続・少林寺列伝
原題 少林五祖
製作 1974年
★★★★★
張徹(チャン・チェ)監督が手掛ける「少林英雄傳四部作」シリーズの第4弾です。
シリーズについては以前レビューした嵐を呼ぶドラゴンのほうに掲載していますのでもし興味があればご覧ください(^-^)
武術の達人を輩出する少林寺に脅威を感じた朝廷は謀反の芽を摘むために少林寺を焼き払います。
多くの少林僧が命を落としましたが、命からがら寺を脱出した高手のシークアンは広東へ逃れ、同門のシーユイと手を組んで反清復明活動を続けます。
その他に生き残ったフー(姜大衛)、ツァイ(狄龍)、マー(傅聲)、リー(戚冠軍)、ファン(孟飛)の五人の少林僧たちは中原へ向かい、彼らもまた反清復明を掲げて朝廷の動きを窺っています。
朝廷が容易に少林寺の焼き討ちを遂行できたのは欲に目が眩んだ少林僧のフーイー(王龍威)が仲間を裏切って朝廷に密告したことが要因で、ウェンヤオ将軍(江島)を筆頭にチンチウ(馮克安)、チエン(梁家仁)、ユイロン(蔡弘)はさらなる謀反人の炙り出しに躍起になっています。
フーたちは各地に散在する志士たちと連絡を取り合う際に仲間内の合図を取り決めています。
朝廷との接触を避けるために五人は別々に行動を開始します。
茶店で休憩していたツァイは志士(戚毅雄)と合流しますが、待ち伏せしていた飛斧使いのユイロンが立ちはだかります。
分が悪いと悟ったツァイはユイロンにしがみついて動きを封じ、その間に志士たちを逃がします。
ユイロンの攻撃を受けたツァイは腹部を負傷しながらもその場から逃走を図りますが、己の力不足を痛感します。
近くにチンチウが現れたという情報を手に入れたリーは志士(唐炎燦)の制止を振り切って敢然とチンチウに立ち向かいますが、志士がチンチウに殺されてしまいます。
リーは自身の身勝手な行動で仲間を死なせてしまったことを悔みます。
朝廷に拘束されていた志士のチアン(劉家輝)を助けようとしていたファンの前にチエンが姿を現します。
共倒れを避けるためにチアンはファンを逃がして犠牲となります。
ファンはチアンの仇を討つためにチエンを倒すことを決意します。
空腹のマーは一文無しのため、仲間を頼って食事に有り付こうとしますがなかなか出会うことができません。
フーイーは偶然を装ってマーと接触し、フーイーが裏切者だと知らないマーは再会を喜びます。
しかしフーイーの言動や行動に違和感を覚えたマーはフーイーを疑い始めると、問い詰められたフーイーは本性を現します。
フーイーに捕まったマーは拘引される前に道で出会った志士(鄧德祥)にフーイーが裏切者であることを大声で伝えます。
フーはカオ寨主(李振標)がいる連天寨へ向かいます。
そこは同じ志を持った仲間が集う場所ですが、用心深いカオ寨主はフーを信用していません。
敵の首を取って戻れば信用すると言われたフーはいったん連天寨を後にします。
フーイーの謀反とマーが拘束されていることを知ったフーは県城へ乗り込みます。
フーイーは仲間内の合図を聞き出すためにマーを拷問しようとしますが、マーは決して口を割りません。
フーイーの裏切りを知ったカオ寨主は仲間を率いて県城へ乗り込み、拘束されているマーの救出を試みます。
カオ寨主はフーイーと戦っている間にマーを逃がし、フーと合流したマーは県城から脱出します。
しかしカオ寨主はフーイーに殺されてしまいます。
一同は連天寨に集合し、フーはカオ寨主亡き後の後継者に志士たち(陳狄克、陸劍明)を指名します。
敵は思ったよりも手強く、このままでは太刀打ちできないと考えたフーは修行をやり直すことを決意します。
フーたち五人は焼けた少林寺へ戻り、使えそうな武器を調達します。
ツァイは飛斧使いのユイロンに対抗するために少林瘋魔杖法を極めることにします。
リーは十形掌で蟷螂拳の使い手のチンチウに挑むことにします。
フーは少林三節鋼鞭でウェンヤオ将軍の辮子功、ファンは地趟功でチエンの連環劈掛掌、マーは虎鶴双形でフーイーの梅花環掌に対抗するために修行を開始します。
修行は一年以上にも及び、ウェンヤオたちはフーたちの動きがないことを不審に思い警戒します。
フーたちが修行をしている間に清朝に抵抗するチェン家軍の参謀のヨンファ(盧迪)が書簡を携えて連天寨へ到着します。
修行を終えて再び結集した五人ですが、腕を上げたとはいえ朝廷の大軍の前には歯が立たないと考えたフーはウェンヤオ将軍率いる主要五人をおびき出す作戦を取ります。
志士(葉天行)は囮になってウェンヤオたちを誘い出すことを志願します。
手柄欲しさにまんまとフーの策略に嵌ったウェンヤオたちは志士から仲間内の合図を聞き出した後に彼を殺害し、少数精鋭体制でフーたちの元へ向かいます。
少林僧と朝廷の戦いが始まります。
フーはウェンヤオの護衛たち(滕強美、滕強英)に苦戦しつつも三節鋼鞭を駆使して倒し、ウェンヤオも仕留めます。
ファンはチエンの劈掛掌に対抗して地趟功で致命傷を与えるものの、チエンの窮余の攻撃を受けたファンは命を落とし、相打ちとなります。
ツァイは棍でユイロンの飛斧を破壊し、川の水飛沫で動きを鈍らせた後に強烈な一撃を与えてユイロンを倒します。
リーは十形掌で蟷螂拳の使い手のチンチウを追いつめて頭を捕らえます。
しかし瀕死状態となったチンチウはがら空きになったリーの脇腹を攻撃して死に至らせ、こちらも相打ちに終わります。
虎鶴双形でフーイーに挑むマーは鶴の拳でフーイーの目を潰した後に虎の拳でとどめをさします。
生き残った三人は仲間の遺体を志士が集う紅花亭へ運び、勇猛果敢な英雄を讃えるのでした。
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今回は役名などを北京語読みで記載してみました。
『続・少林寺列伝(少林五祖)』は時系列的には『少林寺列伝(少林寺)』の後の話になるのですが、製作は前者のほうが先です。
ややこしい(^^;)
配役が微妙に異なりますし、正式な続編と呼ぶには憚られるかもしれません。
私の好きな要素しかない大好きな作品(*´∀`*)
少林五祖キャストは言うまでもなく最高ですが、敵役もそれぞれ個性爆発で素晴らしい!!
少林五祖は全員イケメンだからそれだけでもわたくしの満足度は高い(*´ρ`*)ミーハー
もちろん顔だけではなく、何と言っても本作の見所は少林五祖VS朝廷の激戦シーンではないでしょうか。
皆さん若いというのもありますが、動きがキレッキレです!!
デビチャだけ戦う相手が三人だから苦労が三倍(^_^;)
狄龍様は右腕に傷があったけど、撮影での怪我なのかな?
最後のシーンでは痩せているとはいえ長身の戚冠軍を担ぐの大変そうだったな(;^_^A
劇中で傅聲と戚冠軍が仲良さげにしてるのがたまらん~♪♪
他の三人は単独で修行してるのにリーとマーは一緒に修行していたし、リーってばツンデレでマーをあしらっているけど弟弟子思いなんだよね(*´ω`)
自然にボディタッチしちゃうシーンもドキドキ♪
傅聲と戚冠軍は私生活でも親しかったとお聞きするので、二人の関係性いいなぁ(*^^*)
孟飛(メン・フェイ)がショウブラ作品に出演されているのが珍しいですね。
陳觀泰(チェン・カンタイ)が五人のメンバーに加わる予定だったらしいのですが、タイ兄貴は撮影時に香港にいたので台湾にいた孟飛にお声がかかったとか。
孟飛は主に南海影業公司で活躍されていた武打明星で、日本だと作品を鑑賞するのが困難なのが残念( ;∀;)
出番は少ないですが、まだブレイクする前の輝哥(劉家輝)が出演されていたのが嬉しい(*^^*)
ショウブラ時代の端役でおなじみの曾志偉(エリック・ツァン)の姿もありますね。
武術指導のカーウィンさん(劉家榮)も出演されていましたが、ウェンヤオの護衛たちに殺される役でした(T_T)ひぇーん。
陳勳奇(フランキー・チェン)制作の耳に残る劇伴も特徴的であります。
アンビエントっぽい感じの曲(-ω-)
※本作では本名の「陳永煜」でクレジットされていました。
この作品、なんと主要キャストに女性が一人も登場しないのです!!
※町を歩いている端役の女性などは除く
徹底した陽剛(男)の世界を構築しているのであります。
潔い。
五人のうち二人が死んでしまうという結末が残念ですが、張徹イズムにしてはマイルドなほうなのかな。
ストーリーもけっこう王道ですし。
本作では秘密結社洪門の暗号のひとつである「三把半香(サンパープンヒョン)」が登場します。
人差し指を曲げた所作は明朝最後の皇帝の崇禎帝が崩御した3月19日を表しているといわれています。
他作品ですと例えば周潤發主演の『黒社会(我在黑社會的日子)』で林偉雄演じるピウが挨拶をする際に三把半香を用いているのが確認できます。
話は変わりますが、このところ訃報が続いて大変残念です。
唐佳(タン・チア)氏が2025年6月23日にお亡くなりになりました。
享年88歳。
私が初めて唐佳さんを拝見したのが『片腕必殺剣(獨臂刀)』でした。
唐佳さんは張徹監督の作品でカーリョンさん(劉家良)と共同で武術指導を務められることが多かったですね。
2025年6月25日に蔡瀾(チョイ・ラン)氏がお亡くなりになりました。
享年83歳。
蔡瀾さんは非常に多彩な方で、プロデューサー、作家以外にも美食家としても知られ、マルチリンガルで日本に留学経験がおありで日本語も堪能な方でした。
ジャッキー作品の製作にも携わっており、スパルタンXの撮影の時には蔡瀾さんから映画のことはもちろん映画以外の振る舞い方などを教わったとジャッキーは仰っていましたね。
謹んで哀悼の意を表します。