インファナル・アフェアIII 終極無間
原題 無間道III 終極無間
製作 2003年
★★★★★
劉偉強(アンドリュー・ラウ)、麥兆輝(アラン・マック)監督によるインファナル・アフェアシリーズの最終章です。
最終章から観るとあまり楽しめないと思うので、興味のある方はぜひ第1章からご覧ください。
本作は現在と過去を行ったり来たりするので初見ですと少し混乱するかもしれません。
潜入捜査官のヤン(梁朝偉)が殉職して10か月後。
内務調査課のラウ(劉德華)はビルのエレベーター内で発生した事件の経緯を調査委員会に報告します。
ラウは潜入マフィアのラム(林家棟)に銃口を向けられたため、正当防衛のためにラムを射殺したと証言します。
しかしラウの証言は嘘であり、自身も潜入マフィアであるラウは口封じのためにラムを殺害したのです。
調査委員会はラウの証言を信用し、ラムを射殺したラウの正当性が認められますが、すぐに内務調査課に復帰することはできず、ラウはしばらく庶務課で仕事を続けます。
ある日、保安部のヨン警視(黎明)の前でチャン巡査部長(李子雄)が拳銃自殺を図ります。
1か月後、ラウは内務調査課に復帰します。
内務調査課へ異動となった組織犯罪課のチョン(吳廷燁)は自殺を図ったチャンについて調査を行っています。
調査の結果、チャンとサムの会話が収録されたテープが発見され、チャンが潜入マフィアであったことが明らかになります。
ラムを殺害する直前に警察内に存在する内通者の人数を聞いていたラウは、自身が潜入マフィアであることを知られないようにするため、自分以外の内通者を全て消そうと企みます。
その後、チョンの調査でチャンが生前に借りていた物件の名義から本土のシェン(陳道明)という男を割り出します。
シェンはマフィアのボスであるサム(曾志偉)と取引をしていたことがあり、シェンとヨンが一緒に写る写真を発見したチョンは、ヨンがサムの内通者である可能性があると推測します。
この話を聞いたラウはヨンの監視を開始します。
かつてサムは商売を拡大するために本土へ進出しようと考えていましたが、本土を仕切るシェンを無視して商売をすることはできません。
用心深いサムはシェンの出方を窺うため、ヤンを使ってシェンの弟であるリャン(黃志忠)に暴行を加えさせます。
一触即発状態となりますが、その後シェンと和解したサムは改めて商売の話を進めます。
この時から粗暴な行動が目立つようになったヤンはウォン警視(黃秋生)に促されて精神科へ通い始めることになります。
ヤンが通院していた精神科のリー医師(陳慧琳)がヤンの墓参りに訪れ、ラウはリーを診療所まで送ります。
リーが帰宅した後に診療所に忍び込んだラウはパソコンに保存されているヤンのカルテを開こうとしますが、パスワードが設定されているためファイルを開くことができず、やむを得ずパソコンを持ち出します。
その後、ラウは保安部に侵入してヨンのオフィスに隠しカメラを仕掛けます。
ラウはヨンの行動を監視し、ヨンが金庫から取り出したテープを持ち出してポストに投函すると、ヨンを尾行していたラウはポストごとテープを燃やします。
パソコンや現金を盗まれたことに気づいたリーは警察に通報します。
車のナンバーをパスワードにしていることをリーから聞いたラウは盗んだファイルにパスワードを入力してヤンのカルテを開きます。
リーの元にヤンの差出でテープの入った封書が届くと、リーはラウに連絡してテープを預けます。
内通者を消すことに躍起になって疲れが溜まっているラウは一瞬の不注意から運転操作を誤り、車で事故を起こします。
運転していたラウと同乗していたリーに大きな怪我はありませんでした。
しかしラウはストレスと焦燥感から幻覚を見るようになります。
台湾人被疑者を公安に引き渡すため、保安部の捜査員たちは部署を離れます。
ラウはあらかじめ保安部のウォーターサーバーに睡眠薬を仕込んでいたため、残った捜査員たちは意識を失い、この隙にヨンのオフィスに忍び込んだラウは金庫からテープを回収します。
ついにヨンが内通者であるという証拠を掴んだラウは同僚たちを集めて保安部へ向かい、ヨンに内務調査課への同行を求めます。
ラウが証拠のテープを取り出すと、そこへシェンが姿を現します。
生前サムはシェンと取引を行おうとしていましたが、様々な裏切りを経験してきたサムはシェンを信用せず、取引の前に船に積んでいたシェンの武器を奪って引き返します。
サムの検挙に臨んでいたウォン警視の元にヨンから作戦中止の旨が伝えられます。
サムが武器を持ち逃げしたことを知らないヤンは埠頭で待機し続けますが、シェンの部下が取引の物品である武器が無くなっていることに気づきます。
持ち逃げを疑われたヤンはシェンの部下たちに命を狙われ、シェンもヤンを追います。
ヤンとシェンは互いに撃ち合い、ヤンが撃った弾はシェンの右脚に当たり、シェンが撃った弾はヤンの左手に当たります。
シェンはヤンに武器の在り処を問いただすとヨンが現れます。
ヨンとヤンの様子を見たシェンはヤンがサムの手下ではないことを確信します。
なんとシェンは警察官だったのです。
さらにヤンはヨンが自分と同じ警察学校の同期であることを知ります。
シェンが警察官であることを知らないラウは証拠のテープを再生すると、収録されていたのはラウとサムの会話でした。
さらにシェンは別のラウとサムの会話のテープも再生し、ラウが潜入マフィアであることが露見します。
想定外の事態に正気を失ったラウは銃を取り出し、追いつめられたラウはヨンを撃ちます。
シェンはラウを撃つと、絶望したラウは自らの首に銃弾を撃ち込みます。
ラウは病院へ搬送されますが、ヨンはその場で死亡が確認されます。
ヤンが殉職した10日後、シェンはヨンと共にヤンの死を悼んでいました。
ヨンはラウを疑うようになり、ヨンもラウの監視を行っていたのです。
ヨンの殉職1か月後、墓参りに訪れていたリーの前にシェンが現れ、右脚に撃ち込まれた銃弾をヤンの墓碑に納めます。
さらに7か月後、自殺を図ったラウは一命を取り留めます。
ラウの目の前に現れたのは離婚協議中の妻のマリー(鄭秀文)と、かつてラウが愛したサムの恋人のマリー(劉嘉玲)の幻の姿でした。
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私は第2章が一番好きなのですが、最終章も面白いです(*^^*)
誰が内通者なのかハラハラドキドキ(;゚Д゚)
インファナル・アフェアシリーズは脚本が本当に素晴らしいですね。
潜入マフィアを消すことに躍起になっているラウを見ているのが本当につらい(T_T)
白状して罪を償ったほうが絶対楽だよ…。
でもまさか自殺を図っても死ぬことすら許されないとは…。
ラウにとって死ぬよりも生きているほうがつらいかもしれない。
まさに無間地獄…。
本作では第1章であまり明らかにされなかったヤンとリーの心情に焦点を当てています。
ヤンとリーがキスしたのは本当にヤンの妄想だったのかな??
これはどっちにも取れる表現なんですよね。
デレデレするヤンの顔がちょっとおもろい(笑)
ウォン警視は第1章で亡くなることが分かっているから生まれたばかりの子供がいたなんてやりきれない(T_T)
シェンが信用できないって見抜いたサムは本当に勘が鋭い!!
サムやキョン(杜汶澤)は第1章で死んでいるので過去の話での出演なのですが、お二人とも安定の存在感。
キョンが風俗でトラブルになってヤンを呼び出すというシーンがあるのですが、キョンにとってヤンが「契兄」という存在であることを再認識させられます。
ヨン警視役の黎明(レオン・ライ)が好演過ぎる!!!
知的で心の内を明かさないミステリアスな雰囲気、彼以上にヨン役がハマる役者さんが思いつかない(゚Д゚;)
かなり魅力的なキャラクターです。
今回2人のマリーである鄭秀文(サミー・チェン)と劉嘉玲(カリーナ・ラウ)は友情出演です♪
マリー姐さんは亡くなっているので幻での登場なんですけどね。
本作で林家棟(ラム・カートン)演じる潜入マフィアの本名が「ラム・コッペン」だと明らかになります(・∀・)
第1章では「ビー」って呼ばれていたからね。
李子雄(レイ・チーホン)は出番が一瞬過ぎる!!
実は初見では気づかず、エンドクレジットで知りました(;^_^A
非常に面白い作品なのですが、少し気になる部分もあります。
ラウの妻であるマリーについて。
ラウが善人として生きるためには自分の素性を知る人間は邪魔な存在なわけで、ラウの正体を知っているマリーの存在は脅威だと思うんですよね。
マリーが告発しないという保証はないですし、でも妻を殺すわけにはいかないもんなぁ。
そんなことしたらますます善人から遠のく(^^;)
たとえサムの内通者を全て消したとしても、マリーだけがラウの真実を知っているということになるので、ラウとしては気が気でないですよね。
監視中のラウの元にサムとシェンが取引をするという電話がかかってくるシーンは違和感。
だって2003年にはもうサムは生きていないですものね?
これってラウの妄想ってこと??
だとしたらちょっと分かりづらいなぁ(^^;)
ラウがヨンに任意同行を求めるシーンで、なぜラウは証拠のテープを事前に聴いて確認しなかったのでしょうかね。
普通は事前に中身を確認すると思うんですよね。
ヨンを消せると思って舞い上がっちゃったのかな??
あとリー先生が無防備過ぎる!!
たとえ警察官でも簡単にパソコンのパスワードを教えちゃ駄目でしょ!!
潜入捜査官のシェンは黒社会の大物商人になりすましていたけど、そう簡単に警察が裏社会のボスになりすませるものなんですかね??
なんか気になってシェンの話のスピンオフも作って欲しくなっちゃうな~。