狼たちの絆

狼たちの絆

原題 縱橫四海

製作 1991年

めぐちゃんの満足度 ★★★★

 

吳宇森(ジョン・ウー)監督、周潤發(チョウ・ユンファ)主演のアクション映画です。
アクションコーディネーターは郭振鋒(フィリップ・コク)、カースタントはフランスのスタントマン Rémy Julienne(レミー・ジュリアン)です。

 

先月亡くなられた曾江(ケネス・ツァン)の追悼ということで出演されていた作品をレビューしようかと思います。
謹んで哀悼の意を表します。

 

ブッジャイ(周潤發)、ジム(張國榮)、ホンタウ(鍾楚紅)の3人は義父のチャウ(曾江)から盗みの手解きを受けながら幼少時代を過ごします。
警察官のチュー(朱江)はもう1人の父親代わりとして幼いブッジャイたちの成長を見守ります。

 

大人になったブッジャイたちは香港からフランスへ移住し、美術品を盗んで生計を立てていますが、ホンタウは泥棒を引退しようと考えています。

 

資産家のバートン(Pierre Yves Burton)という男から絵を盗んでほしいと依頼を受けるブッジャイたちですが、泥棒を辞めるつもりのホンタウは依頼を断ります。
しかしジムは単独で絵が保管されている城へ乗り込み、ブッジャイも後を追って城の中で合流します。

 

2人はすんなりと絵を発見しますが、床には電流が流れており、2人で協力して床に触れないように気をつけながら絵を盗みます。
城から出ると見張りに見つかってしまい、ジムが銃で撃たれます。
何とか逃げ出し、ブッジャイはジムの手当てをします。

 

バートンはブッジャイたちに報酬金を払うつもりはなく、絵を強奪しようと企んでいます。
ブッジャイはジムに絵を預け、ジムはバイクで逃走します。
市街で銃撃戦になるとジムは絵を落としてしまい、ブッジャイは車で船に突っ込んで爆発に巻き込まれた後に消息が分からなくなってしまいます。

 

バートンの部下が絵を回収し、バートンは絵をチャウに渡します。
なんとバートンはチャウと結託していたのです。
チャウはバートンに報酬金を払った後、用済みになったバートンを殺害します。

 

ホンタウはブッジャイに好意を寄せていましたが、ジムがホンタウのことを好きだと知っていたブッジャイはわざとホンタウにつれない態度を取っていました。
その後、ジムはホンタウと結ばれることになります。

 

消息不明だったブッジャイは両脚を負傷し、車いすに乗ってジムと再会します。

 

ジムとホンタウはチャウに呼び出され、チャウは城から盗んだ絵の価値を吊り上げるためジムたちに再び絵を盗ませようと企んでいます。
義父のチャウは表向きは慈善活動を行っていますが、裏では盗んだ美術品を売買しています。

 

ブッジャイが生きていることを知ったホンタウはブッジャイの家を訪れると、チャウから盗みの依頼を受けたジムを助けてほしいと頼みます。

 

チャウは絵を競売に出し、厳重な金庫室に保管されます。
ジムは金庫を偵察した後に帰宅してブッジャイと絵を盗むための作戦を練ります。

 

チャリティーパーティーが行われている会場で競売の所長(胡楓)を見かけたジムは所長が金庫の鍵を持っていることをホンタウに伝えると、ホンタウは所長とダンスを踊りながら隙をみて鍵を盗みます。
ジムは鍵の型を取ると、所長のポケットに鍵をこっそり戻します。

 

ジムは絵が保管されている金庫室に忍び込み、ブッジャイは中継車両から指示を送ります。
途中でチューがブッジャイの車に乗り込んで来ますが、うまくごまかします。
しかし絵を取り外すと金庫の扉が閉まるという話をチューから聞いたブッジャイは急いで金庫室へ向かいます。

 

チューの言った通り、ジムが絵を外すと金庫の扉が閉まり閉じ込められます。
ブッジャイは金庫の扉を爆破させてジムを救出しますが、銃を持った男たちが襲って来ます。
ブッジャイたちは爆弾を投げつけて敵を追い払い、金庫室から脱出します。

 

絵を盗み出したブッジャイはチャウに連絡し、絵を売るので自宅へ来るように指示します。
チャウは金の入ったカバンを渡し、ジムが確認すると金は紙切れで、チャウはブッジャイを銃で撃ちます。
その瞬間ブッジャイは飛び上がり、チャウにキックを浴びせます。
ブッジャイは両脚を負傷してはおらず、チャウを油断させるために車いすに乗って嘘をついていたのです。

 

ブッジャイとジムは押し寄せるチャウの部下たちと戦います。
チャウは筒に入った絵を確認すると入っていたのはブッジャイが描いた絵で、本物は壁に飾られており、触ると電気が流れる仕組みになっています。

 

トランプカッターを投げつける手下に苦戦しながらもブッジャイは酒を口に含んで火を吹き、手下を火だるまにします。

 

どうしても絵を手に入れたいチャウは車いすを足場にして絵に手をかけますが、ジムは車いすを銃で撃つとチャウは転倒します。
ブッジャイは火のついた矢を射って絵を燃やし、チューが駆けつけるとチャウは逮捕されます。

 

ブッジャイはジムとホンタウの前から姿を消そうとしますが、結婚して子供ができたジムたちと結局一緒に生活することになります。

 

ブッジャイが燃やした絵も実は偽物で、本物の絵は元々所有していた美術館へ返還されたのでした。

 

ジョン・ウー監督の作品にしては軽快な作風で、ロマンスあり、コメディあり、アドベンチャー要素もあって楽しい作品です(*'▽')
「ワイルド・ブリット(喋血街頭)」が興行成績的に振るわなかったので、發哥と明るいテイストの作品を撮ろうという話になったとか。
個人的にはワイルド・ブリット結構好きなんだけどな~( ;∀;)

 

邦題が「狼たちの絆」なので、鑑賞前は男くさいノワール作品を想像していましたが、全然違いました(^^;)
邦題が作品のイメージに合ってない(笑)

 

原題の「縱橫四海」はロベール・アンリコ監督のフランス映画「冒険者たち」の香港版のタイトルだそうです。
「縱橫四海」というのは中国語で「自由気まま」という意味です。

舞台がフランスで、男2人女1人という主要キャストはオマージュを感じさせます。
私も「冒険者たち」は観ましたが、ちょっと悲しい作品なんですよね。
でもこの作品に影響された方たちって非常に多いと思います。
ストーリーは荒唐無稽な点も見受けられますが、主要3人の絶妙な関係性や演技(私はリノ・ヴァンチュラが特にお気に入り)、映像美も素晴らしいです。
フランスの方って海と太陽が好きそうという勝手なイメージを持っている私(*‘∀‘)

 

本作は發哥がB型肝炎を患ってからの復帰作です。
劇中ではとても器用に車いすを操作していましたが、きっとたくさん練習したんだろうなぁ。
なぜか今回の發哥の役名は、香港のお菓子「砵仔糕(ブッジャイコウ)」となっております。
私は食べたことはありませんが、ケーキみたいなお菓子だそうです。
でも私は甘い物が苦手なんですけどね(^^;)

 

發哥と何度も共演している鍾楚紅(チェリー・チェン)は本作で女優を引退されています。

 

ケネス・ツァンはポリス・ストーリー3を彷彿とさせる悪役っぷり(・∀・)でもイイ男♪
朱江(チュウ・コン)もイイ男♪
朱江さん演じるチュー警察官はブッジャイたちを陰で見守っていて、優し過ぎて癒される(T_T)

 

ラストの戦いでトランプを投げるチャウの部下役のDeclan Michael Wong(デクラン・マイケル・ウォン)は王敏德(マイケル・ウォン)の弟さんです。
「ゴッド・ギャンブラー3」でシンチーと対決していました。

 

中盤でブッジャイが車に乗ったまま船に突っ込んで爆発してたけど、あれどうやって脱出したんだろうね(^^;)

 

金庫室にいるジムに配線を切るように指示する際、ブッジャイが「黄色はポルノ映画の色」と言っていましたが、香港では黄色がエッチな色のイメージだそうです。
日本だとピンク映画といわれるようにエッチな色というとピンクを連想しますが、国によって連想するカラーが違うのは面白いですね(^o^)

 

ラストのチャウたちとの戦いでは發哥がブルース・リーみたいになったり(アクションはダブル)、電子レンジに入れたコーラの缶が爆発して目の前に置いてあったバスケットボールが火の玉になって吹っ飛んだり、敵がトランプカッター攻撃してきたり、ちょっとコメディちっくな戦いですが面白いです(*‘∀‘)

 

主題歌はレスリー・チャンが歌う「風繼續吹」
実はこの曲、山口百恵の「さよならの向う側」のカバー曲なのです。
劇中で流れた時に「百恵ちゃんの歌だ!」って思わず突っ込んでしまった(笑)

 

実はこの作品、1996年にカナダでリメイクされていて、ジョン・ウーも製作に関わっているそうなんですけど、私は未鑑賞。
機会があれば観てみようかと思います。