イップ・マン 継承

イップ・マン 継承

原題 葉問3

製作 2015年

めぐちゃんの満足度 ★★★★★

 

葉偉信(ウィルソン・イップ)監督、甄子丹(ドニー・イェン)主演のイップ・マンシリーズの第3弾です。

 

マン(甄子丹)の長男であるチュンは勉学のため佛山へ行き、マンは香港で詠春拳を教えています。

 

マンの次男のチン(王實)と同級生のフォン(崔璨)が学校でケンカをしてしまい、ウォン先生(吳千語)が仲裁に入ります。
マンとマンの妻であるウィンシン(熊黛林)はフォンを自宅に招いて食事をします。
子供たちは仲直りし、フォンの父親のチョン(張晉)がフォンを迎えに来ます。

 

違法賭けボクシングの元締めや不動産業を営む裏社会のボスであるフランキー(Mike Tyson)はチンの通う学校の土地を狙っており、フランキーの下で実務を任されているサン(譚耀文)に地上げを命じます。
サンは子分たちを引き連れて学校に押し入り、校長に土地を手放せと脅します。
マンが助けに入り、警察を呼んでサンたちを追い払いますが、サンたちは学校を封鎖し、翌日には学校に火を放って校長を連れ去ります。
現場を通りかかったチョンはマンに加勢して子分たちを倒します。
校長を助け、サンたちは退散しますが、マンはしばらく学校を見張ることにします。

 

サンはティン師匠(梁家仁)の元弟子で、学校での事件の話を聞いたティンは怒りを露わにします。
ティンはサンを説得しますが、ティンの言葉は届かず、サンはかつての師匠であるティンに危害を加えようとします。
警察官のポー(鄭則仕)が騒ぎを止めに入り、いったんこの場は収まります。
ポーの上司がサンたちと結託しているため、ポーはフランキーには逆らえないといいます。
マンは市民や子供たちを守ることができない状況に失望します。

 

チョンは武館を開くために物件を探していますが、車夫の仕事だけでは武館を開く資金が足りず、違法賭け試合で金を稼いでいます。
サンはチョンに金を渡してティンを倒してほしいと依頼します。
金が必要なチョンは依頼を引き受け、ティンを倒して大怪我を負わせます。

 

サンはついに子供たちを誘拐し、校長を連れて来なければ子供たちを売り飛ばすと脅迫します。
マンはサンたちが潜伏する造船所へ乗り込みますが、子供を人質にされてしまい手が出せません。
チョンが現れ、人質の中にチョンの息子がいることが分かると、サンは息子のフォンだけ解放します。
チョンはフォンを連れて立ち去ろうとしますが、引き返してサンの子分たちと戦い、マンは人質にされたチンを救出します。

 

ウィンシンは体調不良を感じ、医者からガンの疑いがあると言われます。
ウィンシンは病気であることをマンに伝え、2人で診療所を訪れるとウィンシンのガンは手術も薬物療法も難しいと医者から告げられます。

 

マンを目障りに思ったフランキーは殺し屋のサルー(Sarut Khanwilai)にマンを倒すように命じます。
マンたちは診療所の帰りにエレベーターの中でサルーに襲われますが、マンはサルーを倒して追い払います。

 

マンは学校の事件の主謀者であるフランキーの元へ向かいます。
マンが武術の達人だと知ったフランキーは勝負を挑んで来ます。
フランキーはマンが3分間ダウンしなければ見逃すことを約束します。
フランキーの猛攻に苦戦するマンですが、なんとかダウンせずに3分経ち、フランキーは約束通り見逃してくれます。

 

チョンは各流派の師匠たちに勝負を挑み、次々と倒していきます。
一気に名を上げたチョンは正統派詠春拳の看板を掲げ、武術とは技を競い合うものだと豪語し、マンに宣戦布告。
マンはウィンシンとの残された時間を過ごすことを優先し、チョンの挑戦を見送ります。
ウィンシンの容態はどんどん悪くなっていきますが、ウィンシンはマンが戦うべきだと思い、残る力を振り絞ってチョンに挑戦状を書きます。

 

マンとウィンシンはチョンの武館へ向かいます。
マンとチョンは詠春拳の代表的な六點半棍、八斬刀を使用して戦います。
根術・刀術は互角で、最後は拳術で戦います。
マンは目にチョンの突きを食らい、よろけますが、チョンのみぞおちに渾身の突きを食らわせます。
チョンは自分の詠春拳が負け、意気消沈。
マンは自分の傍にいる人を大事にするのが最も大切なことだと言います。
その後、ウィンシンはガンで亡くなり、チンは父親の弟子となって詠春拳を継承します。

 

本作では今まであまり触れられなかったイップ・マンとウィンシンについて描かれています。
ウィンシンが病気になってイップ・マンが泣くシーンが印象的でした。
今までどんなに辛いことがあってもほとんど涙を見せなかったイップ・マンが泣くなんて、妻を本当に大切に想っているんですね。
ウィンシンは夫を陰で支えて見守り、武術家の妻としての役目を果たそうとしていました。

 

アクションやドラマの部分以外ですと、前作よりも美術セットがすごく素敵だなって思いました。
1950年代のレトロモダンな家具やインテリアの色調が美しくて古装片とはまた違った魅力があります(*^^*)

 

私はボクシングは詳しくないのですが、マイク・タイソンは私の世代ど真ん中で大変有名なので存じております。
ボクシングそのものよりも彼の悪行…やんちゃな印象が強いですね(^_^;)
ドニー様の虚歩すごかったなぁ( ゚Д゚)

 

サンが師匠であるティンに暴行を加えるということは師弟関係の根底を揺るがす由々しき行為です。
あとチョンに対して言いたいのは武館を開く前にティン師匠に謝ってほしいということですね。
暴行した人間が詠春拳の名を語るなんて許されないと思います。

 

ブルース・リーの役を演じているのは少林サッカーなどでおなじみの陳國坤(チャン・クォックワン)です。
劇中では「小龍(シウロン)」と呼ばれていました。
リーがダンスをするシーンがあって、実際リーは学生時代にダンスをやっていたそうです。
なんか意外です(*'ω'*)
シウロンがカップに入った水を蹴ることができずにイップ・マンの弟子入りを諦めて立ち去るシーン。
水というと「Be water」を彷彿とさせます。
「Be water」とはブルース・リーの名言のひとつで、型に捉われることなく柔軟な思考を持って行動すれば強く生きられるという考え方です。

 

Empty your mind.
心を空にしろ。

Be formless, shapeless, like water.
形を取り去って、型を無くせ、水のように。

Now you put water into a cup, it becomes the cup,
カップに水を注げば、水はカップになり、

you put water into a bottle, it becomes the bottle,
ボトルに水を注げば、水はボトルになり、

you put it in a teapot, it becomes the teapot.
ティーポットに水を注げば、水はティーポットになる。

Now water can flow or it can crash.
水は流れることも、破壊することもできる。

Be water, my friend.
水になれ、友よ。