イップ・マン 序章

イップ・マン 序章

原題 葉問

製作 2008年

めぐちゃんの満足度 ★★★★★

 

詠春拳の達人でブルース・リーの師匠でもある葉問(イップ・マン)を題材にした葉偉信(ウィルソン・イップ)監督、甄子丹(ドニー・イェン)主演によるカンフーアクション作品です。

 

泰山武術館のリュウ師匠(陳之輝)は詠春拳の達人であるイップ・マン(甄子丹)に手合わせを申し出ます。
マンの屋敷に飛ばされた凧を取りにやって来たユン(黃又南)は偶然2人の勝負を目撃します。

 

ユンはマンが圧勝したことを周りに言いふらします。
リュウがマンに負けたという噂はあっという間に広がり、怒ったリュウがユンの所に乗り込んで来ます。
ユンの兄のラム(行宇)は師匠でもあるリュウをなだめますが騒ぎが収まらず、警察がやって来ます。
警察官のリー隊長(林家棟)が事情を聞こうとするとマンが仲裁に入り、事態は収束します。

 

マンの友人であるチンチュン(任達華)は綿花工場を開くので一緒に商売がしたいとマンに持ちかけますが、マンは誘いを断り資金だけ援助します。
開けても暮れても武術のことばかりで家族を顧みないマンに対し、妻のウィンシン(熊黛林)は不満を募らせています。

 

サンチャウ(樊少皇)という荒くれ者が仲間を率いて道場破りに佛山へやって来ます。
青龍武館の館主(梁小熊)を倒し、さらに威義武館の館主(劉明哲)やリュウも倒すサンチャウ。
サンチャウは佛山には大した達人がいないとぼやくと、屋台の店主からマンが最強であるという話を聞きます。

 

サンチャウはマンの屋敷に乗り込み、勝負を挑みます。
始めは受け身に徹していたマンですが、ウィンシンから部屋の物が次々と壊されていくと忠告を受け、反撃を開始します。
サンチャウは剣を持ち出し、マンは毛ばたきで応戦。
マンはサンチャウを圧倒し、負けたサンチャウは立ち去ります。

 

ますますマンの名声は轟きますが、1937年になると日中戦争が勃発し、佛山は日本軍に占領され、マンの邸宅は没収されてしまいます。
一転して極貧生活を強いられることになったイップ一家。

 

戦時中でもチンチュンの綿花工場は稼働していました。
マンは食べて行くため家財道具を質に出していましたが、質に出す物が無くなり、仕事を探しに行きます。
マンは炭鉱で仕事を始め、ラムと再会します。

 

日本軍の佐藤大佐(渋谷天馬)が現れ、武術好きである三浦閣下(池内博之)の対戦相手を探しています。
警察官だったリー隊長は日本軍の通訳をしています。
試合に勝てば米が貰えるという話を聞いたラムが仲間を連れて挑戦します。
三浦は強く、仲間は負けを認めますが、挑み続けたラムは殺されてしまいます。

 

マンはラムが無くしたと言っていた小箱を見つけ、リーにラムの居場所を尋ねると三浦のいる試合会場へ向かいます。
リュウが試合を行っていましたが、リュウは力及ばず負けを認めます。
負けたにも関わらずリュウが米を持ち帰ろうとしたため佐藤はリュウを射殺します。
目の前でリュウが殺され、激高したマンは10人同時に戦い、倒します。
マンの強さを知った三浦はマンに興味を持ち始めます。

 

マンは日本軍の下で働くリーに失望し、自分の無力さを痛感します。
リーは家族を養うために不本意ながら働いているのです。

 

サンチャウは強盗を生業とし、行方不明だったユンはサンチャウの仲間になっていました。
サンチャウはチンチュンの工場を襲い、金を要求します。
チンチュンの息子のコンユウ(鄭家星)はマンに助けを求め、身を守るためには武術が必要であるというチンチュンの言葉を聞いたマンは工員たちに武術を教えます。

 

三浦はマンと戦うことを望んでおり、佐藤たちがマンの家にやって来ます。
佐藤がウィンシンに目をつけたため、危険を感じたマンは佐藤たちに手を出します。
マンが日本軍に反逆したため無事ではすまないと思ったリーはイップ一家を自宅へ避難させます。
マンは佛山を出て香港へ移住しようと考えます。

 

再びチンチュンの工場にサンチャウたちが現れ、工員たちはマンから教えられた詠春拳を使って応戦します。
マンが現れるとサンチャウはマンに負けたせいで武館を開けなかったと恨み言を言います。
マンはサンチャウたちを追い払い、立ち去ろうとするユンを呼び止めて兄のラムが死んだことを伝えます。
マンはラムが持っていた小箱をユンに渡すとユンは涙を流します。
ラムは行方不明になったユンを思い、ユンが持っていた凧を箱に入れて肌身離さず持っていたのです。

 

サンチャウは三浦にチンチュンの工場の存在を知らせると工員たちが捕まり、マンが駆けつけます。
三浦はマンの腕を見込み、日本軍に武術を教えてほしいと頼みますが、マンは三浦の申し出を断り、三浦と戦うことになります。
試合前日の夜、佐藤は三浦を倒せば必ず殺すとマンに警告します。
チンチュンはウィンシンと息子のチュン(李澤)を連れて佛山から離れようとしますが、ウィンシンはマンの最期になるかもしれないと言って引き返します。

 

大勢の観衆の前でマンと三浦の試合が始まります。
日本軍には決して屈しないマンは民衆の思いを背負い、三浦を倒します。
佐藤は警告通りマンに発砲しますが、リーが銃を取り上げて佐藤を殺害します。

 

チンチュンは負傷したマンを連れて佛山を離れ、イップ一家は香港に移住します。
終戦を迎え、マンが教えた詠春拳は世界中の多くの弟子に受け継がれていきます。

 

イップ・マンを題材にした作品は色々ありますが、私はドニー版イップマンが1番好きです(*^^*)
私はこの作品を観てすっかりドニー様に心を奪われました(*´ω`*)

 

アクション監督は洪金寶(サモ・ハン・キンポー)、詠春拳の特別顧問に葉問(イップ・マン)のご子息である葉準(イップ・チュン)、2010年の「イップ・マン 誕生(葉問前傳)」でマン役を務めた杜宇航(デニス・トー)も詠春拳の顧問を務めております。
デニス・トーは劇中でサンチャウの仲間役として出演もされております。
今回そこまでアクションシーンは多くありませんが、ラム役の行宇(シン・ユー)が実は1番強かったりして(笑)
嵩山少林寺出身なので(・∀・)

 

本作に出演するまでドニー様はほとんど詠春拳の経験がないと仰っていたのが意外でした。
三浦役の池内博之氏はほとんど武術経験が無く、サモからみっちり指導されたそうです。
池内氏といえば私は実写版GTO反町隆史版)の印象が強いですね。
武術経験がほとんど無くて、ドニー様が相手だなんてドキドキ…(゚Д゚;)
ちゃんとプロテクターしていたので、アクションって本当に危険と隣り合わせなんだなぁって改めて思いました。

 

川井憲次氏によるイップマンのテーマ曲が素晴らしくて、この曲を聴くと「うぉ~!!」って鳥肌が立ちます(゚∀゚)
アニメ、ゲーム、ドラマ、映画音楽など幅広いジャンルの作曲を手掛けていて、名前を知らなくても耳にしたことがある曲も多いかと思います。

 

抗日的な内容なので、人によっては不快に感じるかもしれないです。
私は特定の個人を著しく侮辱した内容でなければ、わりと抗日的な内容でも抵抗はないですね。

 

佐藤は非情な性格ですが、三浦は卑劣さはほとんど無く、ただ強さを求めているだけなんですよね。
日本兵の中にだって仕方なく働いていた人がたくさんいたと思います。
逆らうわけにはいかないもんなぁ(-_-;)

 

リーが日本軍の下で働いていたのもサンチャウやユンが強盗になったのもみんな生きるために仕方なく選んだ道なんですよね。
平和な時代ならともかく、戦争中は生きていくだけで大変そうですし。
ラムがマンに芋をあげるシーンは切ない(T_T)
自分だってお腹が空いてるのに表には決して見せないんです。

 

気になったのは工員たちが日本軍に捕まってマンが駆けつけるシーン。
一瞬なのですがドニー様の声がご本人の声ではありませんでした。
香港映画を観ていると途中で声が違うことがたまにあるんですよね。
吹き替え文化ならではですね(・∀・)