PTU

PTU

原題 PTU

製作 2003年

めぐちゃんの満足度 ★★★★

 

杜琪峯(ジョニー・トー)監督のサスペンスノワール作品です。

 

「PTU」とは「Police Tactical Unit」の頭文字を取った組織名で日本語でいうと「警察機動部隊」です。
事件の捜査は行いませんが、治安維持のための巡回や防犯が主なお仕事で、日本の自衛隊のように災害時に派遣されたりとかもするそうです。
あと香港デモの際にPTUが民衆を鎮圧している様子がありましたが、機動部隊なので暴動を制圧する役割もあります。
ちなみに香港映画でもよく耳にする「CID」とは「Criminal Investigation Department」の略で、犯罪捜査をする捜査員のことです。

 

チンピラのリーダー格であるマー(趙志誠)が何者かに背後から包丁で背中を刺されます。
マーは背中に包丁が刺さったまま男を追いかけますが、途中で息絶えます。

 

組織犯罪課のサァ(林雪)は挑発してきたマーの子分たちを追いかけますが、転んで頭を打ち、気を失ってしまいます。
PTUが駆けつけ、目を覚ましたサァがホルスターを確認すると銃が無いことに気づき、マーの子分に盗まれたのだと確信します。

 

PTUのキャット(邵美琪)はすぐ本部に連絡しようとしますが、同僚のホー(任達華)は制止し、本部に連絡せずに銃を探すことにします。
丸腰は不安なので、サァは緊急措置としてハッタリが効くようにモデルガンを購入します。

 

PTUはゲームセンターに立ち入り、ホーはマーの従兄弟であるワーを見つけるとマーの携帯に電話させます。

 

マーが死んでいる現場に行くと捜査が行われていました。
マーの携帯が鳴っていることに気づいたサァはこっそりマーの携帯を持ち出し電話に出ます。
ワーはホーに電話を代わり、サァはマーが殺されたことをホーに伝えます。

 

CIDが現場に到着するとサァは自分の携帯とマーの携帯をすり替えるという賭けに出ます。
CIDはサァの携帯とは知らずにそのまま証拠品を押収します。

 

捜査を続けるPTU。
夜中に子供が現れても保護する素振りも見せず、紛失した銃を探すことを優先します。
PTUが怪しい男を発見すると男は一目散に逃走しますが、捕えて暴行を加えます。
男を死なない程度に痛めつけ、マーの子分の居場所を聞き出します。
仲間の隊員たちは危険を感じ、これ以上捜査したくないとしぶりますが、ホーは一貫して銃を探そうとします。

 

フェイ(王天林)の話によると今回のマー殺しはギョロメ(高雄)の子分が独断で行ったもので、ボスであるギョロメは一切関わっていないといいます。
しかしギョロメは命を狙われてしまい、警察に保護を求めています。

 

PTUは男から聞いたアジトを見つけ突入すると女たちがいて、マーの子分たちは何者かにすでに連れて行かれたと供述します。
サァがマーの携帯電話をすり替えたことを知らないホーは、サァに電話をかけるとCIDが電話に出ます。

 

マーの父親であるハゲ(盧海鵬)はマーの子分たちを監禁し、サァを呼び出します。
息子のマーを殺された怒りが収まらないハゲは、サァにギョロメの殺害を手伝うように要求します。
ギョロメを保護するか、ハゲと協力して復讐に加担するか、サァは板挟み状態になってしまいます。

 

茶樓でホーと待ち合わせをしたサァは抗争が行われる午前4時に広東道には行くなとホーに言います。
押収した携帯電話がサァの物だと気づいたCIDが茶樓にやって来ますが、サァは裏口から逃げ出します。

 

ギョロメを保護するつもりのサァですが、ハゲとの約束を破るわけにはいかず、やむを得ずハゲにギョロメがやってくる時間と場所を教えます。

 

仲間のPTUはサァの不正に巻き込まれることを懸念しホーを引き留めますが、ホーは聞き入れません。

 

午前4時、別行動のキャットたちが現場でスタンバイ。
ギョロメが姿を現し、ハゲもすぐにやって来たためギョロメはサァの裏切りを知ります。
CIDとホーたちの班が駆けつけると、ハゲもサァに裏切られたことに気づきます。

 

ハゲが銃を取り出したのを皮切りに銃撃戦が始まります。
偶然現場には犯行を終えた強盗グループが居合わせ、強盗グループも銃を取り出したためPTUとCIDが応戦します。

 

サァが所持しているのはモデルガンなので戦力になれず、現場から逃げ出します。
ギョロメとハゲは互いに撃ち合い、死亡。
PTUに撃たれた強盗グループも次々と死亡します。

 

路地まで逃げて来たサァはなんと再び滑って転び、床に手をつくとなんと銃が落ちており、それはサァの物でした。
銃は盗まれてはおらず、最初に転んだ時に落としていたのです。
サァは銃を取り戻し、追ってきた強盗(羅靖庭)に発砲して制圧します。

 

PTUは本部に連絡し、捜査員たちは事件の報告をします。
サァの銃も見つかりこれにて一件落着。
銃撃戦中、車内に退避していた子供は車上荒らしで、悠々と現場から立ち去るのでした。

 

途中、少し間延びしている感じもありましたが私は気に入っている作品です☆
好みが分かれる作品かもしれないですね。
鎗火などの作品を期待していると肩透かしを食うかも。

 

視覚的にはPTUたちの行動や香港の夜の街並みの映像など抜群のセンスで、引き込まれます。
照明の使い方もかっこよくて凄く好きです。
隊員たちの行動に関しては徹底的にリサーチしたと監督は仰っていました。
でもリアリズムを追求し過ぎるとドキュメント作品っぽくなってしまうので、エンタメ作品ってその辺のバランスが難しそうですね。

 

トー監督の作品って余計な台詞が少なくて、「画」で見せるところが素敵です。
本来映画とはそういうものだそうで…。
最近の映画は説明口調で興ざめ、台詞が多くて辟易していると仰っている映画フリークの方もいらっしゃいますね。
なかなか辛口ですね…(;'∀')

 

緊張感のある作品なのですが、所々くすっと笑えるシーンがいいですね♪
冒頭の飲食店では空調が水漏れしていて、みんなが無言で席の奪い合いをするのが笑える(-∀-)
林雪が2回もバナナの皮で滑っていましたが(笑)、バナナの皮って意外と思っていたほど滑らないんですよね(^^;)

 

マーは背中をグッサリ刺されてよく走れるなって思いました(゚Д゚;)

 

香港のゲームセンターにあるアーケードゲームって日本の物をそのまま使用しているケースが多いらしいです(・∀・)
文字が理解できなくてもゲームをするのにそこまで大きな支障はないですからね。
RPG系とかだと困りそうだけど。
そもそも日本のアーケードゲームも初期の頃はほとんど英語表記でしたよね。

 

黃華和(ウォン・ワーウー)演じる鑑識が私服だったんですけど、私服の鑑識って実際いるんですかね?
日本では見たことない。
あと電話で話していた「XYLEM」って専門用語かな?
調べてみたけど難しくてよく分からなかった。

 

CIDって証拠品の押収って行うのかな??
鑑識のお仕事のような気がするけど。
てかサァが携帯電話をすり替えるのは危険な賭けだなぁ。
調べたらすぐに分かっちゃうし。

 

本作は警察官の「身内」のために動く仲間意識の強い姿勢が窺えます。
ゲームセンターのシーンでは店内の防犯カメラの電源を切って暴行の証拠が残らないようにしたり、男を尋問するシーンでは靴を脱いで隊員が暴力を振るった証拠が残らないようにしたり。
この「掟」を知らず、暴行現場に近づこうとする新人隊員を先輩隊員が制止するのが怖い(;'∀')
ホーが執拗にタトゥーをしているチンピラにビンタし続けるのも怖かった(;^ω^)
警察も下手に出たらナメられるのでこれぐらい強気な行動に出るしかないのか…。
繁華街の警察官って大変そう(-_-;)
そういえば昔アメリカに行った時に、道に迷って困ってしまい、近くにいた警察官に助けを求めたんですけど関わりたくない様子で相手にされないことがありました。
中にはそういう警察官もいるんですよね。(皆がそうではないですよ、親切な人がほとんどです。)

 

「茶樓(チャーラウ)」は飲茶ができる飲食店のことなのですが、日本語だと「飲茶店」っていえばいいのかな?
「飲茶屋」とか? なんかしっくりこないなぁ(^^;)

 

海鵬(ロー・ホイパン)演じる日本語の役名が「ハゲ」って…。
でも原語音声では「禿頭(トッタウ)」と言ってたので、こう翻訳するしかないか…。

 

高雄(エディ・コー)は目が大きいから「ギョロメ」です。
原語音声では「大眼(ダインガン)」です。
発音がカタカナ表記しづらい…。

 

サァが転んで銃を落としていましたが、転んだだけでホルスターに収納されてる銃がそう簡単に落下するものなんですかね(^^;)?

 

ラストの銃撃戦でたまたま居合わせた強盗、運悪いな(^^;)
あと車上荒らしの子供を補導してくれ~(゚Д゚;)

 

ラストシーンは「鴨脷洲(アプレイチャウ)」で撮影されていて、GoogleEarthで見てみたら今はもう劇中に出てた公衆電話は無かったですね。