ドラゴンロード

ドラゴンロード

原題 龍少爺

製作 1982年

めぐちゃんの満足度 ★★★★★

 

成龍ジャッキー・チェン)が監督、脚本、主演、武術指導を務めたアクション作品です。
※脚本は共同で、武術指導はおなじみの成家班に加えて元奎さんのクレジットもありました♪

この作品は私が香港映画にハマり始めた頃に観たのですが、今回レビューするために久々に観ました。
当初の私はジャッキー以外の役者さんはほとんど知らなかったので、ブルース・リー作品で知った田豐さんぐらいしか認識できず、ようやく火星や太保の顔と名前を覚えた頃だと思います(^^;)

 

名家の御曹司のロン(成龍)は父親のホー(田豐)が留守にすることをいいことに課題の代筆を家庭教師のチュウ先生(吳家驤)に押しつけて遊びに出かけます。
ロンは親友のガウ(火星)と川辺にやって来るとサウライ(雪梨)と出会い、2人は可愛いサウライに一目惚れします。

 

清朝政府崩壊の混乱に乗じて国宝を盗み出した総管(黃仁植)はガウの父親であるウォン外務官(張沖)を通じて外国人に国宝を売ろうと企んでいます。
しかし副総管(陳惠敏)は国宝を売ることに猛反対し、総管と対立します。

 

サウライに惚れてしまったロンとガウは恋敵となり、互いに出し抜こうとします。
ロンはサウライに良いところを見せるためにお世話係のポー(太保)とホン(鄭康業)に悪役を演じてもらって彼女を助けるという小芝居を打ちますが、ロンが裏切ってガウを出し抜いたため2人は大喧嘩になります。
ホーが現れて喧嘩を制止すると、サウライはロンとガウが共謀していたことを知って愛想を尽かします。

 

その後、ホーに連れられてガウの屋敷にやって来たロンはガウと仲直りします。
仲直りしたロンとガウはキジを捕まえに茂みへやって来ると、怪我をしている副総管と遭遇します。
ロンとガウが総管率いる一味に捕まっている間に副総管は逃げ出します。
副総管による国宝売買の告発を恐れた総管は副総管の捜索を続けます。

 

村ではロンとガウが所属する龍翔隊が勇進隊と羽蹴り大会で競います。
試合開始早々、勇進隊が先制点を奪い、さらに龍翔隊の失点で勇進隊が2点目を奪います。
その後、勇進隊のキラー(馮克安)が3点目を決めますが、ようやくロンが1点目を入れます。
攻防は続き、龍翔隊はうまく連携してポーが2点目を決めます。
勇進隊の猛攻に負けじとロンが3点目を奪うと試合の残り時間が無くなって同点で終了しますが、延長戦が始まります。
龍翔隊のファールによって勇進隊のペナルティーキックとなりますが、ガウはキラーのシュートを止めます。
ロンはガウが弾き返した羽を蹴って4点目を決め、龍翔隊が勝利します。

 

勝利に浮かれるロンが羽を蹴ると、蹴った羽が会場にいたサウライに当たってしまいます。
心配したロンはサウライを追いかけますが、小芝居の件からロンはすっかり彼女に嫌われており、全く相手にされません。


ガウは彼女に手紙を書くことを提案すると、ロンは凧に手紙を括り付けて彼女の家に飛ばします。
しかし風に飛ばされた凧はあらぬ方向へ落下し、ロンは急いで凧を追いかけますが、凧が落ちた先は総管たちが国宝を保管しているアジトでした。
侵入に気づいた総管たちはロンを捕まえて追い払います。

 

結婚相手を仲介しているセイおばさん(吳浣儀)からサウライを紹介してもらったロンは彼女がいる岳王廟へ向かいます。
しかし国宝の一部を隠した副総管が岳王廟に逃げ込み、総管の部下たち(權永文、周潤堅)は副総管を追いつめます。
辺りは騒然とし、抗議したガウが総管の部下に殴られるとロンは総管の部下たちと戦います。
大勢の村人がやって来ると、これ以上騒ぎを大きくしたくない総管の部下たちは一旦退散します。

 

ロンは意識を失っている副総管をガウの家の納屋へ運びます。
目を覚ました副総管は総管が盗んだ国宝を外国人に売ろうとしていることをロンとガウに告げます。
総管の部下たちは副総管が潜伏している納屋を突き止めると、隠した国宝の在り処を話さない副総管を殺そうとしますが、仲間の男(唐炎燦)が制止します。
副総管殺害を巡って仲間同士で対立しますが、国宝のために仲間を手にかけることはできないと決断した部下たちは納屋から去って行きます。

 

しかしすぐに総管が納屋へ現れると、口を割らない副総管を倒した総管はロンたちに国宝の在り処を問い質します。
総管は縄で縛ったウォン外務官を納屋の2階から突き落とすと、憤慨したガウは脇目もふらずに総管に立ち向かいます。
総管は強く、ロンも加勢します。
ロンは必死に総管に食らいつき、死闘の末に総管を倒します。

 

その後、村で行われる金饅頭争奪大会でロンの東の村が見事優勝を果たすのでした。

 

私はかなり気に入っていて大好きな作品なのですが、意外と賛否がある作品です(・ω・)
本作はカンフー映画からアクション映画へ移り変わるジャッキーにとって転換期にあたる頃ではないでしょうか。

 

蛇拳酔拳の大ヒットで香港のスーパースターとなったジャッキーは1980年にアメリカへ進出し、「バトルクリーク・ブロー」「キャノンボール」に出演しますがいずれも振るわず、再起を図るため香港に戻って「ドラゴンロード(龍少爺)」の制作に着手します。
アメリカ進出についてはジャッキーに問題があったわけではなく、ジャッキーの良さを生かせていないハリウッド側に問題があったと私は思っています(-_-;)
元々ドラゴンロードは「ヤング・マスター / 師弟出馬(師弟出馬)」の続編として企画が上がっていたそうなのですが、結果的に独立した作品となりました。
キャストを見ていると師弟出馬との繋がりを感じますね。

 

本作はゴールデン・ハーベストの作品なのですが、クレジットにはなぜか羅維(ロー・ウェイ)の会社の名前が…。
そう、裏ではジャッキーとロー・ウェイの契約問題が尾を引いていて、王羽(ジミー・ウォング)氏の仲裁でどうにか収束しますが、元々ロー・ウェイ作品として企画されていた本作の版権を主張していたとかいないとか。
※ジャッキーとロー・ウェイの契約問題については以前「ジャッキー・チェンの醒拳」のレビューでちらっと触れていますが、詳しく知りたい方はネットでお調べ頂ければと思います。

 

当初ドラゴンロードは韓国で撮影する予定だったそうなのですが、天候問題などの理由でほとんど台湾で撮影したそうです。
香港でも多少撮影しているらしいです。

 

前作のヤンマスと違う点は本作は正統派カンフー作品ではなく、今後のジャッキー作品として定着した身の回りの物を使ったアクションなどが散見できます。
作品の雰囲気は明るめで、ジャッキー作品らしいコメディ要素もあり、暗い雰囲気はほとんどありません。
田豐さんは相変わらず厳格な父親役が好演ですし、ロンがカンペを見ながら詩を朗読するシーンも楽しい(^o^)
ジャッキーとマースが親友役というのも嬉しい♪
2人が屋敷で鉄砲をイタズラするシーンはヒヤヒヤ(;'∀')
火薬入ってるのに銃口覗きこんじゃダメー!!!

 

ロンが凧を取りに屋根へ上がって下から槍で突かれるシーンがあるのですが、これって地味だけどかなり危ないと思います(゚Д゚;)
タイミングが合わなかったら槍がグサッってジャッキーに刺さっちゃうよ!!
あと納屋の2階から背中で落ちるシーンもかなりえぐい(;゚Д゚)

 

痛ましいことに本作でスタントマンが亡くなっているそうです。
金饅頭争奪大会のシーンかな?
劇中で登場した金饅頭争奪大会は「搶包山(チョンパウサン)」と呼ばれる香港で実在するお祭りです。
饅頭を積み上げた高い塔に登ってよりポイント数の高い饅頭を取っていくという、かつて死者も出たかなり危険なお祭りだそうです。(近年は安全に配慮されているとは思いますが)

 

本作のもうひとつのスポーツ要素である羽サッカーは毽子(ジェンズ)と呼ばれる羽をサッカーのように蹴るという実在するスポーツです。
日本語版だとドラゴンキッカーや金杯争奪戦という名称で呼ばれていたりしますが、私は羽サッカーって呼んでます(笑)
成家班はみっちり合宿して撮影に臨んだそうで、これは見応えがありました(* ゚Д゚*)
だって羽って扱いが超難しそうだもん。
やっぱ成家班は凄いなぁ(・∀・)
そういえばプレイヤーの中に器用にジェンズを操る孟海の姿もありました♪
日本語吹き替え版だと羽サッカー大会の実況が広川太一郎氏で、面白さ爆発(笑)
ただ新録版だと広川さんではなく堀内賢雄氏なので注意。

 

香港版と日本劇場公開版では仕様が異なります。
日本劇場公開版では金饅頭争奪大会のシーンが冒頭で登場しますし、副総管が逃げようとするシーンや、ロンとガウが大砲をぶっ放して2人の親父たちが真っ白になるシーンなどが観れます。

 

ドラゴンロードの「ロード」は「道(Road)」ではなく、「君主」を意味する「ロード(Lord)」です。
ロード・オブ・ザ・リングと同じですね。
でも原題の「少爺(シウイェー)」は「若君」という意味なので、「Lord」ではなく「Young master」のほうが適しているのではないかと思ったりします。
私が邦題をつけるとしたら「ドラゴンヤングマスター」かな(・∀・)