イップ・マン 完結

イップ・マン 完結

原題 葉問4

製作 2019年

めぐちゃんの満足度 ★★★★

 

葉偉信(ウィルソン・イップ)監督、甄子丹(ドニー・イェン)主演のイップ・マンシリーズの第4弾です。
本作でついに完結!!・・・と思いきやなんと「イップ・マン5」の製作が決定いたしました(*‘∀‘)
完結したんじゃないのかーい(笑)でも嬉しい♪
あれ?でもイップ師匠は最後・・・(・・;)
第5弾がどういう感じになるのかは分かりませんが続報を待ちたいと思います。

 

1964年。
詠春拳の達人のマン(甄子丹)は香港で弟子たちに武術を教えていますが、ある日、医者からガン宣告を受けます。
アメリカにいるマンの弟子のシウロン(陳國坤)はマンを国際空手道大会に招待するために弟子のビリー(Simon Shiyamba)を香港に向かわせますが、マンはシウロンの招待を断ります。

 

マンの次男のチェン(葉禾)は学校で同級生と喧嘩をして退学になってしまいます。
マンはチェンの編入先の学校を探すためにアメリカへ行くことを決断し、留守の間はマンの友人で元警察官のポー(鄭則士)にチェンの面倒を頼みます。
チェンは武術を学びたがっていますが、マンはチェンが武術の道に進むことを反対しています。

 

マンがアメリカに到着すると、アメリカに移住した新聞社の編集長のリョン(敖嘉年)に出迎えられ、マンは中華街にある中華総会へ案内されます。
アメリカの学校に編入するには中華総会の会長であるワン(吳樾)の紹介状が必要ですが、マンの弟子であるシウロンが西洋人に中国武術を教えていることが気に入らないワンは紹介状を書くことを拒みます。
迫害されている華僑や華人を守るために総会を立ち上げたワンは西洋人を敵視しています。

 

紹介状が無ければ編入することはできないのでリョンは外国の友人に紹介状を頼みますが、素性の知れないマンを信用できないと言われて断られてしまいます。

 

マンはシウロンが出場している空手道大会に行き、チェンの編入先を探していることをシウロンに告げると協力してくれます。
シウロンは空手チームのアメリカ人たちに絡まれますが、シウロンは圧倒的な強さでアメリカ人を倒します。
シウロンの弟子の弁護士に紹介状を書いてもらったマンですが、編入先の学校の校長(Linda Jean Barry)は中華総会の推薦状も必要だと言います。

 

学校でチアリーディングをしているワンの娘のルオナン(李宛妲)はチアリーディングのリーダーに抜擢されますが、ルオナンがリーダーに選ばれたのが気に入らない同級生のベッキー(Grace Englert)は腹いせに仲間を連れてルオナンに襲いかかると、暴行の現場に居合わせたマンはルオナンを助けます。
ルオナンを襲ったベッキーは自身も顔に傷を負い、ベッキーの顔の傷を見た母親(Nicola Stuart Hill)はすぐに夫(Andrew Lane)に連絡します。

 

マンはルオナンを家まで送り届けます。
娘の傷を見たワンは喧嘩をしたことを咎めますが、マンはルオナンをかばいます。
太極拳の達人であるワンは自分を負かすことができれば紹介状を書くことに応じるとマンに手合わせを持ちかけます。
互角の勝負をする両者ですが突如室内の家具が揺れ始めます。
地震が起こったためいったん勝負を中断し、改めて決着をつけることになります。
マンは勝負の勝敗に疑問を呈し、武術を通して中国人の偏見を変えるべきではないかと主張します。

 

海兵隊に所属するハートマン軍曹(吳建豪)はシウロンの弟子で、中国武術海兵隊の訓練に取り入れるため木人樁を訓練基地に持ち込みますが、一等軍曹のバートン(Scott Adkins)は一蹴します。
中国武術を見下しているバートンは空手の達人である教官のコリン(Chris Collins)と勝負して勝てば木人樁を基地に置くことを認めると言いますがハートマンはコリンに勝つことはできず、無残にも木人樁は燃やされてしまいます。
しかしハートマンは諦めず、中国武術の素晴らしさを上官に訴えかけます。

 

ベッキーの母親から連絡を受けた父親が出張先から戻り、娘が華人の同級生に傷つけられたことに腹を立てた母親は夫の移民局の職員という立場を利用して華人の住民たちを追放しようと目論みます。

 

中華街で中秋節の祭りが行われると、中国武術が気に入らないバートンはコリンを中秋節の会場に送り込み、舞台に乱入したコリンは華人たちを挑発します。
ロー師匠(羅莽)、形意拳のチョン師匠(周小飛)、七星螳螂拳のチウ師匠(高強)がコリンに倒されると、会場にいたマンは舞台に上がり、圧倒的な力でコリンを倒します。
会場が騒ぎになったためクワイ(潘劍)はワンを呼びに行きますが、ワンが移民局に連れて行かれたことを知ったクワイは急いでルオナンに伝えます。

 

ワンが拘束されてしまったのは自分が同級生を傷つけたからだと責任を感じたルオナンはベッキーの父親にひざまづいて謝ろうとしますが、ワンは下手に出ることはないと言って制止します。

 

面目を潰されて腹を立てたバートンは中華総会に押し入って華人の師匠たちからワンの居場所を無理やり聞き出すと、ワンが拘束されている移民局へ向かい、責任者であるワンに勝負を挑みます。
序盤は互角の戦いをするワンとバートンですが、徐々にワンが押され始め、反撃を試みるも脚を攻撃されたワンは起き上がることができず敗北を喫します。

 

マンは毎日決まった時間にアメリカから香港の自宅に電話をしていましたが、ついに自身がガンに冒されていることをポーに告げます。
武術を学ぶことを反対されて反抗していたチェンですが、マンがガンであることを知ったチェンはずっと拒否し続けていたマンからの電話に出ると押さえていた感情が溢れ、涙を流します。

 

ハートマンはワンが倒されたことをマンたちに伝えます。
不正に立ち向かうマンはバートンと決着をつけるため訓練基地を訪れるとバートンはマンの挑戦を受け入れます。
バートンの猛攻に押されたマンは床に倒れ込みますが気力で起き上がり、徐々に打撃を加えてバートンの体力を奪います。
バートンの腕をねじ伏せて喉を突き、床に倒れたバートンは起き上がることができずマンが勝負を制します。

 

退院したワンから紹介状を受け取ったマンは香港へ戻ります。
チェンはアメリカの学校に行くつもりはなく、武術の道を歩むことを許したマンはチェンに詠春拳を教えます。

 

1972年12月2日。
マンは79歳で生涯を終えます。
葬儀には多くの弟子や関係者が参列し、その中にはシウロンの姿もありました。

 

4作目となるとマンネリズムは否めないのですが私は楽しめました(*^^*)
ストーリーに関してはところどころ強引な部分もありますが、許容範囲です。

 

イップ・マン2では英語を話せなかった設定のイップ師匠ですが、本作では英語ペラペラです(・∀・)
実際のイップ師匠って英語話せたのかな??

 

アクション監督は前作に引き続き袁和平(ユエン・ウーピン)で、詠春拳のアドバイザーはイップ・マンのご子息である葉準(イップ・チュン)と葉正(イップ・チェン)、そして今回はブルース・リーの弟の李振輝(ロバート・リー)のクレジットもありました。

 

主役のドニー様を差し置いて申し訳ないのですが、私が本作で最も感動したのはブルース・リー役を演じた陳國坤(チャン・クォックワン)なんですよね。
前作の「イップ・マン 継承(葉問3)」に出演されていた時よりブルース・リーの完成度がさらに高くなっていて生き写しかと思うくらい驚きました。
表情、仕草、体の動きなど細かいところまでリーを研究されていて愛を感じますし、凄く嬉しいです(*^-^*)
ヌンチャクアクションも堪能できます♪
私は「ドラゴン怒りの鉄拳」でのヌンチャクのイメージが非常に強く、ヌンチャクといえば当時ショウブラザーズで活躍されていた倉田様が怒りの鉄拳の撮影セットを訪れた際にブルース・リーと初めて対面してヌンチャクをプレゼントしたというエピソードがありますが、アメリカに居た頃にブルース・リーは友人のダン・イノサントからヌンチャクを教わり、すでにヌンチャクを習得されていたそうですね。

 

終盤でこれまでのイップ・マンシリーズのダイジェストの映像が流れた時は鳥肌が立ちました(*゚Д゚*)
いよいよドニー版イップ・マンも完結なのね・・・と感慨に耽っていたら続編があるのか~い(笑)

 

今回のドニー様は役柄上きっと老けメイクしていると思う。
だって普段はもっと表情が若々しいですもん。
でも老けた雰囲気のドニー様も素敵だわ(*´▽`*)

 

あとワン役を演じた吳樾(ウー・ユエ)が男前過ぎて惚れた(*´Д`*)
ウー・ユエは中国で活躍する役者さんですが、武術が堪能な方で香港映画にも何度か出演されています。
イップ・マンと戦うシーンではイップ・マンの腕の怪我を考慮して途中から片手だけで戦うのが粋だわ♪

 

今回も羅莽さんが出演されていて嬉しい(*´з`)
コリンに瞬殺されていましたが・・・(゚Д゚;)ガーン

 

バートン役のスコット・アドキンスは悪役ですが、オフショットではドニー様と嬉しそうに写真に写る姿が拝見できました♪
調べてみるとジャッキー映画のアクシデンタル・スパイやメダリオンにも出演されているそうなのですが、全然分からなかった(;'∀')
今度観た時に改めて探してみよ。

 

劇中では人種差別の描写があり、ルオナンが同級生に髪を切られるというショッキングなシーンがつらかった。
人種差別マジで嫌だわ。
ヘイトなんか絶対に幸せになれないのに。

 

他の方々の作品レビューを読んでいると、イップ・マン映画はプロパガンダ映画だと書いているレビューが目につきますが、私はウィルソン・イップ監督はそういう方ではないと思っています。
イップ・マンが生きていた時代は19世紀末から20世紀後半なので、時代背景を考慮するとどうしても外国人は悪役として描かれてしまいます。
でもこれは仕方がないことで、アクション映画を撮る際には対立する相手がいないと成り立ちません。
イップ・マン映画はノンフィクションやドキュメンタリーではなく、エンタメ作品です。
ウィルソン・イップ監督が作品に込めているのは政治的メッセージではなく、人物の境遇や内面を描く監督だと私は思っているんですけどね。

 

ただ劇中でバートンがイップ・マンに言い放った侮蔑語はいかがなものか・・・。
日本語字幕や日本語吹き替えだとソフトな表現になっていますが、オリジナル音声の言葉がキツ過ぎる。
あの侮蔑語が無くてもバートンの傲慢さは表現できているので、言わないほうがよかったなぁ。