ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ外伝 / アイアン・モンキー

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ外伝 / アイアン・モンキー

原題 少年黃飛鴻之鐵馬騮

製作 1993年

めぐちゃんの満足度 ★★★★★

 

袁和平(ユエン・ウーピン)監督のカンフーアクション作品です。

 

清朝末期の浙江では天災と汚職官僚の暴政によって人々は苦しめられていました。
そんな中、鉄猿と呼ばれる義賊が現れて官僚から盗んだ財宝を人々に分け与えます。
浙江の知州(黃霑)は鉄猿を捕まえるために少林僧たち(秦貴寶、陳少華、葉彩南、高民廸)を雇いますが、役所に現れた鉄猿は用心棒の少林僧たちを退け、まんまと財宝を奪って逃走します。

 

ヨン(于榮光)とシウラン(王靜瑩)が営む診療所には天災によって病気になった患者たちが押し寄せます。
ヨンは医師として働いていますが、日が落ちると黒装束を身にまとって官僚の財宝を奪いに行きます。
実は鉄猿に扮しているのはヨンなのです。

 

なんとしても鉄猿を捕まえるため、知州は猿に関連する人々を片っ端から逮捕します。
佛山から買い出しに訪れていた医師で武術家のケイイン(甄子丹)と息子のフェイホン(曾思敏)は町でチンピラに絡まれます。
ケイインがチンピラと戦っていると巡捕が現れ、騒ぎを起こしたとしてケイインとフェイホンは逮捕されてしまいます。

 

鉄猿が見つからないため苛立ちが募っている知州は毅然としたフェイホンの態度が気に入らず、見せしめに焼き印を押そうとすると鉄猿が現れてフェイホンを助けます。
ケイインは鉄猿を追って捕まえようとしますが、逃げられてしまいます。

 

鉄猿を捕まえなければ釈放してもらえないため、ケイインは鉄猿の捕縛を申し出ます。
その間、フェイホンは役所に拘束されることになります。

 

町民は弱者を救う鉄猿を敬っているので、鉄猿を捕まえようとしているケイインを冷遇します。
敵とみなされたケイインは食べ物を買うことができず途方に暮れていると、様子を心配したシウランがケイインに声をかけ、食事をふるまいます。
息子のフェイホンが役所に拘束されていることをケイインから聞いたヨンとシウランは不憫に思い、役所に出向きます。

 

フェイホンは高熱を出してぐったりとしていたため、ヨンとシウランはフェイホンを役所から連れ出します。
巡捕ですが善人であるサン(袁信義)はフェイホンの身を案じ、ヨンたちに協力してくれます。

 

ケイインは鉄猿が現れるのを待ち続けます。
ケイインがサンと夜食を取っていると怪しい4人組が現れたため、ケイインは後を追います。
4人組は少林寺の僧侶で、女性を拐かそうとしていたためケイインは少林僧たちと戦います。
ケイインの強さに怯んだ少林僧たちはいったん退散しますが、ヒンホン和尚(任世官)の女弟子(李暉)が現れてケイインに襲いかかります。
しかしケイインの強さに圧倒された女弟子も退散していきます。

 

ヨンとシウランはフェイホンを診療所へ運んで看病します。
その後、回復したフェイホンはケイインを捜しに診療所を出て行きます。

 

町で以前絡まれたチンピラたちに遭遇したフェイホンは、襲ってくるチンピラたちを次々と倒していきます。
姿を消したフェイホンを発見したシウランはフェイホンを診療所へ連れて帰ります。

 

ヒンホン和尚は少林寺の和尚でありながら私利私欲に走り、役所に押し入って知州の座を奪います。

 

ヨンがいつものように人助けをしていると、町民になりすましたヒンホンの女弟子に襲われます。
ヒンホンの男弟子(候耀中)も姿を現してヨンを攻撃します。
ヨンは2人を圧倒しますが、突如現れたヒンホンから金剛手を食らい、さすがのヨンも痛手を負ったためいったん引き上げます。
見張りをしていたケイインがやって来てヒンホンと戦いますが、多彩な技を繰り出すヒンホンの攻撃を食らったケイインも一時退散します。

 

診療所へ戻ったヨンはすぐに自身の治療を行いますが、同じく負傷したケイインが診療所を訪れます。
ケイインは鉄猿の正体がヨンだと知りますが、役所に突き出すことはせず、互いの医術を称え合います。
官僚だったヨンの父親はかつて汚職官僚の罪を着せられて処刑され、税を貪る汚職官僚がいる限り人々の暮らしが良くなることはないと失望したヨンは父親を亡くしたことをきっかけに義賊活動をするようになったのです。

 

サンはヒンホンがケイインを指名手配したことをシウランに伝えます。
これを聞いたケイインは危険が及ばないようにフェイホンを佛山へ帰すことにします。
ケイインとヨンが診療所を去ると、4人の少林僧たちが現れます。
ヒンホンと同じく4人の少林僧も教えに背いたならず者で、シウランに襲いかかります。
眠り粉を吸い込んで身動きが取れなくなったシウランを助けるためにフェイホンは棍術を使って少林僧たちを倒します。
しかし現れた女弟子の攻撃によってフェイホンは意識を失い、ヒンホンに捕まってしまいます。

 

フェイホンが捕まったことをシウランから聞いたケイインはすぐに役所へ向かいます。
サンはヒンホンの非情な仕打ちを見過ごすことができずに抗すると、鉄猿に扮したケイインとヨンが現れます。
ヒンホンがフェイホンに攻撃を加えようとすると、サンはフェイホンを救出して駆けつけたシウランに預けます。

 

ケイインはヒンホンの男弟子と女弟子を倒し、ヨンと協力して立ちはだかるヒンホンと戦います。
提灯の火に酒が引火して辺り一面が火の海となったため、ケイインたちは柱を足場にします。
互いに火のついた柱を使って火の海へ落とし合い、ヒンホンに柱を折られてもケイインとヨンは落ちないようにうまくバランスを取ります。
ヨンは飛び上がってヒンホンに突撃し、火のついた柱をヒンホンの顔面に当てて動きを止め、この隙にケイインが飛び蹴りでヒンホンを火の海へ突き落とします。

 

ヒンホンを倒したウォン親子は佛山へ帰って行くのでした。

 

非常に面白い作品で、私は傑作だと思います(*'▽'*)
デアゴスティーニの傑作カンフー映画ブルーレイコレクションで「死亡の塔」をリストアップするぐらいならアイアンモンキーを入れてほしかったわ!って思います(^^;)
甄子丹、于榮光、曾思敏、袁信義、任世官、李暉、小侯など、主要キャストのほとんどの方が武術に長けているなんて、香港映画ってやっぱり凄いなぁ。

 

本作はドニー様が単独主演とは言い難くて、ユー・ロングァンとW主演のような感じです。
でもそれぞれアクションの見せ場があって、フェイホン役の曾思敏(チャン・シーマン)のアクションも素晴らしいです!!
チャン・シーマンは幼少時代から夏德建師匠の元で武術を学んでいたそうです。
実はチャン・シーマンは女の子で、私は初見では気づかず後で知ってビックリ!!
あどけなさの中にも凛々しさがあって、演技も映画初出演とは思えないほど堂々とされていました。

 

劇中で登場する「鐵馬騮(鉄猿)」とは日本でいうねずみ小僧のような人です。
ドニー様も超カッコイイけど、鉄猿役のユー・ロングァンが好演過ぎる!!
風格があってとても男前です(*´▽`*)

 

袁信義(ユエン・シュンイー)演じるサンは官兵なのに話が分かる善人なのです(*‘∀‘)
どこの組織にも善玉と悪玉が存在するんですよね。

 

小侯(シャオ・ホウ)はこの頃になると本名の「侯耀中(ハウ・イウチョン)」でクレジットされていますね。
ただ正確には本作のクレジットは「候耀中」となっていました。
「候」と「侯」って漢字が似ていてややこしいな(^^;)

 

ワンチャイでもリンチェイ演じるフェイホンが敵を攻撃するのに傘を使用されていましたが、「傘(かさ)」は広東語で「遮(チェー)」といいます。
「傘(サーン)」でも通じるそうなのですが、「傘」という漢字は「散」に発音が似ているので縁起が悪いからあまり使われないそうです。
※「散(サーン)」は「散る」とか「バラバラになる」という意味があります。

 

知州が猿を連想させる人たちを次々と捕まえるシーンでは、鉄猿は明らかに人間なのに動物の猿まで捕まえているのが笑える(笑)

 

空腹に耐えかねて料理をつまみ食いするケイインがおちゃめで可愛かった(*^^*)

 

ヒンホン和尚は少林の名を汚したってケイインを非難していたけど、あんたが一番少林の名を汚してるよ!!
ヒンホン和尚の袖がビヨーンって伸びるのを見ると、ツーフィンガー鷹を思い出す(笑)