めぐちゃんの香港映画感想ブログ

ネタバレおもいっきりあります。

SPIRIT

SPIRIT

原題 霍元甲

製作 2006年

めぐちゃんの満足度 ★★★★★

 

于仁泰(ロニー・ユー)監督、李連杰ジェット・リー)主演のカンフー作品です。
実在した中国の武術家、霍元甲(フォ・ユァンジャ)を題材にした作品で、「ドラゴン怒りの鉄拳(精武門)」で陳真(チェン・ジン)の師匠としてご存じの方も多いかと思います。
かくいう私も精武門で知ったんですけどね(^^;)

 

1870年の天津、フォ・ユァンジャは武術に興味を持っていましたが、父親のフォ・エンディ(鄒兆龍)はユァンジャが道場へ来ることを許してくれません。
それでもユァンジャは友人のジンスンに宿題を押しつけ、独学で武術の鍛錬を続けます。

 

ある日、エンディ対チャオの試合が行われます。
優勢だったエンディがチャオにとどめを刺そうとしますが、寸前で動きを止め、チャオはエンディを競技台の外に突き飛ばします。
エンディが負けて悔しがるユァンジャはチャオの息子であるジェンと決闘することになりますが、ユァンジャはジェンに敗れます。
この敗北を機にユァンジャは誰にも負けないことを誓い、フォ家の武術書を持ち出し、ジンスンと協力して必死に書き写します。

 

ジェンと決闘したことがエンディに知られて𠮟られますが、ユァンジャの母(鮑起靜)が止めに入ります。
ユァンジャが喧嘩で勝つために武術を習おうとしていることを知った母は、武術は喧嘩に勝つためではなく、自分自身に打ち勝つためだと諭します。
母の言うことに聞く耳を持たず、ユァンジャは必至に武術の鍛錬に励み、再びジェンと闘ってついにジェンを倒します。

 

1900年、大人になったユァンジャ(李連杰)は天津一の武術家になるために鍛錬を続けています。
挑戦状が届き、大人になったジェン(馬中軒)と再び対決することになります。
ジェンは虎爪拳でユァンジャに挑みますが、鼠径部を突かれバランスを崩し、競技台から落下します。

 

ジンスン(董勇)が経営する酒家でユァンジャの勝利を祝います。
ユァンジャが勝ち続ける度に弟子の数もどんどん増えて行きます。
ジンスンは闘い続けるユァンジャのことを心配し、人付き合いが増えて飲食代が嵩み、フォ家の家計を圧迫します。

 

ある日、弟子が武術家のチン(陳之輝)にやられたことを知ったユァンジャは、チンの誕生日会が開かれているジンスンの酒家へ乗り込みます。
ユァンジャはチンに挑戦状を叩きつけるとジンスンはユァンジャを制止しますが、忠告を聞き入れないユァンジャをついに見限ります。

 

ユァンジャとチンは酒家で対決することになります。
剣を使った死闘が続き、剣が折れると拳で闘い、勝つことだけに執着したユァンジャは渾身の一撃をチンに浴びせます。

 

ユァンジャが勝ちましたが、なぜか心が晴れません。
その後、重体だったチンが死亡したとジンスンから聞かされるユァンジャ。
空虚感を感じながら町を彷徨った後、自宅へ戻ると母親と娘のツイが殺害されているのを発見します。
2人を殺害したのはチンの義理の息子(向佐)で、チンを殺された復讐のためにユァンジャの家族に手を出したのです。
ユァンジャがチンの屋敷に乗り込むと義理の息子は自害し、すぐそばには怯えるチンの妻と娘がいましたが、ユァンジャは2人に手を出さずに去ります。

 

生きる気力を失ったユァンジャはあてもなく彷徨い続け、意識を失います。
ユァンジャは村の人たちに助けられて一命を取り留めます。
村のスンおばあちゃん(曲雲)と孫のユエツー(孫儷)が懸命にユァンジャの世話をして、ユァンジャは起き上がれるまでに回復します。

 

村で飼っていた牛が死に、少年のクイは悲しみます。
スンおばあちゃんは命あるものは必ず死ぬのだとクイに優しく語りかけます。
しかし死を受け入れられないクイは他所の村の牛を盗み、村人たちに捕まってしまいます。
盗みを働いた者は線香が燃え尽きるまで叩かれるという村の掟があり、見兼ねたユァンジャが身代わりになると申し出ます。
ユァンジャは黙って殴られ続け、線香が燃え尽きると村人たちは許してくれます。

 

クイは喧嘩に勝つためにユァンジャに武術を習いたいと申し出ますが、ユァンジャは武術を何のために習いたいかよく考えるように言います。

 

ユァンジャが村に来てから月日が経ち、墓参りのために故郷に帰りたいとユエツーに告げます。
ユァンジャはユエツーに必ず戻ると約束し、帰郷します。

 

自宅へ戻ると使用人のライフー(丁亮)が出迎えてくれます。
借金を抱え、家財道具が次々と差し押さえられますが、ジンスンのおかげで自宅は差し押さえられずにすんだとライフーから聞かされます。

 

ユァンジャは父がチャオとの闘いでなぜとどめを刺さなかったのか、ようやく理解します。
墓前で母と娘のツイに謝り、ジンスンのもとへ向かいます。
縁を切られたジンスンと会うことが出来ず、ユァンジャはチンの屋敷へ行き、チンの妻に弔いをさせて欲しいと頭を下げます。

 

新聞で外国人格闘家が中国人を侮辱しているという記事を読んだユァンジャはもう一度ジンスンに会いに行きます。
ユァンジャは上海で行われる試合に参加するため、ジンスンに費用を貸して欲しいと頼みます。
始めは断られましたが、お金を貸してくれるジンスン。

 

上海で外国人格闘家のオブライアン(Nathan Jones)と対戦します。
体格が大きく、怪力のオブライアンに苦戦するユァンジャ。
オブライアンはフライングボディアタックでユァンジャを攻撃しますが、ユァンジャはオブライアンの技を受け止めます。
とどめを刺すことはしませんでしたが、ユァンジャの勝利が決まります。

 

ジンスンはユァンジャとの友情を捨ててはいませんでした。
殺気が消え、すっかり穏やかになったユァンジャを見てジンスンは驚きます。
ユァンジャは武術の強さだけではなく体と心、徳を育てるために1910年に精武体操会を設立し、酒家を売却したジンスンは資金面でユァンジャに協力するため上海へ留まることにします。

 

多額の賭け金が動いている商工会議所ではユァンジャを敗北させるために4人の格闘家と闘わせようと画策しています。
試合が始まり、ユァンジャはボクシング王者のスミス(Jean-Claude Leuyer)を倒し、ベルギー近衛兵のヘルゾグ(Brandon Rhea)、フェンシング王者のガルシア(Anthony De Longis)も倒します。
最後の相手は日本人の田中安野(中村獅童)ですが、田中は連戦で不利な状態のユァンジャを気遣って日を改めることを提案しますが、ユァンジャはこのまま試合を続けると言います。

 

前半戦はそれぞれ武器を用いて闘います。
しかし何としてもユァンジャには負けてもらわなければ困る商工会議所の関係者たちはユァンジャの茶を毒入りの茶と入れ替えます。
後半戦が始まるとユァンジャの体に異変が現れます。
血を吐き、茶に毒が混入されていたことを知った弟子が仇を取ろうとしますが、ユァンジャは憎しみはさらなる憎しみを生むだけだと言って止めます。

 

ジンスンは試合を中止するように促しますが、ユァンジャは試合を続行します。
意識が朦朧とする中、ユァンジャは渾身の一撃を放ち、田中の胸の前で寸止めするとそのまま倒れます。
田中はユァンジャを起こし、ユァンジャの勝利を宣言します。

 

商工会議所の三田(原田眞人)は田中に詰め寄り、田中の敗北に猛抗議します。
田中は裏工作があったこと、ユァンジャの一撃で勝負が決まっていたことを悟り、貪汚な三田を非難します。

 

その後、ユァンジャは毒によって死去しますが、ユァンジャの武術精神は後世に受け継がれていきます。

 

劇場版は本編が大幅にカットされています。
以前レビューした時は短縮版のDVDを参照にしていましたが、ノーカット版のDVDを購入して改めてレビューしました。
ノーカット版を観賞して、もっとこの作品が好きになりました(*^^*)
武術とは争いを止めるもので、自分自身に打ち勝ち、相手を傷つけるためのものではありません。
世界には様々な格闘技が存在しますが、争いをしないための格闘技なんて武術以外に存在するのでしょうか。
武術って本当に素晴らしいですね。

 

実在の人物を題材にする時、表現方法によっては関係者の意向に沿わないことも多々あるようで、これは仕方ないですね。
映画はあくまでフィクションなので、寛大な処置をお願いしたいところであります。
もちろん著しく侮辱した内容や表現はよくありません。

 

霍元甲が亡くなったのは42歳といわれていますが、この時のリンチェイも42歳なんですよね。
劇中では霍元甲の父親である霍恩第が先に亡くなっていますが、実際は霍元甲の方が先に亡くなったそうです。

 

ジンスンは本当にいい友達だなぁ。
子供の頃からユァンジャのわがままに付き合わされて、大人になってもユァンジャを手助けしてくれるし(:_;)

 

ユァンジャがジェンと闘う競技台がやたら高い所にあったけど、やはり合成でした。
あの高さから落ちたら普通死ぬと思うのですが、ジェン生きてた(;^_^A
始めはユァンジャを目の敵にしていたジェンだけど、上海で再会した時にお互いを敬う関係になっていたのが嬉しかった(^^)

 

村のシーンが良かったなぁ(^-^) 空気がおいしそうだった。
うまく田植えが出来ないユァンジャに対してユエツーが苗は間隔を空けて植えなければいけないと教えるシーン。
「人間関係も苗と同じでお互いを敬うことが大事」だという言葉、素晴らしいです。
スンおばあちゃんの「人の命を救いたいなら自分の命も粗末にしてはいけない」という言葉も印象に残りました。
スンおばあちゃん、とても優しくて穏やかで、荒んだ心が洗われますね(T_T)

 

香港映画で悪役として登場する日本人って姑息で悪い奴が多いけど、田中は礼儀を重んじる人物でした。

 

ひとつ引っかかるのは劇中の時系列の表記について。
ユァンジャは1910年に42歳で亡くなっています。
ユァンジャの壮年時代を描いていたのが1900年。
そこから30年前にユァンジャの幼少時代を描く設定にすると、幼少時代のユァンジャは2歳ということになると思うのですが(^^;)
20年前という設定にすれば12歳なのでちょうど良いのではないでしょうか。