港片迷阿欣

大好きな香港映画の感想を書いているブログ(ネタバレあり)

カンフーハッスル

カンフーハッスル

原題 功夫

製作 2004年

★★★★★

 

香港のみならず日本でも大ヒットした周星馳チャウ・シンチー)主演、監督によるカンフーコメディ作品です。
前作の少林サッカーのヒットによって日本でもチャウ・シンチーの名前が知られるようになり、本作の公開時、私は10代後半だったのですが話題になっていたのを覚えています。
でも当時は興味が無かったので観に行くということはありませんでした(^^;)

 

社会情勢が不安定な1930年代の中国ではギャング集団の斧頭会が幅を利かせ、人々は斧頭会を恐れていました。
一方、豚小屋砦に暮らしている貧困層は影響を受けることなく平和に暮らしています。

 

ある日、斧頭会になりすましたチンピラのシン(周星馳)とグワ(林子聰)が豚小屋砦に現れて住民たちを脅しますが、住民たちは武術に長けているのでシンたちを全く恐れません。
大家の妻(元秋)がシンに詰め寄るとシンは虚勢を張って爆竹を投げますが、爆竹が斧頭会のナンバー2(林雪)の頭の上で爆発したため、シンは住民が爆竹を投げたと嘘をつきます。

 

本物の斧頭会がやって来るとそれまで威勢が良かった大家の妻は逃げ出します。
ナンバー2は床屋(何文輝)に襲いかかりますが、ナンバー2は逆に投げ飛ばされてしまいます。
ナンバー2は助けを呼ぶと、斧頭会のボスであるサム(陳國坤)と多くの構成員たちが現れて住民たちを襲います。

 

住民の中でも武術に秀でている十二路譚腿の使い手の人足(行宇)、洪家鐵線拳の使い手の仕立て屋(趙志凌)、五郎八卦棍の使い手の粥麺屋クワイ(董志華)が構成員たちと戦い、構成員たちを痛めつけるとサムたちは退散します。
斧頭会に捕まったシンとグワは組に入りたいと切望します。

 

シンは幼い頃に謎の老人(袁祥仁)から天性の武術の逸材だと言われ、老人から如来神掌の極意書を授かったシンは武術の鍛錬に励みます。
ある日、シンはいじめっ子たちにいじめられている女の子を助けようとしますが、シンは敵わずやられてしまいます。
女の子はシンにキャンディを渡そうとしますが屈辱感を感じたシンは、悪が世にのさばるなら自身も悪になろうと決意します。

 

町でアイス売りの女性のフォン(黃聖依)を見かけたシンとグワはアイスを食い逃げします。

 

斧頭会に手を出してしまったことを恐れた大家の妻は人足、仕立て屋、粥麺屋のクワイを豚小屋砦から追い出そうとしますが、住民のチャン(陳凱師)は追い出すのはあんまりだと大家の妻に詰め寄ります。
住民たちも一斉に声を上げますが、大家の妻は住民たちを一喝します。

 

シンはサムに認めてもらうために大家の妻の暗殺を謀りますが見つかってしまい、大家の妻に追いかけられます。
シンは全速力で走り、大家の妻から逃げ切ります。

 

サムは豚小屋砦の達人たちを倒すために刺客の琴奏者ティンチャン(賈康熙)とデイチャン(馮克安)を雇います。
演奏する琴の音色はあらゆる物を切り裂く凶器で、豚小屋砦から立ち去ろうとしていた人足の首を切り裂きます。

 

デイチャンが仕立て屋を襲うと、クワイが助太刀にやって来ます。
仕立て屋とクワイは琴奏者たちと戦いますが、凶器の琴の音色によって重傷を負って窮地に立たされます。
そこへ大家(元華)と大家の妻が姿を現し、大家の妻が放つ獅子の咆吼による大声攻撃と、大家の太極拳でティンチャンとデイチャンを攻撃すると、大家夫妻に敵わないと思った2人は逃げ出します。

 

大家夫妻は戦いを見ていたサムと斧頭会の相談役(田啟文)に対して二度と来るなと脅すと、サムたちは引き上げて行きます。

 

琴奏者たちと戦って重体だった仕立て屋とクワイは亡くなってしまいます。
大家夫妻も武術の達人ですが、戦いで息子を亡くしているため、極力争いを避けていたのです。

 

暗殺に失敗して自棄になったシンはアイス売りのフォンの所へ行って強盗をします。
フォンはろう者で手話でシンに訴えかけてキャンディを渡そうとします。
フォンは幼い頃にシンが助けた女の子だったのです。
シンはフォンを振り払って立ち去ります。

 

グワを足手まといだと感じたシンはグワを追い払うと、斧頭会の構成員たちが現れ、シンは斧頭会へ案内されます。
相談役から斧頭会へ入ることを許されたシンに最初の指令が下ります。
指令は異人類研究所に忍び込んで火雲邪神(梁小龍)を連れて来ることでした。

 

シンは言われた通り火雲邪神を連れて来ると、火雲邪神の恐るべき身体能力を目の当たりにします。
火雲邪神は強過ぎて敵がいなくなってしまったため、自らを幽閉していたのです。

 

火雲邪神は斧頭会が経営するカジノに来ていた大家夫妻の前に現れます。
大家夫妻は火雲邪神と戦いますが火雲邪神は強く、獅子の咆吼も通用しません。
大家夫妻は釣り鐘を持ち込んでおり、大家の妻は釣り鐘の上部を壊して拡声器のようにして獅子の咆吼を火雲邪神に浴びせます。

 

さすがの火雲邪神も吹っ飛ばされて負傷しますが、火雲邪神は大家夫妻を油断させた隙に攻撃します。
3人が取っ組み合いになると、サムはシンに大家夫妻を殺すように命令します。
しかしシンはサムの命令に背き、サムの頭を殴ります。
シンは悪の道へ進むことを踏みとどまり、火雲邪神の頭を殴ると、火雲邪神から強烈な突きを食らいます。
大家夫妻は意識を失ったシンを連れて一目散に逃げ出します。

 

大家夫妻はシンを治療すると、シンは驚異的な生命力で回復し、火雲邪神から攻撃を受けたことで眠っていた真の力が目覚めます。

 

火雲邪神は斧頭会の構成員たちを引き連れて豚小屋砦に押し入りますが、真の力を発揮したシンは次々と構成員たちを倒して行きます。

 

火雲邪神と対峙したシンは先制攻撃を行うと、ガマ功を発動した火雲邪神は体を弾丸のようにしてシンに突っ込みます。
シンは空高く突き飛ばされると地上にいる火雲邪神に如来神掌を発動します。
シンのあまりにも凄まじい威力を目の当たりにした火雲邪神は降参します。

 

斧頭会は壊滅し、シンとグワはキャンディ屋を開きます。
フォンはキャンディ屋を見つけると、店の中にいたシンと再会を果たすのでした。

 

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シンチーワールド炸裂で、面白くて大好きな作品です(*^^*)
私は実写映画で使用されるCGがあまり得意ではないのですが、シンチー作品はCGを誇張表現としてうまく使用されているので楽しめます(*'▽'*)

 

前作の少林サッカーよりも今回はカンフーアクション要素が強いので、カンフーアクションにCGを使用することに対して当初少し不安があったのですが、冇問題!!
なぜならばアクション監督は袁和平(ユエン・ウーピン)と洪金寶(サモ・ハン・キンポー)で、出演されている役者さんが行宇(シン・ユー)、趙志凌(チウ・チーリン)、董志華(ドン・ジーホワ)、元華(ユン・ワー)、元秋(ユン・チウ)、梁小龍(ブルース・リャン)など本当にアクションができる方々で、武術指導も武術のプロ集団、アクションの土台がしっかりとされているので、CGを使用しても説得力のある画に仕上がっています。
コメディ以外の場合はまた違った表現方法が必要になってくるとは思いますが。

 

シンチー作品の醍醐味といえば強烈なキャラクターですよね(*‘∀‘)
各々個性的で本当に面白いです。

 

無精ひげのシンチーが男前過ぎてちょっとドキドキした(*'ω'*)
一瞬トニー・レオンっぽく見えたりするんですよね(言い過ぎ?)
初登場シーンは「サッカーはやめた!」と言って現れるというセルフパロディ(笑)

 

元華さんと元秋さんの夫婦役最高過ぎ(^O^)
元秋さんのくわえタバコもイイわぁ♪
大家の妻がブルース・リーみたいになってサムを脅すのも楽しい♪
「ドラゴンへの道」のパロディだね( *´艸`)
大家の妻がシンを追いかけるシーンで、何でブラジャー取れてんの(笑)

当時人気があったんだろうなぁ、「カンフー麻雀(雀聖)」というお二人のスピンオフ作品があります。
実は私はまだ未見で、面白そうなのでいずれ観てみようかと思います。

大家夫婦が演じた「楊過」と「小龍女」は金庸の武俠小説「神鵰剣俠」に登場するキャラクターで、映画やテレビドラマなど数多く映像化されている作品です。
レスリー・チャンの神鳥英雄伝(楊過与小龍女)」は哥哥が出演しているので日本でもわりとご存じの方は多いかもしれません。

 

梁小龍(ブルース・リャン)は調べてみると約16年ぶりの映画出演だったそうです。
私はおじさんになったブルース・リャンを観たのは本作が初めてで、ますますブルース・リャンが大好きになりました(*^^*)
燃えよ!じじぃドラゴンもめっちゃ好きなんですよね~♪
中年のブルース・リャン可愛すぎる(*´Д`*)
若い頃は喧嘩っ早かったそうですが、数多くいる武術俳優の中でも蹴り技が美しくてカッコイイです。

 

斧頭会のボス役はブルース・リーに似ていることでおなじみの陳國坤(チャン・クォックワン)です。
イップマンシリーズでは本当にブルース・リー役を演じています♪
劇中で登場した斧頭会(斧頭幫)は20世紀初頭に実在したギャングだそうです。
映画では陳觀泰(チェン・カンタイ)主演の「上海ドラゴン 英雄拳(馬永貞)」でも斧頭会が登場します。
ちなみに馬永貞(マー・ヨンチェン)を題材にした作品で日本語版でも観れる作品というと、金城武主演の「暗黒街 若き英雄伝説(馬永貞)」や王羽(ジミー・ウォング)主演の「ドラゴン覇王拳(霸王拳)」など。

 

本編ではカットされていたけど、実は相談役のティンカイさんは空手の有段者で、シンと戦おうとしていました(^O^)
何でカットしたんだろ~。ちょっと観てみたかったなぁ。

 

馮克安(フォン・ハックオン)が琴奏者役で出演されていました(*‘∀‘)
ほとんどサングラスをかけているので顔が拝見できないのですが、最後吹き飛ばされるシーンでは顔が見れました♪
丸くなられた印象でなんか可愛いです(^ω^)
あと錢昇瑋(ウィルソン・チン)が本作のエグゼクティブプロデューサーをされていて、ちょこっと出演もしています(^ω^)

 

極意書を授ける謎の老人役の袁祥仁(ユエン・チュンヤン)は子供からもしっかり極意書の代金を取っていました(笑)

 

そして少林サッカーでも強烈なキャラクターだった何文輝(ホー・マンファイ)や眼鏡の馮勉恒(フォン・ミンハン)
床屋役のホー・マンファイはなぜか半ケツ(笑)
フォン・ミンハンは相変わらずいけ好かない奴でした(笑)

 

中国をイメージさせる劇伴音楽もかなりイイ感じです(*'ω'*)
本作においては西洋音楽だったとしたら正直魅力が半減していたかもしれない。
音楽は大事ですね。

 

大家夫妻が斧頭会に持ち込んだ「葬式の釣り鐘」って、釣り鐘の「鐘(ヂョン)」と死を意味する「終(ヂョン)」の発音が全く同じだから死を暗示しているってことなのかな?

 

気になることを挙げるとすると、シンが悪の道から心変わりするのが少し唐突だった気がします。
もう少し心情の変化が描写されていれば良かったかなって思いました。

 

この頃、シンチーと達哥の不仲説が流れるようになり、これまでシンチーと数多くの作品で共演してきた吳孟達(ン・マンタ)が出演されていないのが残念(T_T)
不仲説の真相は分かりませんし、達哥の体調不良だったという話もあります。
本当の話は当人同士しか分からないことだと思います。