SPL 狼よ静かに死ね

SPL 狼よ静かに死ね

原題 殺破狼

製作 2005年

めぐちゃんの満足度 ★★★★★

 

葉偉信(ウィルソン・イップ)監督のアクション作品です。
原題の「殺破狼」とは「紫微斗数占星術」の「七殺星」「破軍星」「貪狼星」から取ったものです。
紫微斗数には様々な星があるのですが、「七殺星、破軍星、貪狼星」には以下の特徴があります。

「七殺星」は「独立、権威、勇敢、俊敏」
「破軍星」は「変革、度胸、創造、破壊」
「貪狼星」は「貪欲、快楽、色事、自由」

七殺星はドニー・イェン、破軍星はサイモン・ヤム、貪狼星はサモ・ハン・キンポーといったところでしょうか。
ちなみに「殺破狼」の題字は華仔が書いたものです。
達筆で素敵な字です(*'▽')

 

1994年 香港

黒社会を牛耳るウォン(洪金寶)の犯罪を立証するための証人が護送中に殺害され、証拠不十分により拘束されていたウォンは釈放されます。
証人と証人の妻は死亡し、警察官のチャン(任達華)は証人の幼い娘であるホイイー(劉靖琳)を養女として引き取ります。

 

チャンは護送中に襲われて負傷した際に精密検査を受けた結果、悪性腫瘍が見つかります。
チャンは是が非でもウォンの組織を摘発するため、同僚のワー(廖啟智)、サム(夏韶聲)、ロク(智堯)、ワイ(施祖男)と連携して捜査を行います。
組織の情報を入手するため、ワイを潜入捜査員としてウォンの組織に送り込みます。

 

3年後。
捜査は進展せず、チャンには退職の日が近づいています。
署長のチョン(惠天賜)は新しく着任するマー(甄子丹)と引き継ぎについて話をするようチャンに指示します。

 

チャンたちは執念の捜査を続け、ウォンのシマを次々と摘発して行きます。
チャンの後に着任する予定のマーを迎え入れると、チャンとマーはウォンの縄張りである繁華街へ向かいます。
大勢のチンピラたちが集まる中でウォンが姿を現し、マーはウォンに宣戦布告をします。

 

潜入捜査を行っていたワイの遺体が湿地で発見され、チャンたちの怒りは頂点に達します。
湿地で偶然ビデオを撮影していた青年(袁堅樑)が警察署を訪れると、青年はビデオテープに殺人現場が録画されていたとワーに告げます。
ビデオテープにはウォンがワイを暴行し、ウォンの手下(谷垣健治)がワイに銃弾を浴びせる様子が録画されていました。
何としてもウォンを摘発したいチャンはウォンの手下による射殺シーンを削除してウォンの犯行に仕立て上げることにします。

 

チャンたちは第一子が誕生したばかりのウォンの前に姿を現し、ウォンを逮捕します。

 

ワーはビデオを撮影した青年にビデオテープのコピーを提出するように脅しますが、青年はコピーを持っていないと言います。
しかし持っていないというのは嘘で、青年はビデオテープのコピーを隠し持っていました。

 

ウォンは再び拘束され、ロクはウォンの手下が潜伏するアジトを発見します。
チャンたちはウォンの手下を追いつめて暴行を加え、ワーは吹き抜けからウォンの手下を突き落として殺害します。
マーが駆けつけると、チャンたちの行動を非難します。

 

マーはかつて凶悪犯の男(洪天明)に暴行を加え、障害を負わせてしまいます。
正義のために行った行為ですが、罪責感を感じたマーは時間を見つけては元凶悪犯の男の所へ行って生活の支援をしています。

 

ウォンを起訴するには証拠が不十分なので、チャンたちは犯行に使われた銃を捏造することにします。
ロクは銃の調達屋に連絡し、マーと銃を取りに向かいます。

 

この日は父の日で、手が空いたサムは普段なかなか会うことができない娘のジョーイ(潘美琪)に会いにワーとセントラルへ向かいます。
チャンは押収した銃弾を持ち出して証拠を捏造しようとしますが、ガン宣告を受けていたチャンの体に異変が起こり始めます。

 

ロクとマーは調達屋が待つ高架下へ行くと、調達屋は直前に金額を吊り上げたため、マーが金を取りに戻ります。

 

ウォンの手下たちは証人の青年からビデオテープのコピーを入手して警察に提出します。
ビデオテープを観たチョンは愕然とし、ウォンの犯行ではないことが証明されたためウォンは釈放されます。
捏造が露見したことを知ったチャンは警察署から逃走します。

 

ロクがマーを待っていると、調達屋や遊んでいた若者たちが一斉に高架下から立ち去ります。
入口の扉は施錠され、ロクは高架下に閉じ込められます。
調達屋はウォンに買収されたのです。
ウォンに雇われている殺し屋のジェット(吳京)が現れてロクに襲いかかります。
戻って来たマーが援護しようとしますが、入口が施錠されていて中へ入れず、マーの目の前でロクはジェットに殺害されます。

 

マーはロクが殺されたことをチャンに伝えますが、計画が露呈したためチャンは迂闊に動くことができません。

 

サムは娘のジョーイと談笑し、2人の様子を見ていたワーは母親に電話をすると、確執があった父親がすでに亡くなっていたことを知ります。

 

ジョーイは父の日のプレゼントをサムに渡して帰って行きます。
直後にジェットが現れてワーを刃物で刺し、続け様にサムを殺害します。
マーは瀕死のワーを発見すると、ワーはチャンの養女であるホイイーの養育資金に充てるため、ウォンの金を横領したことをマーに告げて息を引き取ります。

 

マーの父親も警察官で、捜査中だった父親はマフィアに殺されますが現在に至るまで事件は解決していません。
父親は息子を危険な目に遭わせたくない思いから警察官にはならないように指南していましたが、父親の忠告を破ってマーは警察官となります。

 

チョンは捏造計画によって警察の面子が潰されたことをマーに詰め寄ると、マーは警察IDと拳銃を置いて去ります。

 

ウォンはワーたちが横領した金を返せば目を瞑ると言い、チャンはウォンのバーがあるビルへ向かいます。
店に入ったチャンは金が入った鞄を投げてウォンの部下たちに次々と発砲しますが、ジェットに刃物で腹部を刺されます。
チャンが持って来た鞄の中に入っていたのは金では無く、ただの紙切れでした。

 

チャンの身を案じたマーは本物の金の入った鞄を持ってウォンの店へ向かいます。
路上でジェットが待ち伏せており、警棒を持ったマーと短刀を持ったジェットがぶつかり合います。
マーの手から警棒が離れると、マーはジェットが持っていた短刀を彼の腹部に突き刺して殺害します。

 

店に入ったマーは金が入った鞄を投げてウォンに立ち向かいます。
2人がもみ合っていると、ウォンの妻(梁鏡珂)から幼い息子と店の近くに来ていると連絡があります。
ウォンは妻に店の外で待つように伝え、取っ組み合いが再開。
マーは巨体のウォンを担いで酒瓶の置かれたガラスのタワーに投げ込み、ウォンは意識を失います。

 

マーは捕まっていたチャンを見つけると、部下の名誉のためにやったことだと告げます。
直後にウォンが起き上がり、マーを窓の外へ突き落とします。
マーは落下により即死しますが、マーが落下した先に停車していた車にはウォンの妻と息子が乗車しており、落下の衝撃により2人も死亡します。
妻と息子の死を知ったウォンは悲嘆し、唯一生き残った捜査チームのチャンも病魔により命尽き果てるのでした。

 

明るい話ではありませんし、オチも救われないのですが、私はとても気に入っている作品です。
最後のシーンは衝撃だったなぁ(;゚Д゚)
本当にマーの父親の言った通りになってしまった…。
そんでもってウォンに関しては因果応報だよ…。

 

アクションは言うまでもなく素晴らしいのですが、本作はドラマ部分も重視されていて非常に楽しめます。
警察の執念が歪んだ正義になっていくのが複雑な気持ち…。
何としてでもウォンの組織を潰したいという気持ちは分かるけど、やっていることは黒社会と変わらないですからね(゚Д゚;)

 

サモ演じるウォン・ポーは冷酷非道なマフィアですが、家族に対してはとても優しくて、悪人にも家族がいるんだよなぁって改めて実感。

 

サモとドニー様は本作が初共演で、お二人のラストバトルは見どころのひとつです♪
ドニー様の飛び蹴りがカッコイイ(*´▽`*)
サモも50代であそこまで動けるの凄いな。
ドニー様とウー・ジンの戦いも素晴らしいです!!

 

主要キャストでアクションができるのはサモとドニー様とウー・ジンなので、サイモン・ヤムは演技で魅せます☆☆
今回のサイモン・ヤムは善人役です。
華哥は本当に善人役と悪役の演じ分けが凄いわ。
電話で子供と話すシーンで綻んだ表情を見せるのですが、これを見ているとエレクションのマフィアととても同一人物とは思えない(^^;)

 

廖啟智(リウ・カイチー)も素晴らしいです。
彼は微妙な感情を表情に出すのが本当に巧み。
劇中では父親との確執がある警察官の役でしたが、彼のセリフと表情だけで情景が浮かぶもんなぁ。
強面なので証人の青年を脅すシーンはもはやマフィアにしか見えない(^^;)

 

吳京(ウー・ジン)演じる「ジェット」はなぜか英語名だと役名が「Jack(ジャック)」なんですよね。
可愛い顔して残虐な殺し屋なのです(T_T)
ウー・ジンはリンチェイやドニー様も学ばれた北京体育学校の出身で、高い身体能力をユエン・ウーピンに見出され、「マスター・オブ・リアル・カンフー 大地無限2(太極拳)」でデビュー。
※DVD版だとタイトルが「太極神拳」
元々童顔なのですが、デビュー当時は本当に可愛い顔をされていて、超絶カンフーとのギャップに萌え♪

 

惠天賜(オースティン・ワイ)はハンサムだわぁ(*´▽`*)
声も魅力的で大好き♪♪♪
若い時もイケメンですが、私はお年を召した方がもっと好き♪

 

細かい突っ込みどころを挙げるとすると、ジェットが車で証人の車に衝突するシーンで、真正面から突っ込んだジェットが無傷というのはいくらなんでもあり得ないと思う(^^;)
あとウォンの殺人罪が立証されなくて釈放されていたけど、ゴルフクラブで殴っているんだから傷害罪では逮捕できそうだよね。

 

でもこんな細かいところはどうでもいいと思えるぐらい楽しめる熱い作品です(*'ω'*)
てゆうか日本語版のブルーレイ発売しないの何でなの~???