冷たい雨に撃て、約束の銃弾を

冷たい雨に撃て、約束の銃弾を

原題 復仇

製作 2009年

めぐちゃんの満足度 ★★★☆☆

 

杜琪峯(ジョニー・トー)監督、フランスの俳優 Johnny Hallydayジョニー・アリディ)主演のハードボイルド作品です。
私はフランス映画には疎いので存じ上げなかったのですが、ジョニー・アリディはフランスでは著名な俳優だそうです。

 

マカオに住む一家が何者かに殺害されるという凄惨な事件が起こります。
殺害されたのは会計検査官のチョン(施祖男)と2人の子供たちで、チョンの妻であるアイリーン(Sylvie Testud)は重傷を負ったものの一命は取り留めました。

 

アイリーンの父親であるコステロJohnny Hallyday)はフランスからマカオにやって来て、入院しているアイリーンの元を訪れます。
アイリーンは言葉を話せる状態ではありませんが、新聞記事の文字に指を指しながら犯人と面識が無いことや犯人の内の1人の片耳を負傷させたことをコステロに伝えます。
コステロは犯人への復讐を誓います。

 

黒社会のボスであるフォン(任達華)は自分の妻が浮気をしていることを知り、殺し屋のクワイ(黃秋生)に妻の殺害を指示します。
クワイは仲間のチュウ(林家棟)とロク(林雪)と連携してホテルで密会していたフォンの妻と浮気相手を殺害します。
一方、手がかりを求めて同じホテルにやって来ていたコステロクワイたちと鉢合わせしますが、コステロは無言で立ち去ります。

 

その後コステロはチュウを尾行し、クワイたちに取り囲まれます。
コステロは経営しているレストランや邸宅、そして大金を全て差し出してクワイたちに殺しの依頼をします。

 

殺しの依頼をしたコステロですが、犯人の手がかりがほとんど無いので、4人は事件現場となったアイリーンの家へ行きます。
現場の状況から利き手や使用された銃を割り当てた4人は武器を調達するため、銃器を取り扱ういとこのトニー(馮淬帆)の元へ向かいます。

 

クワイは犯人が使用していた銃の話をすると、トニーはパイソン(黃日華)という男に銃の改造を頼まれたと言い、男が香港の海鮮街で働いていることを知ります。

 

クワイたちは香港の海鮮街にやって来ると片耳を負傷したウルフ(張兆輝)とパイソンを見つけます。
パイソンたちの後を追うと辿り着いた先はバーベキュー場で、そこには仲間のクロウ(吳廷燁)がいました。
3人には妻と子供たちがいます。

 

パイソンたちに事件のことを尋ねると、金で雇われて殺したと白状しますが依頼人の名前は答えませんでした。
食事が終わり、パイソンたちの家族が帰宅するとクワイたちと撃ち合いが始まります。
暗闇の中で月の光を頼りに標的を狙いますが、ロクやクワイは銃弾を受け、コステロも肩を撃たれます。
パイソンたちも撃たれて負傷しますが、車で逃走します。

 

クワイたちはコステロの弾を取り出し、撃たれたロクたちも応急処置をします。
コステロはかつて殺し屋で、頭部に銃弾が残っていることを告げます。
銃弾は脳の記憶に影響を及ぼしており、コステロが殺しの依頼をした時にクワイたちをインスタントカメラで撮影したのは顔を忘れないようにするためだったのです。

 

フォンから連絡があり、手下が3人撃たれたので手を貸すように言われます。
撃たれた犯人の特徴を聞くと、パイソンたちがフォンから雇われた殺し屋であることを知ります。
悩んだ末クワイたちはコステロを残し、パイソンたちが治療を行っている闇医者へ行き、彼らを殺害します。

 

パイソンたちの死を知ったフォンは電話でクワイたちを問い質すと、クワイは依頼を受けて殺したと答えます。
フォンは会計検査官のチョンの告発を恐れ、パイソンたちにチョンの殺害を依頼していたのです。
ボスのフォンを裏切ったクワイたちは覚悟を決めます。

 

クワイたちは仇である犯人たちを殺したこと、仇の依頼人クワイたちのボスであることをコステロに告げます。

 

すぐにクワイたちの所にフォンの刺客がやって来ます。
撃ち合いになり、4人はアパートから逃げ出します。

 

ついにコステロは娘の仇である犯人の記憶を失います。
コステロの記憶が無くなっても、クワイたちのフォンと戦う遺志は揺らぎません。
クワイたちは知人の母親(葉璇)にコステロを預け、トニーのアジトへ向かいます。

 

フォンはトニーのアジトも襲撃しており、瀕死のトニーたちを発見します。
トニーから武器を貰い、スクラップの塊を盾にしたフォンの手下たちが一斉に襲いかかって来ます。
銃弾を浴びたクワイ、チュウ、ロクは散ります。

 

コステロクワイたちが死んだという報道をテレビで観ますが、彼らの記憶もほとんど無くしていました。
悲しむ知人の母親の様子を見たコステロは自分に関係のあることだと悟り、知人の母親と子供たちに協力してもらいフォンへ復讐することにします。

 

子供たちはフォンに旗を売り、謝礼のシールをフォンのコートに貼ります。
シールを付けた人物がフォンであることを聞き、コステロは銃でフォンを狙います。
銃声がするとフォンは逃げ出し、コステロは銃に書かれたフォンの名前を見ながら、仇の名前を忘れないようにフォンを追います。

 

コステロがシールを目印にしていることに感づいたフォンは手下(張榮祥)にシールを貼り付けて攪乱させます。
コートを脱いだフォンは堂々とコステロの前を通り過ぎようとしますが、ネクタイの裏のシールを剥がし忘れており、これを見たコステロはフォンを撃ちます。
コートをフォンに着せて弾痕を確認し、フォンであることが分かるとコステロはフォンにとどめの銃弾を撃ち込むのでした。

 

ハードボイルドな世界観を堪能できますが、「エグザイル / 絆(放・逐)」ほどはハマらなかったなぁ(._.)

 

ラストがちょっと惜しいんですよね。
クワイ、チュウ、ロクがトニーのアジトでフォン一味と撃ち合うシーンが最高潮に達していて、クワイたちが死んだ後にコステロがフォンに復讐するシーンのインパクトが弱いです。
ジョニー・アリディ演じるコステロが主人公なので、もっとコステロに強烈な存在感が欲しかったですね。

 

あとコステロがフォンを追う最後のシーンで、昼間だったのにいきなり夜になるのが違和感があります。

 

違和感といえば「冷たい雨に撃て、約束の銃弾を」という邦題にも少し違和感があります。
というのもクライマックスシーンで雨は降っていないんですよね。
確かに雨が降る中でコステロたちがフォンの刺客から逃げるというシーンがあるのですが、このシーンは作品のクライマックスではありません。
クライマックスシーンで雨が降っていたならば納得できる邦題なのですが、「約束の銃弾を」という言葉が連想できるシーンで雨が降っていないので少し違和感を覚えます(^^;)
なのでシンプルに「約束の銃弾を撃て」という邦題でも良かったのではないでしょうか。
これは原作側には全く落ち度のない話なのですが…。

 

キャラクターは良いですね(*‘∀‘)
コステロが記憶を無くしても協力するクワイたちが粋なんですわ~。
「乗りかかった船だぜ。」みたいな。
かっこいい…(*´▽`*)
相変わらず激シブのアンソニー・ウォン
ちょっとすかしたキャラのラム・カートンもイイ感じ♪
個人的にはラム・カートンが出演されているジョニー・トーの作品の中で「スリ(文雀)」の役がかなり気に入っています(*‘∀‘)

 

林雪のホクロ毛がすんごい伸びてた(笑)
ホクロ毛は縁起が良いそうなので、あえて切らないのかもしれませんね。
今回も林雪のキャラが最高なんです♪
コステロが報酬として差し出した高級時計を真っ先に取ろうとする動きがオモロい(笑)
あと一家殺害の実行犯たちから差し出された料理にも真っ先にがっついているのも楽しい(笑)

 

今回の華哥は陰湿で嫌~な感じの悪役です。
気に入らない人間はすぐに殺害する非情さ、自分が狙われないように目印のシールを手下に貼り付ける狡猾さ、薄気味の悪い笑み、放逐の時の悪役とはまた違ったタイプで、悪役を見事に演じ分けるサイモン・ヤムはやっぱ凄い(・o・)

 

福星シリーズのヒゲこと馮淬帆(スタンリー・フォン)が出演されていました(*'▽')
ジョニー・トーの作品に出演されているのって珍しいかも。

 

チョン一家を殺害した殺し屋の3人にも可愛い子供たちがいるのが何だか複雑な気持ち。
殺害する時に自分の子供の顔とか浮かんだりしないのかな(-_-;)
海鮮街の店員が「実は裏で殺し屋やってます」とかメチャクチャ怖いわ!!