オン・ザ・ラン 非情の罠

オン・ザ・ラン 非情の罠

原題 亡命鴛鴦

製作 1988年

めぐちゃんの満足度 ★★★★

 

張堅庭(アルフレッド・チョン)監督、元彪(ユン・ピョウ)主演のサスペンス作品です。
これまでアクション映画で活躍されていた元彪が今回はノワール作品でシリアスな役柄を演じております。

 

本日7月26日は元彪の誕生日なので出演作品をレビューしてみました(*^-^*)
生日快樂、彪哥♪

 

警察官のミン(元彪)は妻で麻薬捜査官のロー(陳玉蓮)と離婚調停中ですが、ミンは離婚をしぶっています。
結局離婚話は進展せず、ミンはレストランを後にします。

 

しばらくすると女がレストランに入店し、ローを殺害します。
ミンの同僚のファイ(林立三)とジョニー(林保怡)はローが殺されたことをミンに伝えると、ミンは急いでレストランへ向かいます。

 

犯罪捜査課の警察官たちも駆けつけますが、彼らは麻薬密売を行う汚職警察官です。
ルー警視(秦祥林)とローは関係を持っていて、これが原因でミンと離婚話に発展。
ルーは警察官でありながら麻薬の横流しを行っており、ローは麻薬を取り戻すようにルーを説得しますが、ルーは取り戻すつもりはなく、ローの殺害に至ったのです。

 

ルーたちはチンという男に殺しを依頼しましたが、チンは実行犯である殺し屋に依頼をしており、ルーたちはチンと殺し屋が口を割ることを懸念し、チンを電話ボックスに呼び出しトラックで轢きます。
ミンは新聞の記事を見てチンが轢き逃げされたことを知り、事件があったレストランにチンがいたことを思い出し、チンが入院している病院へ向かいます。

 

ルーの仲間であるシー(羅烈)たちが先に病院を訪れており、重傷のチンから殺し屋の居場所を聞き出します。
シーたちが去った後にミンがチンの病室を訪れると、チンはミンに殺し屋の居場所を告げて巻きたばこを差し出すと息を引き取ります。
シーたちが去り際に酸素チューブに切れ込みを入れていたのです。

 

ミンは殺し屋のチュイ(夏文汐)を発見し、妻を殺したことを責めます。
ミンはチュイを拘束し、ルーに連絡して応援を頼みます。
しかしやって来たのは応援ではなくルーの刺客で、ミンたちを襲います。

 

チュイはミンの銃を奪い、刺客がひるんだ隙にミンと逃げます。
身の危険を感じたミンは義母(李香琴)に電話をかけ、すぐに自宅から避難するように伝えます。

 

チュイは負傷したミンを手当てした後、避難してきたミンの娘であるリン(陳卓欣)の相手をして歌を教えます。
ルーに不信感を抱いたミンは義母とリンを連れて別の場所に移動しようとしますが、家を出るとルーの仲間のワー(元華)とトウ(杜德智)が現れ、義母が撃たれます。
ミンはいったんリンを置いて外に出ると、ルーたちから命を狙われていることをファイたちに伝えます。

 

リンはトウに捕まり人質にされますが、チュイがリンに教えた歌を口ずさむと、メロディに合わせてリンが頭を横に振ったため、銃弾がトウに命中します。
リンを助けたチュイは捜査員たちに追いつめられたミンも助け、逃亡します。
ミンはチュイに今すぐ香港を離れるように言いますが、チュイは親族であるチンを殺され、復讐を考えています。

 

ミンは義兄の所へ行き、リンを預かってもらうことにします。
義兄は快く受け入れてくれますが、騒動に巻き込まれたくない兄嫁は猛反対。
兄嫁の反対を押し切り、ミンは義兄にリンを預けて出て行きます。

 

ルーたちにハメられて指名手配されてしまったミン。
ミンはルーこそが今回の事件の黒幕だとファイたちに言います。
ジョニーたちはルーを徹底的に調べ上げ、逮捕するための証拠を集めることにします。
ファイは見張りのために外で待機し、ジョニーがルーの自宅を捜索します。
すぐにルーたちが帰宅したのでファイはジョニーに帰宅を知らせますが、逃げそびれたジョニーは殺されてしまいます。

 

殺害したジョニーからミンの居場所を聞き出したルーたちがミンの隠れ家に向かいます。
ファイは急いでミンたちを逃がし、その場にとどまります。
ファイは決して口を割りませんでしたが、ルーたちに殺されてしまいます。

 

チュイは逃亡の際、手助けをしてくれるクエイという男を訪ねるように言われていました。
義兄の家からリンを連れ出してクエイの所にやってくるミンたちですが、クエイに裏切られ、リンが連れ去られます。

 

リンを助けますが、ワーたちが現れて銃撃戦になり、ミンたちはバイクに乗って逃走します。
なんとか振り切りますが、リンが銃撃戦によって命を落とします。
リンを葬ると、チュイはルーを殺すことを決意します。

 

ルーたちがいる自宅へ侵入するミンとチュイ。
4人に銃を向けると、ワーが命乞いを始めます。
追いつめられた4人は金を山分けしようとミンたちに持ちかけます。

 

ルーはミンたちを信用させるために自傷しますが、動揺したミンたちの一瞬の隙をついて攻撃します。
ルーの仲間たちも次々と銃弾に倒れていき、ルーはミンを追いつめますが、ミンも必死に応戦します。
ミンに追いつめられたルーは戦意喪失、逮捕されたミンとチュイは刑務所に収監され、長い服役生活を送ることになります。

 

暗い話ですが、私は気に入っている作品です♪
久々に観直してシリアスな元彪もイイなと思いました(*^^*)
80年代半ばを過ぎるとノワールニューウェーブなどが台頭してきて、香港映画のアクションジャンルが徐々に勢いを失い始める頃。
アクションだけではなく、役者として演技の幅を広げようとされていたんだろうなぁ。

 

元彪もとても良かったのですが、個人的には夏文汐(パット・ハー)がお気に入り♪
クールな殺し屋を見事に好演されていて、プロフェッショナル感を感じました(*'▽') カッコいい!!

 

あと劇中で流れる音楽が好き(^^♪
サスペンスな雰囲気が際立つ、ちょっと不気味だけど良い曲なんです。

 

日本語字幕だと羅烈(ロー・リエ)さんの役名が「シー」になってたけど、オリジナル音声では「チャップ」でしたね。
元華さんたちは役名が分からなかったので名前から拝借しています。

 

ちょっと引っ掛かるのは、チンが死んだら殺し屋の居場所が分からなくなっちゃうんだから、チンをトラックで轢くのはかなりリスク高いよね。
しかもシーたちがチンを窒息させて心肺停止状態にしてから蘇生させていたけど、蘇生しなかったらどうするつもりだったんだろう?
あとミンが巻きたばこのケースを見てチュイがタイ人だと確信するのですが、巻きたばこのケースを持っているだけでタイ人だと断定するのは多少強引な気がする(^^;)

 

今回アクションは少なめですが竹の足場から街灯に飛び移るの凄いわ~。
あれ失敗したら大惨事だよ…。

 

チュイの「人命平、耳環貴。」という言葉。
「人の命は安いが、イヤリングは高い。」という意味なのですが、非情さを感じる台詞ですね。
非情であってもリンを可愛がっていましたし、人の心が完全に無いわけではありません。
でもリンにとっては母を殺した仇なんだよなぁ。
一方ミンはチュイに妻を殺された憎しみと、助けてくれた恩義の間で葛藤していたんだろうなぁ。

 

ラストはいつものキレのいいアクションと違って泥臭い感じ。
でもノワールなのでこういうのもアリかな('ω')ノ
逆にシリアスノワールであまりにもアクションがキレキレ過ぎてもストーリーとの乖離が生じそうだし、いいのかもしれない。