港片迷阿欣

大好きな香港映画の感想を書いているブログ(ネタバレあり)

ドラゴンボール EVOLUTION

ドラゴンボール EVOLUTION

原題 DRAGONBALL EVOLUTION

製作 2009年

☆☆☆☆

 

今回は久々に香港映画以外の作品を取り上げてみました。
とはいっても本サイトでは少しは香港に関連のある作品を取り扱うことを一応原則としております。

 

鳥山明原作の大人気漫画ドラゴンボールを実写化したアメリカの映画作品です。
監督は黃毅瑜(ジェームズ・ウォン)、主演はJustin Chatwin(ジャスティン・チャットウィン)です。
本作が公開された当時、予告編を観て「あ、これはお金払って観に行きたくないな…」って思ったことを思い出しました(^^;)
月日が経ち、実際観ないと文句も言えないという何とも当たり屋的な根性で、發哥が出演されているし、星爺がプロデューサーとしてクレジットされている(少林少女の時と同じく形だけの名義貸しだとは思いますが)ということで観てみることにしました。
アマプラ料金内だったし(え)

 

かつて地球を侵略したピッコロ大魔王はわずかに残された戦士たちの「魔封波」によって封印されましたが、数千年の時を経て復活したピッコロ大魔王は世界征服のためにドラゴンボールを集め始めます。
ピッコロ大魔王の襲撃に遭った悟飯から亀仙人を探して日食前に7つのドラゴンボールを全て集めるように託された悟空は旅先で出会った仲間と共にドラゴンボールを集め、ピッコロ大魔王と戦うという物語です。

 

孫悟空の少年時代をベースに作られていますが、まず原作と異なる点をいくつか挙げてみました。
かなり辛口な評価になっておりますがご了承ください。

 

●ピッコロ大魔王の弟子が大猿
なんでやねん!ピッコロ大魔王より大猿のほうが戦闘力が上だわ!
てかそもそも弟子って何?
配下とかじゃないの??

 

孫悟空が少年ではなく高校生
ローティーンだと子役を選ぶのが難しいというのは分かります。

 

孫悟空がハイティーンになっても祖父の孫悟飯が生きている
原作とは異なるけど、これは悪くない改変かも。

 

孫悟空とチチがハイスクールに通っている
ここだけ高校生編の悟飯(息子)の要素があるんだよな(^^;)

 

孫悟空が女の子に興味がある
初耳なんですけど(゚Д゚;)

 

●チチがパリピ
あんた誰!?

 

●ピッコロ大魔王が老人ではない
だからいまいちピッコロがドラゴンボールを集める必然性が薄いんだよなぁ。
だってもうすでに強いじゃん。
フリーザみたいに不老不死を願うというなら納得できるけど。

 

●祖父の孫悟飯がピッコロ大魔王に殺される
原作では大猿になった悟空に殺されちゃうんですよね…。

 

●ブルマのドラゴンボールの願い事が「すてきな恋人」ではない
原作に忠実な設定にするとコメディ感が出ちゃうからね。
悟空の少年時代初期はアラレちゃんを思わせるギャグテイストが強かったし。

 

●ドラゴンレーダーやホイポイカプセルのデザインが異なる
これが地味に残念。

 

●西の都の自動車がエアカーではない
これも地味に残念。

 

亀仙人の家が都会の真ん中にある
全く俗世間から離れてないじゃん!!

 

亀仙人の家が結構デカい
ムフフ本がちゃんと置いてあったのは嬉しい(笑)

 

●ピッコロの部下が「マイ」しかいない
ピラフとシュウはいないんだね。
あとピアノとかタンバリンとか。

 

ヤムチャが登場するのにプーアルがいない
プーアルとかウーロンみたいな動物系のキャラクターってCGで作らないといけないから予算の関係かな?

 

ヤムチャが女に抵抗がない
原作でものちに女好きにはなるんだけどさ、登場時は女の子が苦手だったのにね。

 

●ピッコロ大魔王が部下を生み出す手段が血液
口からタマゴを吐かないのか~い!

 

●シフ・ノリスやセキという新キャラ
新キャラを登場させるというのは悪くはないです。
アニメでも劇場版オリジナルのキャラクターたちが多く登場しましたし。
ただセキについては説明が不足しすぎていて消化不良。

 

●修行中の孫悟空がインチキをして灯籠に火をつけようとする
これについては後述します。

 

●恋愛要素の描写が露骨
これも後述します。

 

亀仙人かめはめ波で瀕死の孫悟空を治療する
え?かめはめ波にそんな能力ありましたっけ!?
そこは仙豆じゃないのかい!

 

魔封波で封印する容器が電子ジャーではなく壺
これはまぁ原作でも小瓶を使ったりしていますからね。

 

●日食で孫悟空が大猿になる
日食の状態でブルーツ波って出てるのかな。
あと尻尾が無いのに大猿になれるの?

 

●大猿が小さい
全然大猿じゃなーい!!

 

●ピッコロ大魔王を倒す方法がかめはめ波
つらぬけー!!じゃないんだね。

 

いくつか気になる点を挙げてみましたが、私は孫悟空にカリスマ性を感じられないのが致命的だと思いました。
自転車を壊されて悟空がクラスメイトに弁償しろって言っていたけど、悟空は自転車なんかに執着しないよ。
あと悟空が女の子に興味を持つなんてもってのほか。
ドラゴンボールに露骨な恋愛描写はいらねっつうの(怒)
悟空とチチの結婚生活もベジータとブルマの結婚するきっかけも直接描写しないからこそ想像が掻き立てられてワクワクするんだよ!!

 

私が本作で最も腹が立ったのは修行中の悟空がインチキをして灯籠に火をつけようとしたシーン。
これ本当に改悪。
いったい製作スタッフたちは孫悟空というキャラクターをどう解釈したのか…(-_-;)

 

孫悟空を演じられる役者さんって今この世に存在するのかな…?
無理を承知で言うと私はやっぱりブルース・リーがいいな。
そもそも孫悟空ブルース・リーの影響を強く受けているキャラクターですし。
リーだったらカリスマ性もあるし、ヒロイックだし、気迫に満ちているのはもちろんコメディも演じられるので悟空にピッタリだと思うんだけどな。
まぁ、幻想なんですけどね…。

 

まさか發哥(周潤發)が亀仙人役とは…(;'∀')
發哥はかっこいいけど、どう見ても亀仙人に見えない。
袁小田みたいなおじいちゃんをキャスティングして~!!
發哥がドラゴンボールのキャラクターを演じるなら誰がいいかなって考えた時に意外と思い浮かばなくて、個人的には「ベジータ王」だったらいけるかなって思ったりしました。

 

發哥がサングラスをかけているシーンって英雄本色っぽいな。
あと中盤でブルマとヤムチャが歩いている街のシーンって絶対ブレードランナー意識してるな。

 

最終決戦の直前に悟空が亀仙流の道着に着替えていたけど、ピッコロに攻撃されて大ピンチの時に道着に着替えている場合かい!!
そもそも道着に着替える必要性があまりないと思うのですが…。

 

悟空がドラゴンボールで死んだ亀仙人を生き返らせていたけど、「ピッコロ大魔王に殺された人たちを生き返らせてほしい」という願いだったら孫悟飯や殺された人たちも生き返ったのにね。

 

最後死んだはずのピッコロが生きていたけどあれってどういうこと!?
セキとかいう謎の女性は何者!!?
説明なさすぎ!!
物凄くモヤモヤ感が残る結末だよ(゚Д゚;)

 

90分にも満たない上映時間で「孫悟空とブルマの出会い~ピッコロ大魔王編」を描くのは無謀というか絶対的に時間が足りないと思います。
だから天下一武道会の要素も取ってつけたような描写だし、そもそもドラゴンボールを実写化するというのは不可能に近い行為で、どう作っても批判されてしまうのは仕方のないことだとは思います。
それにしたって原作に対する愛が感じられないですし、製作スタッフたちは本当にドラゴンボールを読んだり観たことがあるのかと問いたいです。
実写化するにあたって改変せざるを得ない部分があるのは仕方ないとはいえ、これでは本当に表面的にドラゴンボールの要素を取り入れているだけと受け取られても仕方ないです。
ドラゴンボールの実写化」ではなくて、ドラゴンボールからインスパイアされた全くオリジナルの冒険活劇作品だったら比較することがないので楽しめたかもしれないですね。