Mr.BOO!天才とおバカ

Mr.BOO!天才とおバカ

原題 天才與白痴

製作 1975年

めぐちゃんの満足度 ★★★★

 

許冠文(マイケル・ホイ)監督・主演のコメディ作品です。
日本では劇場未公開で、テレビ放送もされていないそうです。
これはおそらく精神病院を取り扱っているため、日本では放映されなかったのだと思います。
なので本作は日本語吹き替え版が存在せず、おなじみの広川節を聞くことはできません。
ソフト化にあたり新録吹き替えという選択肢もあったかと思いますが、やはりマイケル・ホイの吹き替えは広川さん以外は考えられないという判断に至ったのでしょうかね?

 

精神病院で働いている看護師のレイ(許冠傑)は女好きで、同僚の看護師の女性(康嘉欣)と職場で密会するのが日課です。
雑務係のティム(許冠文)はがめつい性格で、霊安室に安置されている遺体の金歯をネコババするのが日課です。

 

ある日、チェン(喬宏)という男が精神病院にやって来ます。
女性を殴ったことが入院の理由とされており、すぐに暴れ出すチェンを危険だと判断したレイはチェンを隔離病室へ入院させることにします。

 

ティムがチェンに食事を届けると、チェンは肌身離さず持っていた宝を姫(艾綺蓮)という女性に渡してほしいとティムに頼みます。
ティムは引き受けますが、姫に渡さずに骨董屋に売りに行こうと企みます。

 

チェンから預かった陶磁器は高価な物でしたが、割れているため高値では買い取ってもらえません。
レイはティムの前に現れ、チェンの宝に目をつけます。

 

チェンの脳波を調べることになり、ウォン医師(王琛)から人は心臓が止まってもしばらく脳は動き続けるという話を聞きます。

 

レイはティムと結託してチェンの荷物を全て奪います。
再び骨董屋に持って行きますが、高価であっても全て割れているのでお金にはなりません。
チェンが他に宝を持っていないか確かめるため、2人はチェンのことについて調べることにします。
手がかりとなる姫が海浜ホテルにいることを聞き出しますが、チェンは心臓発作で急死してしまいます。

 

宝を諦めきれないレイはウォン医師が言っていた脳の話を思い出し、亡くなったチェンの脳波を調べます。
ウォンの言った通り、レイの声に反応したことを確認すると、レイとティムは姫を捜しに海浜ホテルへ向かいます。

 

ダイビングのインストラクターをしている姫と対面したレイたちは、姫がチェンの娘であることを知り、姫を病院へ連れて行きます。

 

姫は安置されているチェンに話しかけると脳波が反応し、チェンが電報の通信士をしていたという話を聞いたレイは、生前チェンが隔離病室で電報を打っていたのを思い出します。
チェンの脳波が電報になっているのではないかと推測したレイは姫に解読を頼みます。
チェンは姫への想いと謝罪を伝えて脳波は停止します。
女性を殴ったというのは、チェンが姫を心配するあまりケンカをして手をあげていたのです。

 

ダイビングをしていたチェンはクルーザーを所有しており、姫はレイたちをクルーザーに誘います。
生前チェンは沈んだ船の近くをダイビングしていたという話を聞き、お宝が眠っているかもしれないという希望を抱いてレイたちは沈んだ船を探します。

 

姫の言った通り船を発見し、大量の骨董品が見つかります。
しかし警察が現れ、宝を勝手に取るのは違法だと警告されます。
持ち主が現れなければ半分は貰えるという話を聞いたレイたちは舞い上がり、レイは病院を辞めます。

 

その後警察に呼び出されるレイたちですが、宝は偽物だと分かり、レイたちの豪遊生活の夢は消え去ります。
レイは病院へ戻り、辞職の撤回をウォン医師に申し出ますが取り合ってくれませんでした。

 

爆発的に面白いというより、じわじわと来る面白さです。
細かいところの小ボケも好きです(^ω^)
随所のブラックジョークや大金に振り回される男たちを皮肉った演出はメッセージ性を感じます。
コメディですが、少し切ないシーンもあります。

 

医師が外科手術をしながら馬券の電話をしていたり、生きている患者が霊安室で寝てたり、ダイビングの練習中に死んだ人の白骨がプールに沈んでいたり、防弾チョッキの試し撃ちで武器開発の人が撃たれて死んじゃったり、昔のコント番組でありそうなブラック演出ですが面白いです!
現在では地上波だとこういった演出も厳しいんですかね?

 

石天さんがホテルの従業員役で日本語を話すシーンがあるのですが、途中何て言っているのか分からない(^^;)
石天さんは声優さんによる吹き替えなので、石天さん本人が日本語のセリフを言っているわけではないんですけどね。
ちなみに日本人のことを「㗎佬(ガーロウ)」と言っていましたが、この表現は日本人を蔑んだ表現で「ジャップ」のような意味合いがあるので注意。
現代劇なのに宿泊している日本人客はみんな着物という外国映画の日本人あるある(笑)

 

許冠英(リッキー・ホイ)は出番が少ないのですが、見事な下ネタをかましてくれました(笑)
ここでは恥ずかしくて書けないので気になる方は作品をご覧ください。

 

程小東(チン・シウトン)がプールでダイビングの訓練をしている男性役で出演されていました!
当たり前だけど若かった!!
シウトンさんはチェン・ペイペイの大酔侠が映画デビュー作なんですよね。

 

あと作曲家の顧嘉輝(ジョセフ・クー)が武器開発の発明家役で出演されていました!!
映像での露出が少ないので貴重なのではないでしょうか。
多くの映画音楽や主題歌を作曲されている凄い方です。
私はやっぱり男たちの挽歌が大好きですね。

 

主題歌はおなじみのサミュエル・ホイなのですが、今回は使用されている曲が多いです(^^♪
アップテンポな曲から哀愁のあるメロディまで阿Samの歌が堪能できます(*´ω`*)
曲名は以下の通りです。

「天才與白痴」「天才白痴錢錢錢」「天才白痴往日情」「天才白痴夢」

 

ちなみに喬宏(ロイ・チャオ)演じるチェンが脳波を調べるシーンで、カール・ダグラスの「吼えろ!ドラゴン(Kung Fu Fighting)」も流れていました。