ファースト・ミッション

ファースト・ミッション

原題 龍的心

製作 1985年

めぐちゃんの満足度 ★★★★★

 

洪金寶(サモ・ハン・キンポー)監督によるアクションドラマ作品なのですが、当時サモは七福星と並行して撮影を行っていて、多忙なサモをサポートする形で午馬さんと共同で監督をされていたそうです。

 

警察官のフォン(成龍)には知的障がいがある兄のドゥドゥ(洪金寶)がいます。
ドゥドゥは友達とレストランで食事をしますがお金が足りず、ウエイター(陳國新)からお金を払うように催促されるとドゥドゥは店の冷凍庫へ逃げ込みます。
マネージャー(葉榮祖)は警察を呼び、ドゥドゥの友達のワー(林應發)がフォンを連れてくると、外から冷凍庫の扉が開けられないためフォンは通風口から入ってドゥドゥを助けます。

 

船員になる夢を持っているフォンは船員の合格通知の手紙を受け取ります。
フォンは恋人のジェニー(朱寶意)が働くレストランを訪れ、ジェニーにプロポーズをします。
フォンは転職の話をジェニーに伝えると、話を聞いていたフォンの同僚たち(孟海、錢嘉樂、元華、陳龍、元奎)はジェニーを大切にするようフォンに忠言します。

 

船員になることが決まったフォンですが、ドゥドゥと一緒に居られなくなるので電話番号が書かれたプレートのペンダントをドゥドゥに渡し、フォンが留守の間はドゥドゥの友達のマン(李家豪)の祖母(鄭孟霞)にドゥドゥを預けて世話をしてもらうことにします。

 

マンたちはフォンが船に乗ることになったらドゥドゥが捨てられてしまうと心配します。
この言葉を真に受けたドゥドゥはフォンに捨てられてしまうのではないかと不安になり、自殺を図ろうとします。
フォンはドゥドゥを制止し、抑えていた思いをドゥドゥにぶつけます。
フォンは兄のドゥドゥを守りたいという思いと自分の夢を叶えたいという思いの間で葛藤していました。

 

フォンから叱られたドゥドゥは自立するために仕事を探しに行きます。
なかなか仕事が見つからず、喫茶店の店主(午馬)から愚弄されているドゥドゥを見たヤン(孟海)はドゥドゥを家へ連れて帰ります。

 

シンジケートのボスであるカム(田俊)はバイヤー(任浩)と宝石の取引を行っていると警察の手入れが入り、カムの手下のファ(鍾發)が宝石を持って逃走します。
外で友達と遊んでいたドゥドゥがおもちゃの拳銃をファに向けると、ドゥドゥを警察官だと勘違いしたファは宝石の入った鞄を落としてそのまま逃走します。
フォンに知られることを恐れたドゥドゥはファが落とした鞄を友達と土に埋めて隠すことにします。

 

ファはカムに連絡をして鞄が警察に差し押さえられたことを伝えると、ファが宝石を持ち逃げしたと勘違いしたカムは部下たちにファの殺害命令を出します。
身の危険を感じたファは車を奪って逃走し、警察に連絡をします。
しかし警察官のウォン(黃錦燊)は宝石の入った鞄を没収していないと言い、行方不明になった鞄の捜索を行います。

 

ワーの兄(太保)は警察がドゥドゥを捜していることをワーに話すと、ワーはすぐにドゥドゥに知らせに行きます。
鞄を掘り起こして警察に届けようとしますが、ドゥドゥたちの後をつけていたワーの兄は金に目が眩み、ドゥドゥたちから鞄を奪って逃げます。

 

ワーの兄は横取りした宝石を男(馮敬文)に売ろうとしますが、男はカムと結託していてワーの兄はカムの手下たち(高飛、狄威、泰山、周江、馬漢沅、麥飛鴻)に捕まります。

 

フォンの自宅を訪れたウォンたちは鞄を持ち逃げしたドゥドゥを逮捕しようとしますが、怯えたドゥドゥは家から逃げ出します。
フォンの気持ちを汲んだウォンはフォンに捜査を任せることにします。

 

ワーの家に逃げて来たドゥドゥは洋服タンスの中に隠れますが、すぐにカムの手下に捕まったワーの兄が帰宅します。
ワーの兄は洋服タンスに隠した鞄を取り出そうとすると中にはドゥドゥが入っており、ドゥドゥはカムの手下に捕まります。
鞄を渡したワーの兄は殺されてしまい、フォンが駆けつけますがドゥドゥを人質にされていたため手が出せません。

 

ドゥドゥが身に着けていたペンダントのプレートを見たカムはプレートに書かれていたフォンの電話番号に連絡し、ファを連れてくるように要求します。
フォンはドゥドゥを助けるために同僚と連携して保護しているファを連れ出そうとしますが、指揮官(林正英)率いる警察部隊が押し寄せたためフォンが囮になって車で誘導します。

 

警察部隊を振り切ったフォンは同僚たちとカム一味が潜伏する建設中のビルへ突入します。
フォンがファを連れてカムたちの前に姿を現すと、幹部の男(高飛)はファを銃で殺害します。
フォンたちはカムの手下たちを次々と倒していき、カムを見つけたフォンはドゥドゥの居場所を聞き出します。
フォンは強敵の幹部の男(狄威)を倒し、同僚たちは手榴弾を使ってカムの手下たちを一掃します。

 

ドゥドゥを救出しますが、その後フォンや同僚たちは公務執行妨害や殺人等の罪で逮捕され、刑に服することになります。

 

 

私は日本公開版しか観たことがないのですが、香港版だと序盤の病院で劉家榮(ラウ・カーウィン)と戦うシーンや、駐車場でジャッキーたちがチンピラたち(李海生、趙志凌、山怪、黃蝦、馮克安、陳全、張國華)と戦うシーンがカットされているそうです。

 

本作は松竹富士が出資をしていて、日本市場を意識した作りになっています。
劇中で懐かしの多機能筆箱が登場するのもそのためなのかな?
ドゥドゥが陳友(アンソニー・チャン)演じる意地悪な家庭教師から勉強を教わるシーンで多機能筆箱が出てくるのですが、私も小学生の時に多機能筆箱を使っていました。懐かしい(*‘∀‘)
今でも販売されていますけどね。

 

出品人(製作総指揮)のクレジットに王羽(ジミー・ウォング)の名前がありましたが、これは松竹富士と香港側で製作が停滞してにっちもさっちもどうにもブルドッグだった時にジミーさんに頼んでまとめてもらったそうです。
さすが香港映画界のドンですね(;''∀'')

 

1985年に公開されたジャッキーの出演作品は「香港発活劇エクスプレス 大福星」「プロテクター」「七福星」「ファースト・ミッション」「ポリス・ストーリー 香港国際警察」の5作品ですが、本作を撮影している当時は3本を並行して撮影していたそうです。
しかもアクション俳優なので若かったとはいえ体力的に相当キツかったのではないでしょうか。

 

「ファースト・ミッション」という邦題はアクション作品を連想させるタイトルなのですが、確かにアクションシーンもあるのですが、本作はドラマ性を重視した作りになっています。
特にジャッキーがサモに怒鳴るシーンは胸が締め付けられる…(T_T)
以前レビューした「デブゴンの快盗紳士録」でもドラマ要素が多少ありましたが、あちらはアクション部分とドラマ部分が調和していない感じでしたが、本作は調和というよりもアクションパートとドラマ部分にメリハリがあって、テンポが良かったのが楽しめた要因のひとつかもしれません。

 

アクション映画はマフィアやシンジケートを倒した時点でエンディングになるというパターンが定番なのですが、本作ではシンジケートを壊滅させた後に警察官たちが服役する様子が描かれていて、当時の香港映画としては珍しかったのではないでしょうか。
ちなみに「ファースト・ミッション」という邦題は松竹富士が出資することになった際に作品の中身を知らないまま先に邦題をつけてしまったので、邦題と本編のイメージが違ってしまったそうです。
でも邦題と本編のイメージが違うことってよくある話ですけどね(;^_^A

 

元彪がエンディングのNG集に映ってたー!!!
笑顔が可愛かった~(*´Д`*)
劇中ではジャッキーのダブルをしていました。
駐車場でリー・ホイサンに回し蹴りをしているのは元彪なんですよね(*'▽')

 

劇中でサモは友達から「ガタイがいい人」という意味の「大舊衰(ダイガウソイ)」と呼ばれていましたが、中国版のウィキペディアだと役名が「嘟嘟(ドゥドゥ)」と記載されていました。
でも劇中で「嘟嘟」って呼ばれているシーン無かったよなぁ。
役名の「シャンタク」って呼ばれているシーンも無かったですね。
「嘟嘟」には色々な意味があって、擬声語として使用したり、口を尖らせるなどの意味があり、可愛らしいというニュアンスを持つ言葉だそうです。
今回サモは役柄上戦うことはありませんが、85年のサモのアクションが観たい方は七福星をご覧ください(^_-)-☆

 

ヒロインの朱寶意(エミリー・チュウ)は本作が香港映画初出演です。
エミリーは本当に可愛くて綺麗だわぁ(*´▽`*)

 

まだ監督になる前の陳果(フルーツ・チャン)が冒頭の演習のシーンに出演されていました(*‘∀‘)

 

駐車場で戦う時のチンピラたちの構え(特にリー・ホイサン)がどう見ても武術家の構えなのが(笑)

 

鍾發(チュン・ファット)演じるファが3階から窓を突き破ってシェードにバウンドして車の上に着地するの凄すぎ!!
でもこれはチュンさんではないらしい。
エンディングのNG集ではバウンドに失敗して3階から直で地面に落下していました(;゚Д゚) 怖っ!!!!
※追記
この危険なスタントをしていたのはカーロだったんですね(゚Д゚;)
龍虎武師で知ったわ…。

 

終盤のカーチェイスのシーンは元々「ポリス・ストーリー」で使う予定だったカットをそのまま使用したといわれています。
もちろんジャッキーが全て運転しているわけではなく、カースタントは趙俊超(チウ・チョンチウ)が担当しています。
チウ・チョンチウは李Sirと共演が多いんですよね(*‘∀‘)

 

ディック・ウェイのアクション凄すぎ(゚Д゚;)
絶対ボスのカムより強いでしょ(笑)

 

オープニングテーマ曲は「CHINA BLUE」、エンディングテーマ曲が「TOKYO SATURDAY NIGHT」で、いずれもジャッキーが日本語で歌っています。
当時ジャッキーは日本のレコード会社と契約していて、リリースするレコードに収録されていた上記の曲をレコードの宣伝も兼ねて使用されていたそうです。