友は風の彼方に

友は風の彼方に

原題 龍虎風雲

製作 1987年

めぐちゃんの満足度 ★★★★★

 

林嶺東(リンゴ・ラム)監督、周潤發(チョウ・ユンファ)主演のノワールアクション作品です。
ストーリーの繋がりはありませんが、リンゴ・ラムの風雲シリーズの1つで以下の作品があります。

●友は風の彼方に(龍虎風雲)
●プリズン・オン・ファイアー(監獄風雲)
●聖戦(聖戰風雲)
●學校風雲 ※日本版無し
●プリズン・オン・ファイアー2(監獄風雲II逃犯)

 

潜入捜査官のワー(徐錦江)は宝石強盗団の潜入捜査を行っていましたが、警察官であることが知られてしまい、強盗のメンバーに殺されてしまいます。

 

ラウ警部(孫越)はクラブにいた潜入警察官のチャウ(周潤發)を呼び出し、ワーの後を引き継いで捜査を行うように命じます。
潜入の際に仲間を裏切る苦しみはつらく、チャウは渋りますが結局引き受けることになります。

 

強盗団のナム(方野)、フー(李修賢)、タイソン(陳志輝)、ジョー(朱繼生)、ビル(韓坤)、ボニー(沈西城)が宝石強盗を企てています。
ナムとボニーは車で待機し、残りの4人が宝石会社に押し入ります。

 

フーは管理室で警報装置の電源を切り、タイソンは社長に金庫を開けるよう脅します。
ジョーは必要以上に社長へ暴行を加えるタイソンを制止すると仲間割れになり、フーが駆けつけると社長を脅して金庫を開けさせます。

 

宝石会社を訪れた客が強盗に気づいて警察を呼びに行きます。
フーは一般人を装いますが、客が顔を目撃していたためごまかすことができず、フーはやむを得ず警察官に発砲します。
警察が駆けつけ、タイソンたちが宝石を奪って建物から出て来ると、フーたちは車で逃走します。

 

ラウは到着したチョウ警視(劉江)に事件の状況を説明し、強盗の顔を目撃していた市民の証言を元に似顔絵を作成していると伝えます。
チョウ警視はジョン(張耀揚)に捜査の指揮を執らせるつもりですが、ラウは青二才のジョンに指示されることが納得できません。

 

チャウにはホステスをしているホン(吳家麗)という恋人がいます。
チャウは浮気を誤解されてホンを怒らせてしまいますが、チャウはうまく取り繕ってホンと仲直りします。

 

ラウはチャウの上司でもあり叔父でもあります。
長年現場で働いて来たラウにはプライドがあり、ジョンに指示されるのは面白くありません。
ラウの息子も警察官でしたが殉職しており、悪人がのうのうと暮らしていることに憤りを感じています。

 

ジョンが捜査の指揮を執ることになり、ジョンの部下たち(黃光亮、楊劍文)はチャウを監視します。

 

チャウは潜入捜査を開始し、タイソンと接触します。
チャウが大金を稼ぎたいと持ちかけると、タイソンはフーを呼んでチャウに会わせます。
チャウは銃をフーたちに売りつけようとしますが、高額なのでフーはいったん保留にします。

 

ラウから強盗の似顔絵を見せられるチャウですが面識はありません。
ラウはレコーダーをチャウに渡し、取引の会話を録音するように指示し、取引に使う銃はボーリング場のロッカーに保管してあると伝えます。

 

ホンと結婚間近のチャウですが、チャウは結婚を延期したいとホンに告げます。
ホンは納得できず理由を問い質しますが、チャウは潜入捜査のためだとは言えず、再びホンを怒らせてしまいます。

 

チャウはロッカーから銃を回収し、レコーダーを腹に巻いてフーたちの車に乗り込みます。
墓地へ着くとチャウを警戒しているフーたちはチャウの身体検査を行いますが、何とかレコーダーを持っていることは見つからずに済みます。
チャウを信用したフーは追加で銃を発注します。

 

チャウに見切りをつけたホンは店の客のチョウ(陳炫達)とカナダに行くことを決めます。
ホンの友人のローズ(周寶珊)からこの話を聞いたチャウはホンを引き止めると、ホンは約束の時間までに役所に来てほしいとチャウに言います。

 

ジョンはチャウが強盗の一味だと思っており、チャウの逮捕に躍起です。
ジョンの部下たちの尾行のせいで銃が保管してあるボーリング場へ辿り着くことができず、チャウは追跡をやめるようラウに頼みますが、ジョンはラウの指示を聞き入れません。

 

ジョンの部下たちを振り切ってボーリング場に辿り着いたチャウは銃を回収しますが、警察に追われて逃げ出します。
車に乗ったフーが通りかかり、チャウを車に乗せて助けます。

 

フーはチャウがロッカーに銃を保管していたことを知っていたため、ボーリング場にやって来ていたのです。
フーはチャウをボスのナムに会わせるためアジトへ向かいます。
ナムたちに銃を渡すと、ナムはチャウを仲間として迎え入れてくれます。

 

約束の時間にチャウが現れなかったのでホンはチョウと空港へ向かいます。
チャウは急いで空港へ向かいますが、ホンを連れ戻すことはできず、空港に駆けつけた捜査員に逮捕されてしまいます。

 

チャウはジョンから暴力的な取り調べを受けると、これに憤慨したラウはチョウ警視にチャウの解放を求めます。
ラウはチャウが潜入捜査官であることをチョウ警視たちに告げると、ジョンは次に起こる強盗計画にチャウを利用しようと企みます。
武装した強盗メンバーを警戒し、ラウは特殊部隊の出動を要請します。

 

ナムたちは次に襲う宝石店の下見を行います。
ナムは強盗決行の時までメンバーの外出を禁じます。

 

外部との連絡が取れず、チャウはラウ宛に紙でメモを残します。
起きて来たフーと会話を交わし、ホンから送られたエアメールを開封すると、ホンはチョウとカナダには行かず、ハワイにいると綴られていました。

 

いよいよ宝石強盗を決行します。
タイソン、ビル、ボニーが宝石店に押し入り、店員を脅して宝石を奪います。
サングラスをしたフーの姿を見たチャウは、フーが似顔絵の犯人であることを確信します。

 

防犯ベルが鳴り、タイソンは女性店員を銃で殺害して宝石店から立ち去ります。
すぐに待機していた警察に包囲され、ビルが捜査員に撃たれて死にます。

 

タイソンたちはタクシーを奪って逃走しますが、衝突して停車し、警察と銃撃戦になります。
チャウはフーに自首を促しますが聞き入れず、ジョーも捜査員に撃たれて死にます。
フーとチャウも捜査員に撃たれますが、フーはチャウを見捨てることはせず、タイソンが奪った車に乗ってアジトへ向かいます。

 

チャウが残したメモを拾ったラウはナムたちが潜伏するアジトへ向かいます。

 

ナムが企てた強盗計画は完璧でしたが、すぐに警察が現れたことを不審に思ったナムはチャウを潜入だと疑います。
タイソンとフーはチャウが裏切者ではないと言い張りますが、アジトの周辺は警察が包囲し、タイソンが特殊部隊に射殺されます。
怖気づいたボニーが降伏しようとすると、ナムはボニーを射殺します。
仲間に手を下したことを許せないフーはチャウと共にナムを銃で殺害し、残りはフーとチャウだけになります。

 

フーはチャウと共に逃げようとしますが、チャウは自分が警察官であることをフーに告げます。
自分を殺して逃げろと言うチャウですが、フーはチャウを殺すことができず、駆けつけた特殊部隊によってフーは拘束されます。
チャウは捜査員に撃たれた傷が致命傷となり、息を引き取ります。

 

宝石強盗事件は解決しますが、甥のチャウを失ったラウは強行突入を指示したジョンに殴りかかるのでした。

 

傑作です!!
大好きな作品です(*^^*)

 

この作品の見どころは何と言ってもチャウとフーの友情なのではないでしょうか。
クエンティン・タランティーノ監督の「レザボア・ドッグス」ではこの映画の影響が散見できますが、やはりインスパイアされるほど魅力があるんですね(*'ω'*)

 

今回の李Sirは強盗役で、宝石会社の社長に暴行を加えたり、警察官を殺害したり超極悪人なのですが、非常に仲間思いな性格なんですよね。
それにしても、よりによってクリスマスの日に強盗だなんて…。

 

初めてチャウとフーが顔を合わせて握手するシーン最高(*^^*)
2人が女をナンパしようとする時のやり取りも楽しいですし、強盗決行前に語り合うシーンでは1本のタバコを交互に吸うとかもうドキドキ♪(間接キス…)
イチャつかないでくれます(笑)
浮かない顔をしている發哥を心配そうに見つめる李Sirの表情もたまらんのですわ(*´Д`*)

 

警察と強盗の板挟み状態のチャウは常に追われていて大変です。
劇中でたくさん走らされている發哥ですが、アンドリュー・ラウが撮影を担当されていて、チャウが疾走するシーンはかなり良かったなぁ(*'▽')
ホンの家のシーンでは發哥のお尻が拝見できてありがたや(*´艸`*) 

 

今回の李Sirは喫煙率が物凄く高い(^^;)
でもタバコ吸う仕草がやっぱり素敵(*´▽`*) メロメロ~♪
そしてなんと本作の李Sirはご自身の声なのです(=゚ω゚)ノ
李Sirの声大好き~!!
80年代の李Sirの声は声優さんによる吹き替えが多いので、ご本人の声というのは大変珍しいです。

 

ラウ警部役の孫越(ソン・ユエ)は台湾のベテラン俳優です。
私は台湾映画はあまり詳しくないのでそんなにたくさん拝見しているわけではありませんが、ラウ警部好演でした(*'▽')
今回ソン・ユエが演じた劉定光の役職は「督察(ドッチャー)」なのですが、これは日本でいう「警部」に相当するので「ラウ警部」と記載しました。

 

張耀揚(ロイ・チョン)演じるジョンは嫌な奴でしたね(~_~;)
この頃のロイ・チョンってこういう役が多いなぁ。
警察官なのにやってることがチンピラと変わらん(;゚Д゚)

 

ジョー役の朱繼生(ジョー・チュウ)はアクションコーディネーターも担当。
強盗団の中ではわりと良心的な性格でした。
陳志輝(チャン・チーファイ)演じるタイソンは粗暴で、沈西城(サム・サイセン)演じるボニーは弱気な性格で、強盗のメンバーでも色々なタイプがいますね。

 

ビル役の韓坤(ホン・クワン)の指が断指されているという描写がありますが、実際にホン・クワンの右手の親指と人差し指は断指されています。
指詰めしたのか、事故で失ったのか、生まれつきなのか、原因は分かりません。(でもおそらく指詰めなのかな…)
他の作品に出演されている時は義指のような物を使用されているかと思われます。

 

ボニー役の沈西城(サム・サイセン)は本作の脚本を担当されている作家さんです。
日本に留学されていたことがあって日本語が話せるそうです。
ちなみに日本語字幕の役名は「ボニー」となっていましたが、オリジナルの役名は「排骨(パイクワ)」でした。
排骨とは日本語で「スペアリブ」という意味なのですが、何でこんな名前なんでしょうね?

 

監督のリンゴ・ラムは情報屋役で一瞬だけ出演されています♪
劇伴音楽は泰迪羅賓(テディ・ロビン)が担当していて、リンゴ・ラムのインタビューではトランジットの時にサックス奏者と出会って、本作で使用する音楽をジャズに決めたと仰っていました。
そんなに詳しいわけではないですが私もジャズが好きです(*^^*)

 

主題歌はMaria Corderoによる「要爭取快樂」
マリアさんは劇中でクラブの歌手としても出演されています♪