五毒拳

五毒拳

原題 五毒

製作 1978年

めぐちゃんの満足度 ★★★★★

 

師匠(狄威)は病に冒され、弟子のヤン(江生)が懸命に看病して来ましたが寛解の兆しは見えず、先が短いと悟った師匠は五毒門について話し始めます。
悪名高き邪拳の門派「五毒門」の開祖である師匠にはかつて5人の弟子がおり、五毒門最後の門弟のヤンにとって兄弟子たちにあたります。
5人の兄弟子たちは五毒門を去り、現在は素性を隠して生活しているといいます。
まだヤンの技は未熟なので、師匠は5人の弟子たちが使用していた修行部屋にヤンを案内します。

 

ムカデ拳の使い手である1番弟子は100本にも1000本にも見える素早い手足の技が特徴。

ヘビ拳の使い手である2番弟子は突き攻撃が強力で動きも俊敏。

サソリ拳の使い手である3番弟子は蹴り技が強力ですが、2人の兄弟子たちとは面識がありません。

ヤモリ拳の使い手である4番弟子は身軽で脚力が強く、壁もスイスイ登ります。
他の弟子たちとは面識がありません。

ガマ拳の使い手である5番弟子は気功を使用し、鋼鉄のような体は剣も通しません。
4番弟子と同じく他の弟子たちとは面識がありません。

 

今のヤンの実力では兄弟子たちに敵わないという師匠。
兄弟子たちの中には善人と悪人がいるので、善人の兄弟子と手を組んで悪人の兄弟子を倒すことを勧めます。
師匠と同年代の弟子に五毒門の宝を預けているので、まずは弟子を捜し出すように言います。

 

町へ出たヤンは役人のホー(郭追)と関わりがありそうなリー(羅莽)の後をつけることにします。
ホーとリーは兄弟子たちを捜しており、リーは自分が5番弟子だとホーに伝え、役人のホーが4番弟子だと知ります。

 

1番弟子のタン(鹿峰)と2番弟子のホン(韋白)は宝を持っている弟子を捜しており、弟子の居場所を特定します。
宝を持った弟子というのは官僚のユエン(谷峰)のことで、タンとホンはユエンの家族を人質にして帰宅したユエンを痛めつけますが、結局タンたちはユエンから宝の在処を聞き出すことはできませんでした。
たまたま居合わせたワンファー(劉晃世)という青年がユエン家にいたタンを目撃してしまいます。
その頃、サソリ拳の使い手である3番弟子がユエン家に侵入。
3番弟子は死んでいるユエンが持っていた宝の地図を奪ってすぐに立ち去ります。

 

ユエン家が皆殺しになったことで役人たちが動き始めます。
ワンファーはユエン家殺害のことをホーに話そうとしますが相手にされず、近くにいたヤンに事件のことを話します。
ワンファーの話を聞いたヤンは、殺されたユエンが師匠の捜している弟子かもしれないと思い、急いで殺人現場へ向かいます。

 

ワン閣下(王龍威)は自分の首が飛ぶのを恐れ、すぐに事件を解決するよう役人たちに命じます。
検死を行い、遺体に残されたアザや傷を見たホーは、その特徴から1番弟子と2番弟子の仕業だと断定します。

 

ホーとリーの会話を盗み聞きしていたヤンは2人に見つかり、ヤンはワンファーが犯人を知っているとホーに告げます。
ホーはすぐにワンファーを連行して金を与えると、ワンファーは犯人の特徴を供述します。

 

ホンはワン閣下とも親しい有力者なので邸宅へ乗り込むことを躊躇う役人たちですが、ホーはホンの邸宅へ向かいます。
役人のマー(孫建)はホンの邸宅から出て来たタンを待ち伏せし、捕まえようとします。
そこにリーも現れ、タンにユエン家殺害の容疑を問い質します。
タンは剣でリーを攻撃しますが、剣が通用しなかったのでリーがガマ拳の使い手の5番弟子だと知ります。

 

タンの素早い手の攻撃を受けたリーは、タンがムカデ拳の使い手の1番弟子だと知り、2人は戦いを始めます。
タンとリーは互角の勝負を見せますが、一瞬の隙をついて役人たちはタンを捕まえます。

 

連行されたタンは取り調べを受け、証人のワンファーはタンが犯人であると証言します。
タンを拷問して共犯者の名前を吐かせようとしますがタンは罪を認めず、いったん閉廷となります。

 

ホンの所にサソリ拳の使い手である3番弟子がやって来ます。
5番弟子のリーが邪魔だと判断したホンたちはユエン家殺害の罪をリーになすりつけようと計画します。

 

ワン閣下がホンの邸宅を訪れ、ユエン家の事件に頭を悩ませていると、ホンはワン閣下に賄賂を渡し、犯人を仕立て上げればいいと入れ知恵します。
さらにホンは役人のリン(孫樹培)も買収し、ワンファーの証言を歪曲させようとします。
買収されたリンは強い口調でワンファーを脅し、犯人の身体的特徴の証言を無理やり変えさせます。

 

ホンたちは全うな捜査を続けるホーが邪魔になり、ホーに別の仕事を与えて遠くに追いやります。
ワン閣下は酒場にいるリーが真犯人だと告げ、すぐに捕まえるようマーたちに命じます。

 

マーたちがリーを逮捕しようとすると部下から話を聞いたホーが駆けつけ、リーを庇います。
マーの説得に応じないリーでしたが、ホーに促されると素直に従い、法廷へと向かいます。
ホーは頼まれた仕事のため持ち場を離れます。

 

無実のリーは自信満々で裁判に挑みますが、買収されているワンファーはリーを犯人だと証言します。
これに納得できないリーは抗議します。
ワン閣下はホーが戻ってから再審すると言います。

 

ホンは鋼鉄の体のガマ拳にも必ず弱点があると言い、無数の針で作られた鎧「万針衣」という拷問道具を作らせます。

 

マーは留置所にいるリーに差し入れをします。
毒が入っているのではないかと怪しむリーを見てマーが目の前で毒味をし、それを見て信用したリーは食事に手をつけます。
しかし2度目の差し入れには睡眠薬が混入されており、リーは昏睡状態に陥ります。

 

リーが意識を失っている隙に万針衣に押し込もうとしますが、寸前で目を覚ましたリーは抵抗。
するとホンが立ちはだかり、ホンのバングルについている蛇の飾りを見たリーは、ホンがヘビ拳の使い手である2番弟子だと知ります。

 

リーの猛攻に押されるホン。
しかし突如飛んで来た手裏剣によってリーは弱点である耳を負傷します。
手裏剣はサソリ拳を使う3番弟子の物で、リーは役人の中に3番弟子がいると確信します。
ホンはリーの耳に強烈な突きを食らわせ、さすがのリーも身動きが取れなくなり、その隙に役人たちがリーを万針衣に押し込みます。
しかしリーが気絶してしまったため、ホンは新たな拷問道具を用意させます。
目を覚ましたリーに熱した鉄を当てると、リーは再び気絶してしまいます。

 

結局リーが気絶したまま裁判が行われ、ワンファーの証言からタンは無罪となり釈放されます。
閉廷後、タンとホンは用済みになったワンファーを口封じのために殺害します。
リンは投獄されているリーを自殺に見せかけて殺害しますが、真相を知るリンはタンたちに殺されてしまいます。
邪魔者は全て始末して安堵するタンですが、ホンはヤモリ拳の4番弟子の存在を懸念しています。

 

同僚たちからリーの死や裁判の経緯を聞き、戻って来たホーは愕然とします。
マーは病気の母の世話をするため、辞職して実家へ帰ると言い、ホーに自分の後任を任せます。

 

酒場で同僚(林輝煌)からリーが死に至った経緯を聞きます。
ホーはワンファーとリンが突然死したと思っていますが、監察医(王憾塵)から2人は何者かに殺害されたと知らされます。

 

5番弟子のリーが死んだ時、ホンは僅かに自責の念に駆られていました。
ホンは裕福な家庭で育ったので本当は宝に興味はありませんでした。
3番弟子の命令で仕方なく殺戮を行っていたのです。

 

ヤンは裏で五毒門の弟子についてずっと調べており、3番弟子以外の弟子たちを把握します。
ヤンはホーの前に現れると2人は手を組み、兄弟子たちを倒すために稽古を開始します。

 

稽古を終えるといよいよタンとホンの所へ乗り込みます。
途中で辞職したマーと出会い、3人でホンの屋敷へ向かいます。

 

五毒門の弟子同士の戦いが始まります。
ホーの動きで、タンとホンはようやくホーがヤモリ拳の4番弟子だと知ります。

 

ヤンとホーに攻められピンチに陥るホン。
ここでようやく4人の戦いを傍観していたマーが動き出し、ホンに向けてサソリ型の手裏剣を投げます。
サソリ拳の3番弟子はマーだったのです。
隙をついてホンはマーの腹部を突いて大怪我を負わせますが、マーの蹴りを食らい死亡します。

 

ホーとヤンはタッグを組み、ヤモリ拳を発動し、重傷を負ったマーに止めを刺し、タンも倒します。
ホーはマーの遺体から奪われた宝の地図を見つけると、師匠の遺言に従って宝を放棄することにするのでした。

 

不気味で終始暗~い雰囲気で決して明るい作品ではないのですが、私は好きな作品です(*‘∀‘)
ストーリーはサスペンス調でハラハラして面白いですし、五毒門のキャラクターたちが個性的でとても楽しめます♪
同じ門派で修行をしていても、悪の道に走ってしまう人は走ってしまうんですね…。
同門で争わなければいけないなんてもどかしい( ;∀;)

 

70年代中盤になるとチャン・チェ監督は台湾で作品を撮るために「長弓電影公司」という映画会社を作るんですけど、当時は台湾で興行収入を得ても香港へ持ち出すことはできなかったそうです。
当時の台湾映画界は黒社会が牛耳っていて、倉田様も大変な苦労をされたようで…(;´Д`)
台湾で武術ができる役者を集めていたので、その後、香港に戻って五毒拳を撮ったそうです。
70年代後半というと、ゴールデン・ハーベストの勢いに押され、ショウブラザーズが衰退し始めていった時期だなんて言われていますが、面白い作品たくさんありますよ('ω')ノ
カーリョンさんの監督作品は70年代中盤~80年代ですし。

 

江生(ジャン・シェン)は台湾戯劇学院出身で、小柄ですがアクロバティックなカンフーが素晴らしい☆☆
しかし若くして亡くなられて残念です。
心臓発作で亡くなられたそうなのですが、お酒が原因だとも言われていますね。
仕事のことで悩んでいたという話も聞いたことがあります。

 

当時はまだ「郭振鋒」ではなく「郭追」の名前でクレジットされていました。
フィリップ・コクはジャン・シェンや鹿峰(ルー・フェン)と同じ台湾戯劇学院出身です。
お父さんが日本人で、少し日本語が話せるそうです。
五毒メンバーで活躍されていた作品以外だと「ハード・ボイルド 新・男たちの挽歌(辣手神探)」に出演されていたマフィア役がカッコよくて好きなんですよね(*'ω'*)
ちなみにイングリッシュネームの「フィリップ」はチョウ・ユンファが名付けたらしいです(*‘∀‘)
海外進出する際に英語名があった方がいいということで付けたんだったかな。

 

私が韋白(ウェイ・パイ)を初めて観た作品はジャッキーのヤンマスだったので、五毒メンバーのイメージよりゴールデンハーベスト時代の印象が強いです(*‘∀‘)

 

劇中での孫建(サン・ジェン)のキックがメッチャかっこいい!
テコンドーをされていたそうなので、納得!
サン・ジェンは90年代初めに引退されていて、現在はどうされているのか分かりません。

 

五毒メンバーは劇中でほとんどダブルを使用していないですね。
ジャッキーやリンチェイほどのアクションスターでも吹き替えは結構使いますが、スタントマンの成長や雇用のためだったり、代えがきかないスターの大怪我を避けるためなど、様々な理由があります。

 

ゴールデン・ハーベストに入る前の若きディック・ウェイが出演されていますが、まだ20代なのにおじいさんという超老け役でした(^▽^;)