燃えよデブゴン10 友情拳
■原題
贊先生與找錢華
■製作年
1978年
洪金寶が監督、武術指導を務めるカンフー作品で、
日本では「燃えよデブゴンシリーズ」として上陸。
洪金寶と卡薩伐のW主演っぽい感じですが、
原題からすると梁家仁と卡薩伐のW主演なんですよね。
葉問シリーズでもおなじみ、詠春拳のお話です。
佛山の詠春拳は少林寺の尼僧、嚴詠春が創設した武術で、
「嚴詠春」から「彼女の夫である梁博儔」に伝わり、
「梁博儔」から「商人の梁蘭桂」に伝わり、
「梁蘭桂」から「武術家であり粵劇役者の黃華寶&梁二娣」に伝わり、
「黃華寶&梁二娣」から「梁贊」「陳華順」「葉問」と続いて行きます。
昔の事なので、伝説的な部分もあるそうです。
ツァン(梁家仁)
ユン・ピョウinドラ息子カンフーで元彪も演じた「梁贊」です。
梁贊も黃飛鴻と同じく開業医だったそうです。
ドラ息子カンフーでは日本語表記が「チャン」でしたが、
今作では「ツァン」と表記されております。
「ヂャーン」って感じの発音なんだよね。
ユン・ピョウinドラ息子カンフーを最初に観た時は
広東語は全く分からないし、梁贊って誰やねんって思っていましたが、
作品自体はとても面白かったので、
何も考えず純粋に楽しんでいた私(´∀`)
もちろん人物を知れば、より楽しめます♪
ファー(卡薩伐)
梁贊の弟子、「陳華順」です。
正義感が強く真面目な性格です。
陳華順は両替商を営んでいたらしく、
「找錢華(つり銭の華)」と呼ばれていたそうです。
演じるカサノバ・ウォンは韓国出身の役者さんで、
テコンドーの達人です。
「黃仁植」「黃正利」「卡薩伐」「金韓元」
上記の4名は「香港映画の韓国足技四天王」ですね。
※私が勝手に言ってるだけです( ̄▽ ̄)
デブ春(洪金寶)
この役に該当する人物が分からない(?_?) 架空の人物??
チャオ(李海生)
左の男性です。
ライ(楊成五)
右の男性です。
チマキを売るデブ春ですが、売れ行きはイマイチ。
そこへ馬に乗ったチャオ達が現れ、茶店は何処だとデブ春に尋ねます。
日本語字幕だと「宿屋」と記載されていましたが、
音声では「茶樓」と言っていたので「茶店」と表記します。
「茶樓」って「中国レストラン」っていう意味なんですけど、
この作品の時代背景だと「茶店」という言葉の方がしっくりくるので(^^;)
男達に茶店の場所を教えると、今度は別の男達がやって来ます。
役名不明(曾志偉)
右の男性です。
当たり前だけど若い!!まだ20代ですものね。
この方が数十年後に「サム」を演じているなんて感慨深いです(・∀・)
役名不明(陳龍)
左の男性です。
この2人はいつもデブ春をひやかして
店の商品を持ち逃げしたりしています。
2人がデブ春の拳法は大した事ないとディスり始めると、
自分はツァンの1番弟子だと言い、
師匠とそのさらに師匠の凄さを熱弁。
でも結局師匠の師匠は雷で死んだといいます(;´∀`)
ツァンの師匠だから黃華寶か梁二娣が雷に打たれて死んだって事!?
それでもデブ春を馬鹿にする2人。
男が念力を使って少しでも動いたら店のチマキは全て頂くと言い、
動かなかったら全部買ってやると挑戦してきます。
デブ春に念力をかけている間、
もう1人の男がチマキを持ってトンズラします(゚Д゚;)
泥棒だー!!!
まんまと商品を奪われてしまったデブ春…。
茶店にやって来たチャオ達。
ここで何故か阿Samの「佛跳牆」という曲が流れます!
作品の時代背景とポップな曲のミスマッチな感じが逆に楽しい!
ちなみに「佛跳牆」とは乾物を入れたスープの事で、
フカヒレやアワビなど高級食材を使用しているせいか、
結構なお値段の高級スープだそうです。私には縁がないわ(;´∀`)
「佛跳牆」という名前は
"美味しそうなスープの香りに僧侶ですら壁をジャンプしてやってくる"
という意味からつけられたそうな。
☆単語訳
「佛(僧侶)」「跳(とぶ)」「牆(壁)」
案内されたテーブルが狭いので、大きいテーブルに座ろうとすると
店員に予約席だと言われ断られますが、無理やり座ろうとする4人。
役名不明(林正英)
1番左の男性です。
役名不明(元彪)
左から2番目の男性です。
若い!!まだ主演デビューする前ですものね(*‘∀‘)
役名不明(錢昇瑋)
右から2番目の男性です。
役名不明(陳會毅)
1番右の男性です。
ガムフォン(張敏婷)
1番右の女性です。ツァンの姪です。
テーブルを予約していたのはツァンで、心の広~い師匠は
4人の男達に席を譲るようにガムフォンに言います。
ガムフォンは面白くなさそうに椅子を蹴り倒すと小競り合いが勃発。
しかしチャオ達が揉め事を起こすなと制止します。
今度は莫記両替所は何処かと尋ねるライ達。
騙されてチマキを盗られてしまった事をファーにぼやくデブ春。
ファーに何かいい仕事はないかと尋ねると、
肥汲みの仕事なら商品を奪われる心配はないと紹介されます。
モー(馮克安)
元盗賊の頭領で、現在は両替商を営んでいます。
ハワイ虎(楊威)
ハワイ虎ってどういう意味!?何処にハワイ要素が??
役名がよく分からん(;'∀')
両替商の商売は順調で、チャオが儲けを山分けしようと提案しますが、
モーは儲けた金では満足せず、佛山を手に入れるという
大きな野望を抱いています。
帰り道、ファーは処理していない手形があったのを見つけ、店に戻ります。
町長になれば佛山は思いのままですが、
1人邪魔者がいると言います。それはツァンです。
さらに現役の町長も始末したいと考えているモーですが、
事故死に見せかけて殺害する必要があると言います。
手形を持って来たファーは町長殺害計画の話を聞いてしまい、
急いで役所へ向かいます。
助役(石天)
小指の爪ながっ!!!
相変わらずキャラが濃い!!!
役所の入口でファーは助役にぶつかり、
今すぐ町長に会いたいと頼みますが、
もう夜遅いので明日会わせると言われます。
しかしこの助役もモーの仲間で、
現場に訪れたファーはモーの刺客達に襲われます。
足技が美しいです!
そういえばカサノバ・ウォンって、
飛猿役の野村将希氏に似てると思ったんですけど、私だけ??
チャオは鋼の体を持っていて、ファーの攻撃が効きません。
勝機を見出せず、ファーは逃走。
負傷したファーを発見したデブ春は、ファーを抱えてツァンの元へ。
手先の4人衆、いつの間にか錢昇瑋から火星に入れ替わってる!!
追手をまき、ツァンはファーを手当てし、ひとまず安心。
一方、モー達は計画を知ってしまったファーを消す為、
ファーの母親に手を出し、あぶりだそうとします。
ファーは母親に心配しないよう伝えて欲しいとデブ春に頼みます。
ファーの母親の家にやって来ると大勢の人だかりが…
モー達の計画通り、ファーの母親は殺されてしまいます。
帰って来たデブ春はファーに本当の事を話せず、
母親は元気だったと嘘をつきます。
母親以外の誰かに会ったかファーが尋ねると、
デブ春は町長に会ったと言います。
町長は命を狙われており、
この事を本人に伝えて欲しいとデブ春に頼みます。
町長(崔戊雄)
真ん中の男性です。
町長の付き人(劉家榮)
右の男性です。
役所にやって来ると助役に追い返されますが、隙をみて町長に会い、
暗殺計画の旨を伝えますが信じてもらえず、相手にされません。
町長達の前に刺客が現れ、話が本当だったと知ります。
付き人が町長を守り、闘います。
4人の手先は倒すことが出来ましたが、剣が効かないチャオに大苦戦!
カーウィンさん、結構吹き替え使われていますね。
この動き、元彪っぽいけど、どうでしょう?
町長は殺され、剣を折られた付き人は拳で挑むも最後は
ライの強烈な蹴りによって絶命します。
助役は現町長が失踪したので、新町長を選抜しようと提案します。
そして現町長が見つかるまでモーに町長代理を務めてもらうことにします。
悪い奴らだな~ホント(;'∀')
怪我が治って来たので、母親に会いに行こうとするファー。
もう嘘をつき続ける事は出来ず、母親が死んだ事を伝えます。
仇を討つと言って飛び出そうとするファーを必死で止めるデブ春。
相手は強く、とても敵わないので、ツァンに相談しようと促します。
物乞いの男性(鍾發)
物乞いの男性が現れ、ツァンがお金を渡すとチャオ達がやって来て、
ファーを引き渡すように言います。
ファーは怪我をしているので治るまで
退院させるわけにはいかないと断ると、襲われます。
しかしモーが仲裁に入り、事なきを得ます。
モーはチャオ達と他人を装っていましたが、
ツァンには仲間だとしっかりバレています。
師匠には何でもお見通しなのです('ω')ノ
シータイ(錢月笙)
1番左の男性です。ツァンの弟子です。
一応劇中で名前が出て来るのですが、正確に聴き取れなかったので
「弟弟子」という意味の「シータイ(師弟)」と記載いたします。
錢月笙はコミカルな役柄の印象が強いですが、
林正英、孟海、董瑋、惠天賜(惠英紅の兄)らと同じく
春秋戯劇学院出身なので、アクションは折り紙付きです☆
ファーの怪我がようやく治り、
弟子にしてほしいとツァンに頼みますが、
目的が仇討ちだと知っているツァンは
詠春拳の精神に反すると言い、断ります。
するとデブ春が閃きます。
なんとデブ春がファーの師匠になります。
それを知ったツァンが様子を見に行くと、
デブ春のへっぽこ詠春拳にしびれを切らし、
結局ツァンが教える事になり、
デブ春達にのせられ師弟の契りを交わします。
修行開始です!
この修行のシーンが最高なのです(*'▽')
梁家仁のお師匠さん役も凄く良いですし、
この作品、詠春拳に対する尊敬の念をとても感じます。
詠春拳は蛇と鶴の闘いから進化したものだそうな。
前にも書いたけど、攻撃と防御を一手に行う、接近戦に強い武術です。
話は脱線しますが、健康の為に武術を行うなら、
太極拳などのゆったりとした動きのものがオススメだそうです。
何故なら、ゆったりとした動きの方が血流が良くなるからです。
詠春拳はどうか分かりませんが、
中国武術の中には「脱力」を重点的に教えているものもあり、
これによってしなやかな動きが可能になるそうです。
「脱力は最大の奥義」なのかもしれないですね。
分かっちゃいるけど、脱力って結構難しいんです。
葉っぱが落ちるのを指で掴むのは至難の業(^^;)
真剣白刃取りみたいなことか。
葉っぱが落ちるのを視覚で認識してから手に信号が届くまで
タイムラグがあるからなかなか出来ないそうです。分かる気がする。
デブ春を呼び、ファーと闘わせます。
こっそりファーに針を刺すと、痛みの勢いで物凄いパンチを繰り出します。
移動式の木人椿を相手にスピードや判断力などを鍛えます。
仇討ちは詠春拳の精神に反するとか言っておきながら、
目の前に思いっきり「仇」っていう文字が
書いてあるんですよね(^▽^;)
その頃、デブ春はシータイと目隠しをして対戦します。
「イップ・マン誕生」でもサモ兄と元彪が目隠しで闘ってたなぁ☆
途中でデブ春はインチキして目隠しを取ってシータイを攻撃!
でもバレます(笑)
ツァンはどんな武術にも必ず弱点があるという事を教えます。
目を急所などが当てはまりますが、当然ここは防御されるので、
全身のあらゆるツボを攻めるように指導します。
力で敵わなくてもスピードで勝機を見出すように言います。
棍術も教わります。
そうそう、詠春拳といえば棍術もありますね。
ツァン師匠、アーモンドみたいな小さい木の実を棒で割れと言います。
言われた通り行いますが、木の実がはじいてしまい、うまく割れません。
棒のしなりと破壊力をうまく利用しなければならないと言う師匠。
気がつけば辺り一面木の実だらけに(;´∀`)
ツァンが茶店にやって来ると再び物乞いの男性が現れ、
金を渡すと、刺されてしまいます。
さらに下で待機していたモーの手先達が床を外し、ツァンは下へ落下!
物乞いの男性もモー達の仲間だったのです。
必死に抵抗するツァンですが多勢に無勢。
害獣を捕獲する為のギザギザの罠で脚を挟まれたり、
机やツボでぶん殴られたり、もうフルボッコです。ひどいわぁ(T_T)
そしてツァンは死んでしまいます。
ライ達はツァンの遺体を持って道場へやって来ます。
ツァンの弟子の中に陳會毅がいました!
さっきまでモーの手下だったじゃん(笑)
端役の場合、人数が必要なシーンは1人で
何役もこなさなければならないのでしょうね。
デブ春はファーとガムフォンに逃げろと言い、ライ達と闘います。
シータイを含む弟子達は殺されてしまいます。
絶体絶命のデブ春は顔に血を塗り、
死んだふりをして敵の目を欺き、その場をやり過ごします。
そしてついに新町長の就任式を迎え、
デブ春は変装をして様子を見に行きます。
この事をファーとガムフォンに報告。
今夜、いよいよ仇討ちを決行します。
ガムフォンはハワイ虎、デブ春はライ、
ファーはチャオと闘う事にします。
しかしデブ春はライとハワイ虎を間違え、
結局ハワイ虎と闘う事になります。
槍使いのハワイ虎に苦戦するデブ春。
すると竹を見つけて何かを閃き、ハワイ虎を竹やぶの中へおびき寄せます。
なぜなら、竹やぶの中では槍が突っかかって攻撃しにくいからです。
考えたねデブ春!!
槍がなければこっちのもんじゃい!とボッコボコに滅多打ち!
ハワイ虎を倒します。
ファーVSライ
詠春拳だから足技はあんまり見れないのかなと思ったら見事なキック!
ライを倒し、ガムフォンに代わりチャオに挑むファー。
助役がやって来て、新たな刺客を連れて来ます。
モーの手先(孟海)
左の男性です。
モーの手先(錢月笙?)
右の男性です。
あれ?錢月笙ですよね??この方も一人二役?
ハリケーン攻撃や(これで足技があれば竜巻旋風脚だわ)
床を溶かす掌打など人間技とは思えないチャオの攻撃の数々!!
ガムフォンは新たな2人の刺客に殺され、デブ春が駆けつけます。
いつも思うけど、サモ兄はこの巨体で
よくこんな俊敏な動きが出来るなぁ。本当に凄い!!!
孟海も可愛い顔して動きが凄い!!
2人の刺客を何とか倒すデブ春。
ファーは修行で得た棍術でチャオの足の甲を木の棒で砕き、
急所を攻撃し、後ろ回し蹴りで倒します。
ついにラスボス、モーが現れます。
助役はデブ春に襲いかかって来ます。
ファーVSモー
モーは自分の顔を仮面のように外すと、なんと青年の姿に!!
本当は若いのに老人のふりをしていたのです!!
モーが正体を現したこのシーンが今作1番の衝撃(;'∀')
ステンレスの帽子を仕込んでいたり、
助役の姑息な闘い方に意外と苦戦するデブ春。
石天のくねくねした動きが面白い(笑)
何とか助役を倒し、モーと闘うファーに加勢します。
蟷螂拳の使い手のモーはメチャクチャ強く、2人がかりでも大苦戦!!
馮克安、ワイヤーで独特な動きを見せるシーンもありますが、
生身で闘っている時のキレがとにかく凄い!!
デブ春達は力を合わせ、攻撃と防御を分担して闘います。
まさに友情拳だね(*‘∀‘)
デブ春は倒れているガムフォンの髪飾りを外し、
ファーの体に突き刺すと、衝撃力のあるパンチを繰り出し、
これでモーに大ダメージを与えます。反撃開始!!
最後は飛び蹴りでモーにとどめをさします!!
復讐を果たした2人ですが、もう疲れてヘロヘロなのでした。
お疲れ様です(-ω-)
劇終。
面白い作品です!!
達人勢揃いで、カンフーが本当に素晴らしい!!
カンフー映画好きな方なら楽しんで頂けると思います☆
私、思うんですけど、日本で本格的なアクションを撮るなら、
絶対に香港から動作指導班を連れて来ないと無理。
といっても現在日本でアクション映画の需要はかなり低いと思いますが。
アクションを撮りたい監督もいなければ、
アクションを観たい観客もいない。(一部のファンを除いて)
本場香港でも昔に比べたらアクション映画は減少傾向にあるそうで。
(そもそも映画業界自体が不況か…)
でも絶対絶やさないで欲しいです。この素晴らしい文化を。