港片迷阿欣

大好きな香港映画の感想を書いているブログ(ネタバレあり)

香港魔界大戦

香港魔界大戦

原題 西藏小子

製作 1992年

★★☆☆☆

 

元彪(ユン・ピョウ)が初めて監督を務めた作品で、現在(2024年7月)に至るまで最初で最後の監督作となっております。

ん?みんな忘れていないかい?
元彪の初監督作品は「香港魔界大戦」ではありません。
「ユン・ピョウ / ヤング・チャンピオン」ですよ!!

「ユン・ピョウ / ヤング・チャンピオン」とはなんぞや?
元彪がアイドル的な人気を博していた80年代前半頃に日本でリリースされた元彪のイメージビデオです。
元彪はこのイメージビデオの監督を務めていたので、初監督作品は「ヤング・チャンピオン」ということになります(←映画じゃないやん)
昔の作品の元彪は吹き替えが多いので、若い時代の彼の声が聴けるのは貴重でありがたいです(*^^*)

 

チベットの修行僧ライ(元彪)は香港からやって来た弁護士のロビンソン(喬宏)を黄教の教主(午馬)の元へ案内します。
ロビンソンが脚を引きずっている様子を見たライは超能力を使って彼の脚を治します。

 

500年前、5つの宗派のうちの黒教が悪事を働いた際に黄教が黄金の壺を使って黒教を制圧したという伝説があります。

 

現在黄教の教主の手元にあるのは黄金の壺の蓋のみで、壺本体は香港の富豪のパウ(李名煬)が所有しています。
ロビンソンが香港へ帰国すると、黄教の教主は黄金の壺を持ち帰るように弟子のライに命じ、チベットにいるロビンソンの助手のヤウ(李嘉欣)を訪ねるように言います。

 

香港では黒教教主(元華)と黒教教主の妹(利智)がパウの屋敷に押し入り、黄金の壺を奪います。

 

ライはヤウを見つけると二人は黒教教主の妹が送り込んだギャングに襲われます。
二人はギャングから逃げ切り、ライが黄教の教主の使者だと知ったヤウはライと共に香港へ向かいます。
しかしライはギャングと争った際に相手から奪った拳銃を所持したままだったのでライとヤウは空港で拘束されます。
ライとヤウが釈放されると事情を知ったロビンソンはヤウの友人であるマイケル(Michael Dinga)を留置所へ向かわせ、二人を引き取ります。

 

ライたちはロビンソンの誕生日パーティーの会場にやって来ると、ロビンソンの勧めでライは観衆の前で超能力を披露することになります。
会場には黒教教主の妹の姿があり、ライの超能力を見た黒教教主の妹は超能力を使ってロビンソンを丸裸にします。
ライの仕業だと勘違いして不快に思ったヤウは怒ってパーティー会場から出て行きます。

 

ライがヤウを引き止めようとすると黒教教主の妹が現れてヤウを追うと申し出たため、ライは彼女の車に乗ります。
しかしこれは罠で、黒教教主の妹は黄金の壺の蓋を狙っています。
黒教教主の妹は色仕掛けで純真なライに迫りますが通用せず、力ずくでライから蓋を奪おうとします。
ライは抵抗し、結局蓋を奪うことができなかった黒教教主の妹はいったん退散します。
蓋を手に入れても黄金の壺の力を引き出すには呪文が必要で、黒教教主は勝手な行動を取った妹に憤慨します。

 

姿を消したライを心配したヤウは彼を捜し、ようやく二人は再会して仲直りします。

 

翌朝ライとヤウはパウの屋敷へ向かいます。
屋敷にいたのはパウになりすました黒教教主で、ライから呪文を聞き出そうとしますが不審に思ったライは黒教教主がパウになりすましていることを見抜きます。

 

本性を現した黒教教主はライに襲いかかり、抵抗むなしくライとヤウは黒教教主に捕まってしまいます。
二人は脱出を試みますが、ライの両手が鎖で拘束されてふさがっているため超能力を使うことができません。
黄金の壺の力を悪用されることを恐れているライは決して黒教教主に呪文を教えようとはしませんでしたが、ヤウを人質にされてしまったためライは彼女を助けるために呪文を唱えます。

 

黄金の壺の力によって黒教教主の手下たち(江苗定、陳碩)が一瞬にして命を奪われ、この隙にライはヤウと力を合わせて超能力を使い、拘束している鎖を吹き飛ばします。

 

凄まじい黄金の壺の力によって黒教教主の妹も命を落とし、ライは再び黄金の壺の力を封印します。
ライは黄金の壺を奪って逃げようとしている黒教教主と戦い、苦戦しながらも剣で黒教教主を倒します。

 

ライは師匠の命令通り黄金の壺をチベットに持ち帰ります。
しばらくするとヤウがポタラ宮を訪れ、新たな骨董品を運ぶ任務を頼まれてげんなりするライなのでした。

 

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本日7月26日は元彪の誕生日なので毎年恒例になっている「出演作品を取り上げてみる」を今年もやってみました(^^) 生日快樂♪
しかし愛する元彪といえど作品の感想は忖度なしで述べたいと思います。

 

本作の感想を一言で表すと、う~ん…なんだかあまりパッとしないです。

 

ライが師匠から壺探しを命じられた時に意味ありげな腕時計を持たされるのですが、結局その腕時計が後に登場することはありませんし、ライが眠れないヤウに手渡した祈祷輪も後半で何かの役に立つのかと思っていたら特に何も起こらなかったり、ひとつひとつの要素が単発的なのが散見されてもったいないと思いました。


チベットからやって来た青年が奮闘する物語なので必然的に舞台がチベットの外になるというのは分かるのですが、もう少しチベットの神秘的な要素が見たかったな。
テーマがテーマだけにもっとスケール感もほしかったですね。

 

邦題が「香港魔界大戦」なのですが、全然「魔界大戦」要素がない(;'∀')
どういう意図で付けられた邦題なのでしょうかね??
邦題に「香港」がついてしまうほどチベット要素が薄いことを露呈しているのが少し残念かなぁ。
確かに最終決戦の舞台は香港なんですけどね。
でもクライマックスはチベットが舞台でもよかったかもしれない。
チベットから香港に行って、それからまたチベットに戻って最終決戦とか。

 

教主が富豪のパウになりすましていたシーンですが、ヤウはロビンソンの助手をしているのにパウの顔を全く知らないというのがちょっと引っかかるなぁ。
助手だったら依頼主のことを把握していそうなものですが。
あとロビンソンとヤウってチベットで別行動していたけど、共通の案件だったら普通は一緒に行動すると思うんだけどね。
情報の共有のためには別行動するメリットってあまり無いと思うし。

 

ジャッキーの出演があまりにも一瞬過ぎる!!
でもこの頃のジャッキーは確かプロジェクト・イーグルの撮影中で多忙だったから仕方ないのかな。
逆にわざわざ時間を取ってくれたジャッキーに感謝。
黃一山(ガブリエル・ウォン)と苑瓊丹(キングダム・ユン)も特別出演されていましたがジャッキーより出演時間が長い(^^;)

 

元彪の袈裟がとても似合っていて素敵です(*^^*)
孔雀王の時のチベット僧の評判が良かったそうなので今回も取り入れたとか。

 

女性にも容赦がない香港映画ですが、ご多分に漏れず女性陣は体を張っていました。
ニナ・リーはアクションがなかなか良くて(難しいシーンは当然替身なのですが)元彪と戦うシーンはけっこう好きだったりします(^-^)
おっぱいのシーンはちょっとムムムでしたが(-ω-;)
ミッシェル・リーは泥だらけになったり池に落とされたり水責めにあったり、ニナ・リーとはまた別の形で体を張っていましたね(;'∀')
香港の女優さんは大変だわ…。

 

監督を務めた元彪は非常に苦労されたそうです。
彼は気を遣う方なので監督という重圧は神経を擦り減らしそうです…。
ジャッキーも周りに気を遣うことで有名ですが、ジャッキーの場合は体力や精神力が怪物級なんですよね(;^_^A

 

日常を慌ただしく過ごしている香港人に対してチベット人は自由気ままに暮らしているというライのセリフが印象的だったのですが、これって当時の元彪自身の思いを吐露しているのかな。