レジェンド・オブ・フィスト 怒りの鉄拳

レジェンド・オブ・フィスト 怒りの鉄拳

原題 精武風雲・陳真

製作 2010年

めぐちゃんの満足度 ★★★★

 

劉偉強(アンドリュー・ラウ)監督、甄子丹(ドニー・イェン)主演のアクション作品です。
香港と中国の合作で、当初は邦題を見た時にブルース・リーの「ドラゴン怒りの鉄拳(精武門)」のリメイクかと思ったのですが、リメイクというよりはオマージュといったほうがいいかもしれません。

1994年に公開されたリー・リンチェイ主演の「フィスト・オブ・レジェンド(精武英雄)」も精武門をリメイクした作品で、邦題が本作と非常に似ていてややこしいです(^^;)
精武英雄は陳嘉上(ゴードン・チャン)が監督を務めていて、今回の精武風雲・陳真ではゴードン・チャンはプロデューサーをされています。

1995年にはドニー・イェン主演で精武門のリメイクがテレビシリーズで放映されて人気を博し、のちに日本語版のDVD-BOXも発売されました。
私はテレビシリーズの精武門は未視聴で、なぜならDVD-BOXが高すぎて手が出ないからです(;´∀`)
アマプラとかで配信されないかなぁ…。

 

第一次世界大戦時、多くの中国人労働者たちがヨーロッパ戦線に派遣され、過酷な環境下で肉体労働を強いられます。
生きて祖国へ帰るため、労働者たちの中心となって団結を促すチェン(甄子丹)ですが、同胞のティエンユアン(張淮禹)がドイツ兵に撃たれて殺されてしまいます。
チェンは自分の名前を捨て、戦死したティエンユアンとして生きていく決断をします。

 

第一次世界大戦終結するとチェンは同胞らと上海へ戻りますが、中国侵略を目論む大日本帝国は上海に租界を置き、実質的に日本軍の占領下となった上海の社会情勢は混沌としていました。

 

チェンは上海の顔役であるリウ(黃秋生)がオーナーを務めるクラブ・カサブランカで働き始め、裏では仲間と共に日本軍に対するレジスタンス活動を行っていました。

 

日本軍の参謀本部大佐の力石(木幡竜)は東北軍のツァン将軍(余文樂)の暗殺を企てます。
ツァン将軍を暗殺することで東北国民軍との内戦に持ち込ませようと画策しています。

 

東北国民軍のチュオ将軍(馬躍)との会食を終えたツァン将軍は恋人のウェイウェイ(霍思燕)と店から出ると、力石が仕向けた刺客たちがツァン将軍を襲います。
異変に気づいたチェンは正体が分からないように陳列窓に飾ってあった黒服とマスクを持ち出して仮面の戦士に変装し、刺客に立ち向かいます。
チェンは刺客たちを倒し、ツァン将軍の暗殺計画は未遂に終わります。
事件後に現場へ駆けつけたホアン警部(黃渤)から黒幕の情報を聞き出そうとするチェンですが、有力な証言は得られませんでした。

 

カサブランカでホステスをしているキキ(舒淇)とタバコを売っている雲子(陳佳佳)は日本軍のスパイで、力石は反乱分子を炙り出すのに躍起になっています。

 

ツァン将軍が東北部へ向かうと、カサブランカで働いていたウェイウェイは店を離れることになり、キキや同僚たちはウェイウェイに餞別を送ります。

 

雲子の証言によりチェンを怪しんだキキはチェンを誘い出し、たわいない会話からチェンの正体を暴こうとします。

 

日本軍に従わない反体制派の名簿を手に入れた力石は名簿に記載されている人たちを一人残らず殺害しようと企てます。
力石はティエンユアンの名前を語るチェンが暗殺を妨害した仮面の戦士ではないかと疑い始めます。
名簿に記載されている人たちの処刑が始まると、チェンは再び仮面の戦士に扮して人々を守ります。

 

一緒に過ごす時間が多くなったチェンとキキは徐々に惹かれ始め、スパイの任務を背負っているキキの心境は複雑でした。

 

日本軍からうまく逃げのびる者もいれば、チェンが守り切れずに殺されてしまう者もおり、ついには新聞社が襲われます。
チェンは新聞社を襲撃した佐々木(AKIRA)や刺客たちを倒しますが、新聞社の編集長や社員たちを救うことはできませんでした。

 

カサブランカの店内を監視していたチェンは雲子の不審な行動に気づいて彼女の後を追うと、雲子が日本軍の山崎(舩木壱輝)にメモを渡す様子を目撃します。
これを見たチェンは雲子がキキにタバコを手渡していたことを思い出し、キキがスパイなのではないかと疑い始めます。
チェンは思い切ってキキに尋ねると、キキは日本軍大尉であることを認めます。
自ら手を下すことを避けたいチェンはもう二度とカサブランカに来ないようキキに警告します。

 

チェンはキキの自宅から帰る途中で日本軍に襲われて捕まってしまいます。
さらにウェイウェイを捕まえた力石はキキの自宅に押し入り、キキが日本軍のスパイだと知ったウェイェイは愕然とします。
力石は抵抗するキキに対して無理やりウェイウェイを殺害させます。

 

日本軍に捕まったチェンはひどい拷問を受けます。
これを知ったホアン警部はチェンの妹のシャン(周揚)や仲間と共にチェンが捕まっている参謀本部へ乗り込みます。

 

力石の父親である剛(倉田保昭)は虹口道場の武術家でしたが、精武門の門下生だったチェンに父親を殺された力石はチェンを恨んでいます。
力石はチェンと決着をつけるために拷問から解放します。

 

ホアンたちは参謀本部の司令室を爆破させて逃走しますが、日本軍は報復のためにチェンの同胞たちを殺害します。

 

拷問を受けて重体だったチェンは病院へ搬送されますが意識が戻らず、その間に日本軍と結託したツァン将軍らによってチュオ将軍は殺害されます。
意識を取り戻したチェンですが、チュオ将軍の死や、日本軍によってシャンが強姦されたことを知って打ちひしがれます。

 

絶望するチェンの元にキキが現れると、チェンは彼女に連れられて虹口道場へ向かいます。
捕まっていたチェンの同胞が殺されるとキキは非情な力石に盾突き、日本軍大尉としてそぐわないと判断した力石はチェンの目の前でキキを殺害します。
さらに山崎の挑発にチェンの怒りは頂点に達し、山崎を滅多打ちにします。

 

チェンは日本人門下生の一叢を次々と倒していきます。
日本人門下生たちが竹刀を持ち出すと、チェンはヌンチャクを取り出して応戦します。

 

力石はチェンと差しで勝負するため、門下生たちを道場から追い出します。
チェンは力石の素早い拳打を受けてよろめき、さらに頭部に蹴りをくらって倒れます。
意識が朦朧とする中、チェンは祖国と仲間のために再び起き上がり、力石に立ち向かいます。
チェンの拳が力石の顔面に入ると、体勢を崩した力石に対して執拗に拳を打ち込み、チェンは力石を倒します。

 

しかし日本軍の侵略がある限り、チェンたちの闘いは続きます。

 

私はかなり楽しめましたが、抗日的な内容なので苦手な方は抵抗があるかもしれません(;´・ω・)

 

冒頭から勢いのあるアクションが最高ですね(*'▽')
チェンが銃弾をかわしながら疾走したりジャンプしたり、まるでゲームのキャラクターのような人間離れした動きが凄い( ゚Д゚)
ドニー様はアクション監督も兼任されていて、アクション指導はドニー作品でおなじみの甄家班の嚴華さんと谷垣さんで、多くの日本人スタントマンの方々が参加されています。

 

雨の中でチェンが刺客と戦うシーンも最高!!
ドニー様は軽々と車の上を飛び越えていますが、なかなかできるものではないと思います。
あまりにも滑らかな動きだったのでワイヤーをしているのかと思っていましたが、メイキングを観たらワイヤーをつけていませんでした。凄い(゚Д゚;)

 

ご存じの方も多いと思いますが、チェンが扮している仮面の戦士はブルース・リーが出演されていたアメリカのテレビドラマ「グリーン・ホーネット」のオマージュです。
これまで様々な香港映画で登場しましたが、ドニー様の仮面姿はリーに匹敵するカッコよさ(*´ω`*)
白い中山服もイイ感じ♪
私的に白い服は死亡フラグなのですが、本作のチェンは死にませんでした。よかった( ´Д`)=3

 

精武門とグリーン・ホーネットをうまく組み合わせて、21世紀のドラゴン怒りの鉄拳を演出しています(^-^)
今だったら邦題が「シン・ドラゴン怒りの鉄拳」になったりするかな(笑)
前回レビューした文雀は香港愛、前々回レビューした打擂台はカンフー愛、本作はブルース・リーに対するリスペクトと愛を感じて嬉しいです(*^-^*)

 

劇中でドニー様がピアノを弾くシーンがあるのですが、実際にドニー様はピアノを習っていたのでピアノの演奏はプロ級です。
偏見で大変申し訳ないのですが、当初ドニー様とピアノがどうにもイメージが結びつかなくて(本当にすみません)、でも逆にあんな激しいアクションをする一方で繊細なピアノを弾くギャップが萌えますね(*´з`)
ちなみにドニー様はショパンが好きだそうです。
YouTubeでドニー様がピアノを演奏する動画が拝見できますので興味のある方はご覧ください♪

 

日本軍大佐の力石を演じたのは日本人俳優の木幡竜さんで、日本と中国で活動されている役者さんです。
中国語が堪能で、劇中ではご本人が中国語を話されています。
ドニー様も少し日本語を話すシーンがあるのですが、谷垣さんに教えてもらったりしたんですかね(^ω^)??

 

そして本作では日本で大変著名な方が出演されています。
そう、EXILEAKIRA氏です!!
台湾出身の女優、林志玲(リン・チーリン)とご結婚されたことで日本でも話題となりました。
AKIRA氏も中国語が堪能で、みんな凄いなぁ(*‘∀‘)

 

姉妹のように思っていたキキが日本軍のスパイだったなんてウェイウェイにとってショックだよなぁ(T_T)
しかもウェイウェイの母親の形見のブレスレットをキキと御揃いにしていたのが切ない…。

 

日本統治下の中国人警察は同胞の中国人と敵国の日本人との間に挟まれてジレンマに陥るので大変ですよね。
黃渤(ホアン・ボー)演じるホアン警部も日本人の顔色を窺いながらうまく中国人に協力するのですが、自分の命は惜しいのでなかなか一歩が踏み出せず…。
でもついに吹っ切れて監禁されているチェンの救出に向かったり、汚職上司に口答えしたり、勇敢な一面があるんです(=゚ω゚)ノ
アクション担当ではないですが、物語の奥行きを出す必須のキャラクターです。
ちなみに広東語音声だと杜汶澤(チャップマン・トー)がホアン・ボーの吹き替えをされているそうです。

 

香港版のブルーレイには広東語音声と北京語音声が収録されていますが、日本版のブルーレイだと広東語音声が収録されていないんですよね。
広東語音声も収録してほしかったなぁ。
精武門といえば上海が舞台なのですが、上海語もかなり独特で北京語とも広東語とも全く違うんですよね。
私は上海語は全く分からないのですが、発音を聴いてみると東南アジアの言葉みたいに感じます。

 

特別出演なので仕方ないと思うのですが、倉田様の出番がもう少し多かったら嬉しかったかな。
ドニー様と倉田様がガッツリ戦うところを観たかったよー!!

 

あとスー・チーの日本語は正直字幕がほしいです(^^;)
そもそもスー・チーが日本人役を演じることには無理があると思う(;'∀')
ただ日本人が正体を隠して中国人のふりをするということは必然的に中国語と日本語が両方できないといけないので、両方話せる役者さんをキャスティングしようとするとかなり範囲が狭まりますよね。
あとは吹き替えを使うという方法もありますけどね。
雲子役の陳佳佳(アンジェラ・チェン)は中国の方ですが、日本語のセリフが流暢だったので日本人の方が台詞を吹き替えていると思います。

 

山崎が力石に「弟が亡くなった」と報告するシーンがあるのですが、弟ってAKIRA氏演じる佐々木のこと?
でも名字が違うよね?
まさか「佐々木」が名前ではないよね??
う~ん、謎です。
そもそも劇中で「佐々木」という名前は出てこないのですが、ネットで調べるとAKIRA氏の役名は佐々木と記載されています。
もしかして劇場用パンフレットに書いてあるのかな?
私は本作のパンフレットを持っていないから分からないな。

 

木幡さんはボクシングをされていたそうなので、チェンと戦うクライマックスのシーンではもっと打ち合うのを観たかったなぁ。