港片迷阿欣

大好きな香港映画の感想を書いているブログ(ネタバレあり)

新ポリス・ストーリー

新ポリス・ストーリー

原題 重案組

製作 1993年

★★★★

 

黃志強(カーク・ウォン)監督、ジャッキー・チェン主演のポリスアクション映画です。
「新ポリス・ストーリー」という邦題ですが、ジャッキー・チェン演じる陳家駒(チャン・カークイ)が活躍する「ポリス・ストーリー(警察故事)」とは全く関係ございません。

 

本作は1990年に実際に香港で起きた資産家誘拐事件をモチーフにしており、コメディ要素はほぼゼロでシリアスな作品になっております。
当初はジェット・リーが主演の予定でしたが、色々契約のことなどで揉めたそうで、ジャッキー主演に変更されました。

 

監督名義は黃志強(カーク・ウォン)となっていますが、途中で降板したためジャッキーが出演と兼任で監督をされています。
カーク・ウォンといえば悪役で出演されている印象が強いですが監督業もされていて、アメリカで映画も製作されています。

 

ホン(鄭則仕)は警察官でありながら仲間と共謀して身代金誘拐事件を企てます。

 

カウンセリングの先生(潘玲玲)は強盗事件で心理的ストレスを受けている警察官のチェン(成龍)に対して休養を取るように言いますが、チェンは聞き入れません。

 

長年の勘から身の危険を感じた実業家のウォン・ヤッフェイ(羅家英)は警察を訪れ、警護を依頼します。
チャン警視(段偉倫)はチェンにヤッフェイの警護を命じます。

 

妻(歐陽珮珊)と車で移動中のヤッフェイは狙われていることに気づき、チェンに電話をして助けを求めます。
チェンは同僚の昇進パーティ中でしたが、抜け出してヤッフェイの元へ向かいます。
ホンたちは計画通りヤッフェイの車を襲いますが、ウォン夫人が乗車していることを知らなかったため動揺します。

 

チェンは犯人グループの車と接触しますが、まんまと逃げられてしまいます。
非情な犯人グループはバイクに乗った隊員を車で轢き、もう1台のバイクに追突すると隊員は道路に投げ出されます。

 

チェンは隊員を急いで病院へ運び、気を失います。
目を覚ますと自分の怪我よりも隊員の容態を気にするチェン。
結局重体だった隊員は亡くなってしまいます。

 

港へ着いたホンたちはウォン夫人の意識が無いことに気づきます。
ウォン夫人は心臓の持病があったため、電気ショックで蘇生させます。
夫人は身代金を払わせるために必要なので、ヤッフェイを船に乗せ、ウォン夫人を現場に残して去ります。

 

ヤッフェイを誘拐した犯人グループは多額の身代金を要求してきます。
何食わぬ顔で本部にやって来たホンとチェンは初めて対面します。
犯人グループから身代金の受け渡しについて電話が入り、指定した銀行から金を下ろすようにウォン夫人に指示します。

 

犯人は身代金の振込先に台湾の口座を指定し、ウォン夫人は送金を開始します。
台湾の口座の名義人が分かり、チェンはウォン夫人を説得し、送金を中止させます。

 

台湾の口座から4人の犯人たちが明らかになりますが、台湾で捜査するには捜査員を派遣する必要があります。
ホンは出張を申し出ると、チャンはチェンも連れて行くように指示します。

 

台湾警察のコー(柯受良)が空港で出迎えてくれます。
サイモン(尹發)を含む容疑者たちが華西街に潜伏しているという情報がコーの所に入ります。
チェンたちはサイモンが潜伏するアジトへ向かうと台湾警察も動き出し、壁を破壊してアジトへ突入します。
部屋にいたチンピラたちは一斉に逃げ出し、チェンはサイモンを追います。

 

ホンはチェンを妨害してサイモンを逃がそうとします。
チェンから逃げようとするサイモンですが、辺りは警察に包囲されていて簡単には逃げられません。
追い込まれて取り乱したサイモンはホンに詰め寄り脅しをかけると、ホンはサイモンを殺害します。
この様子を見ていたチェンに対し、ホンは襲われそうだったので正当防衛だったと主張します。
しかし2人の会話を僅かに聞いていたチェンはホンのことを疑い始めます。

 

チェンはホンについて徹底的に調べることにします。
しかし警察内部には他にも内通者がいて、ホンは自分のデータを消去するように内通者に指示します。
データが消える寸前に内容を記憶していたチェンは手のひらにデータ内容を書き残します。

 

チェンはデータに書かれていたサイヨン(陳德光)という人物を情報屋に調べさせます。
その間にチェンはもうひとつの手がかりであるガガ(伍詠薇)という女性がいるクラブへ向かいます。

 

クラブを訪れたチェンはガガにホンのことを聞き出そうとします。
ガガが正体をバラすのではないかと戦々恐々のホンはガガとチェンを引き離そうとします。

 

情報屋からサイヨンの情報を手に入れたチェンは、高飛びしようとしているサイヨンを捕まえて署まで連行します。
ホンはチェンを欺くため、わざと仲間のサイヨンを殴って誘拐の罪を問い質します。

 

犯人グループの船が見つかり、チェンとホンは捜査に向かいます。
チェンは船内の柱にホンが犯人だと書き記します。
それを見たホンが慌てて消そうとした様子を見て、チェンはホンが犯人グループの仲間だと確信します。

 

ホンがついに正体を現し、真面目に生きていても報われない警官人生に嫌気が差したとぼやきます。
外れた床からホンが落下しそうになり、チェンが助けようとすると逆にホンに突き落とされてしまいます。
ホンは船内から脱出し、自ら拳銃で脚を撃ち、チェンにやられたと嘘をつきます。

 

チェンは船の底まで落下しますが、海水が船内に押し寄せる中でハッチのガラスを突き破って脱出します。

 

ホンは金を払えばヤッフェイは解放されるとウォン夫人を説得し、再び送金を開始させます。
チェンが電話で確認すると、すでに送金を終えた後でした。

 

チェンは船内で回収したコンビニのレシートを取り出し、犯人グループが利用したと思われるコンビニ付近の飲食店で張り込みをします。
張り込みを続け、夜が明けるとホンの仲間が路地裏の飲食店に姿を現します。
電話で話す店主の会話を聞いたチェンは、自分が今いる飲食店がホンのデータにあったアジトだと知ります。

 

ホンの仲間のワー(鍾發)に見つかり襲われるチェン。
仲間のヤン(盧惠光)にも襲われ、戦います。
ワーたちを倒し、駆けつけたホンたちがチェンに向かって発砲するとガスに引火し、爆発します。
炎はあっという間に燃え広がり、九龍城の住人たちを避難させます。

 

ガスが充満している中、ホンの仲間が発砲し、引火して火だるまになります。
チェンはホンの仲間のセン(尹相林)を撃ち、火だるまになった犯人も射殺します。
ホンにヤッフェイの居場所を問い質しますが、口を割りません。

 

逃げ遅れた子供を見つけ、助けに向かうチェンですが、ホンが抜けた床から落下して動けなくなります。
チェンはホンを助けようとしますが、炎は迫り、このままでは子供の命も危うい状況に。
ホンは子供を連れて逃げろと言い、悩んだチェンは先に子供と脱出してから助けに戻るとホンに約束して立ち去ろうとします。
最後の最後でホンはヤッフェイが監禁されている場所を伝えると爆発に巻き込まれて死亡します。
チェンは子供を抱えて脱出します。

 

その頃、中国船に追われるホンの仲間はやむを得ずヤッフェイを海に突き落とします。
しかしその後、ヤッフェイは中国側の船に救出され無事生還。
再び命を狙われないようにヤッフェイの個人データは抹消されることになり、事件は解決です。

 

-------------------------

 

本作はジャッキー映画恒例のエンディングで流れるNGシーンはございません。
ポリス・ストーリー(警察故事)シリーズとは全く関係ない作品なので、コメディ要素や、メイとのいざこざ、おもしろ警部などは出て来ません(^▽^;)

 

でもシリアスなジャッキーもイイ感じ♪
NEWポリのジャッキーもシリアスで凄く良かったですし♪
個人的にNEWポリには及ばないけど、結構好きです(*^-^*)

 

今回のジャッキーの広東語の吹き替え声優さんが鄧榮銾(チャールズ・タン)ではありませんでした。
チャールズ・タンとは主に70~80年代のジャッキーの広東語吹き替えをされていた声優さんです。
作品によってはジャッキー以外にもリンチェイや李Sir、元彪の吹き替えをされていることもありましたね。
ちなみに今回ジャッキーの広東語の声を担当されているのは張炳強(ビリー・チャン)です。
香港映画を観始めた頃は広東語の台詞が吹き替えだと知らなかったので、鄧さんの声がジャッキーの声だと思っていた私(^_^;)
ポリス・ストーリー3で初めてジャッキーの肉声を聴いて「これが本当のジャッキーの声なのか!」と驚いたものです。

 

羅家英(ロー・ガーイン)が演じたヤッフェイは不動産や建築業で財を成した実在の実業家、王德輝(テディ・ウォン)をモデルにされています。
さすがに実際の名前は使わず、役名は変えてありますね。
ただラストシーンでヤッフェイのIDを見ると「王一飛(ウォン・ヤッフェイ)」の漢字が明らかに違っていました。
もしかして本名である「王德輝」かと思ったのですが、2番目の漢字がどうも「德」ではない様子。
3番目の漢字は「輝」っぽく見えるけど、断言はできないなぁ。
ちなみに実際に誘拐されたウォン氏は残念ながら帰らぬ人となってしまったそうです。

 

看板にあった「暴暴茶」というのは烏龍茶やプーアル茶や薔薇の蕾などをブレンドしたお茶で、油っぽい食事の後に飲むとスッキリしてオススメだそうです。
昔ジャッキーがCMをやっていて私はYouTubeで観ました♪
健康に良いお茶らしいですが、私はカフェインが駄目なので飲めないなぁ。
烏龍茶やプーアル茶にも微量ながらもカフェインが入っていますからね。
私はカフェインを取ると動悸がしてくるんですよね…。
なので普段は水や麦茶、ハーブティーなどを飲んでいます。

 

ケニーがジャッキーにキスしたのは衝撃だった(笑)
もしジャッキーじゃなくてリンチェイが出演してたらリンチェイがキスされてたのかな。
んなわけない(笑)監督が変われば演出も脚本も変更されますからね。

 

楽しめる作品ですが、色々と気になることもあります。
犯人グループがヤッフェイを監禁するために小型船と大型船が登場するのですが、2つの異なる船が登場するのってなんか不自然に感じるのは私だけ?
人質のヤッフェイを連れて船を入れ替わったりするのって見つかるリスク高いと思うんですよね。
監禁って見つからないようにできる限りその場を動かないようにすることが多いと思うので。

 

チェンが船内からハッチを開けて脱出するシーン、水圧で絶対扉開かないでしょ(^^;)
犯人たちがコンビニのレシートという重大な証拠を船内に残すなんて詰めが甘いですし、あと脚を負傷しているはずのホンが普通に歩いているのも気になる(^^;)
あと後半のシーンでチェンが無抵抗の犯人を有無を言わせず殺害するというのも腑に落ちないですね。

 

監督が変更になって撮り直しをしなくてはいけなかったので、チグハグな部分があっても仕方ないのかなぁとは思います。
他にも多少不自然に感じるところもありましたが、私は楽しめました(*‘∀‘)
逆にそんなバタバタしてた中でこの水準の作品を完成させるのって凄い。

 

KUNGFU TUBEさんのサイトで本作を詳細に検証されていて、とても参考になって面白かったです(^-^)
撮り直しをして髪型や衣装や小道具が変化しているので、興味のある方は鑑賞の際に探してみてください☆

 

未公開シーンではチェンとカウンセリングの先生の様子が描かれていました。
でもテニスのシーンとかちょっと謎。どういう状況??
今回の作品の仕上がりから鑑みると、あまり必要ないシーンかも。