンはグワイを呼び出します。
しかしグワイを呼び出したのは報酬を渡す以外にも理由がありました。
なんとシンがマンの妻と関係を持ったと知らされ、シンの始末を命じられます。

 

グワイは預かった報酬をフェイに渡し、銃の手配を依頼します。
グワイは仲間に経緯を話すと、ロイは弟分であるシンを庇います。
グワイはシンを殺すつもりですが、ロイは悩んだ末にシンを船に乗せて台湾へ逃がそうと考えます。

 

シンを見送るマイクは背後からシンを射殺しようとしますが、結局撃つことができませんでした。
仲間であるシンを殺害することに抵抗を感じる4人ですが、殺さなければ4人が組織から狙われることになります。

 

グワイたちはシンを連れてレストランへ向かいます。
フェイはマンと話をするために退席し、必死で言い訳を考えながらマンの元へ向かいますが、マンの妻は組織によって消されてしまいます。

 

グワイがシンに銃を向けると、ロイはグワイに銃を向け、戻って来たフェイはロイに銃を向けるとマンの妻が殺されたことを告げます。
直ぐ様グワイはシンを撃つと、外で様子を窺っていたナンの部下は銃声を確認してその場から立ち去り、グワイたちはレストランを後にします。

 

しかしグワイが撃ったのは空砲だったためシンは死んでおらず、レストランのオーナー(羅永昌)の協力を得てシンを逃亡させることにするのでした。

 

最っ高…痺れるね…(*´Д`*)
一度聴いたら耳から離れない特徴的なテーマ曲。
上映時間が90分も満たない作品ですが、内容が濃くて見応えがあります。
インタビューでジョニー・トー黒澤明を尊敬していると仰っていましたが、作品を観ていると影響が散見されます。

 

ン・ジャンユーの演技力は狂気を感じるほど素晴らしい。
殺気立った表情を見ると本当にヤバい奴なんじゃないかと思ってしまいますが、普段は明るくてわりとひょうきんな印象があります(^ω^)

 

フェイは常に落花生を食ってます(笑)ポリポリ。
基本無口ですが、仲間想いなんです(=゚ω゚)ノ
最初は新参者のシンに素っ気ない態度だったけど、シンが敵に撃たれたら心配して駆け寄るんですよね(^^)

 

兄のマンはわりと温厚なのですが、対照的に弟のナンは粗暴な性格なんですよね。
こういったキャラクターも作品にうまく反映されていて面白いです(*‘∀‘)

 

冒頭のゲームセンターで登場するダンスダンスレボリューション懐かしいわ~!
10代の頃めっちゃ踊ってました。
ゲーセンでもやったし、家庭用も持ってました(笑)
ビートマニアとかパラッパラッパーとかもやってたな~。

 

花火タバコとか丸めた紙でサッカーとかちょいちょいクスッとするシーンがいいね( *´艸`)

 

劇中で登場する懐かしのジャスコ(´∀`)
ジャスコは広東語で「吉之島(ガッチートウ)」と言います。

 

路上やジャスコなど様々な場所で行われる銃撃戦のシーンですが、私はロイとグワイがアジトに侵入して殺し屋を撃つ時の映像がかっこよくて好きです。
角度や陰影、映像の色味が最高なんですよね。

 

佐滕佳次演じる殺し屋にロイがタバコを渡すシーンは粋だね。
その後殺し屋はすぐ殺されちゃうんだけどね…。

 

本作のDVDの特典でガンマニアの方が銃の解説をされていて、銃の知識に乏しい私でも分かりやすい解説で面白かったです(*‘∀‘)
マイクが銃のスプリングが弱いと言ってフェイに銃を突っ返すシーンがあるのですが、銃というのは実際に撃たないといくら事前にいじっても「撃った感じの感覚」は分からないそうです。
あと後半でマイクが使用しているダットサイトレースガンは弾の大きさも銃身もライフルより劣るので、これでライフルと互角に戦うのは通常はありえないそうです。
大きさが全然違うもんね。

 

高雄演じる「文」は日本語字幕だと「ブン」と書かれていましたが、広東語読みの「マン」と記載しました。
呂頌賢演じる「信」は広東語だと「ソン」という音に近いのですが、こちらは日本語字幕に準じて「シン」と記載しました。
「佐藤佳次」の名前がクレジットでは「佐滕佳次」と表記されていたので、クレジットに準じて表記しました。
漢字が微妙に異なるんですよね。

 

原作側には全く落ち度の無い話なのですが、ひとつ不満を挙げるとすると冒頭と最後の日本語字幕と日本語吹き替えによるナレーションが蛇足だという点。
わざわざ言葉で説明すると興ざめしてしまう…(~_~;)

 

言葉では表せない魅力有り余る傑作なので、是非とも観て頂きたい作品です。