港片迷阿欣

大好きな香港映画の感想を書いているブログ(ネタバレあり)

コールド・ウォー 香港警察 二つの正義

コールド・ウォー 香港警察 二つの正義

原題 寒戰

製作 2012年

★★★★

 

梁樂民(リョン・ロクマン)、陸劍青(サニー・ロク)共同監督によるサスペンスアクション作品です。
脚本もお二人が担当されています。

 

旺角で爆発事件が起こり、ほぼ同時期に飲酒運転事故の処理をしていた衝鋒隊と連絡が取れなくなり、隊員が乗っていた車両ごと行方不明になります。
執行部のリー警視副総監(梁家輝)は同時期に起きた二つの事件には関連があると睨み、ツァン警視総監(王敏德)が不在のためリーが臨時の警視総監として指揮を執り、非常事態宣言をします。

 

管理部のラウ警視副総監(郭富城)と警視正のヴィンセント(錢嘉樂)は臨時捜査会議に出席し、警視正アルバート(林家棟)と飛虎隊指揮官のマイケル(安志杰)から事件の経緯を聞きます。
衝鋒隊の車両が行方不明になった後に匿名で警察に電話があり、電話の主は車両と武器そして隊員5人を人質にして身代金を要求しています。
人質にされた隊員の中にはリーの息子であるジョー(彭于晏)も含まれていました。
リーは早急に事件を解決させるために「コールド・ウォー作戦」を発令します。

 

息子のジョーが人質にされて気が急いているリーは綿密な計画を立てずに行動を開始します。
情報システム部統括部長のトウ(尹子維)の協力を得て青衣の造船所に突入した捜査員たちは乗船していた船員の身柄を拘束します。
船員たちは人身売買を行っていた犯行グループでしたが、今回の事件との関連はありませんでした。

 

ラウはリー親子が今回の事件に関与しているのではないかと疑い、ロク保安局局長(劉德華)に身辺調査の資料を求めます。

 

警視総監宛てに不審な荷物が届き、爆弾処理班が開封すると小包の中には携帯電話とメモリーカードが入っており、メモリーカードの動画ファイルには人質にされたジョーの映像が収録されていました。
警察内部の犯行も疑い、捜査員リストも洗い出します。
リーは最悪の事態を想定して身代金を多く用意することにします。

 

拘束されていた衝鋒隊のウォン(韋家雄)が解放されますが、リーは非常事態宣言レベルを引き上げます。
広報課責任者のフェニックス(楊采妮)は捜査を公にしようとしないリーに対して市民に公表するべきだと訴えます。
私情を持ち込んで冷静な判断が下せなくなることを懸念したラウはリーに捜査から手を引くように要求します。
リーは要求を拒みますが、海外にいるツァン警視総監から連絡が入るとやむなく臨時指揮官の解任を受け入れます。

 

ラウがコールド・ウォー作戦の指揮を執ることになり、非常事態宣言を解除し、市民の安全も考慮しながら捜査を行います。
ラウはロク局長から取り寄せた資料に目を通した後に資料を廃棄します。

 

電話で犯人との交渉が続き、犯人側は身代金の減額を要求します。
九龍湾金庫責任者のガイ(何華超)は使わない現金が出た際には速やかに返却するように求めており、ラウは余った現金を輸送車で送り返すよう指示します。

 

ラウ自らが現金の受け渡しに向かい、犯人の指示通りに動きます。
犯人は警察が現金に仕掛けた発信機を見抜いており、ラウは犯人が警察関係者である可能性が高いと確信します。

 

ラウは高速道路でタクシーから無理やり下車すると、犯人は現金の入ったカバンを高架下に投げるように指示します。
すぐにヴィンセントが率いる捜査員たちが駆けつけますが、ラウはワゴン車に乗った男たちに銃撃されます。
ラウとヴィンセントは応戦しますが、運転操作を誤ったヴィンセントが重体となり、その後亡くなります。
犯人は輸送車を襲撃し、返却した金を強奪して行方をくらまします。

 

最初に解放されて意識不明だったウォンは死亡しますが、人質にされていた衝鋒隊のジョー、チェン(陳嘉輝)、リョン(李天翔)、サム(鄭欣宜)の4人は無事解放されます。
リーは息子のジョーや隊員たちが無事だったことに安堵します。

 

犯人の消息がつかめない中、警察署に廉政公署調査主任のビリー(李治廷)が現れます。
匿名の密告によりビリーは今回の作戦で指揮官だったリーとラウを疑っており、余った金を輸送車で返却するように指示したラウに汚職の疑いがあると通告し、ラウの取り調べを行います。
しかし確たる証拠がないためラウの不正を立証することはできません。

 

ラウは金庫責任者のガイを呼び出して現金を用意した日のことを尋ねると、ガイは現金返却の指示は出していないと答えます。
話が終わって店の外に出ると、ガイは車に仕掛けられていた爆弾によって命を落とします。
その後、アルバートの話によってヴィンセントが金に困っていたことが発覚します。

 

なんとしてもラウの不正を立証させたいビリーは廉政公署執行部長のマック(徐家傑)の懸念を振り切り証拠集めに奔走します。
ビリーはリーの取り調べも行い、警視総監の座に就くためにラウに罪を着せたのではないかと追求しますが、リーは否定します。

 

ラウはリーを呼び出し、ガイが爆死した時に使用されていた火薬の成分が明らかになったと伝えます。
犯人がヴィンセントとガイに罪を着せて事件を闇に葬ろうとしていることを察知し、このままでは犯人を特定できないと判断したラウは犯人を炙り出すために廉政公署に密告して密かに捜査を続けていたのです。
ラウは監禁されていた衝鋒隊の衣服を鑑識に回し、ジョー以外の隊員たちは一種類の土だけ検出されたのに対し、ジョーの衣服からは薄まった土も検出されます。
ジョーが監禁された現場に2回以上訪れていることが証明され、犯行グループの一員だということが明らかになります。

 

爆発に使用された火薬は花火に使われるもので、免許を持つ者は限られます。
犯行に関わった免許を持つ花火師を特定し、飛虎隊は犯行グループが潜伏するビルへ突入します。

 

ジョーの仲間である元組織犯罪課のチャン(文峰)は仲間の裏切りを知ると事件の真相を暴露するために電話でアルバートをビルの屋上へ呼び出します。
チャン率いる犯行グループと飛虎隊が衝突し、次々とチャンの仲間たちが負傷します。
アルバートが屋上へやって来ると、駆けつけた飛虎隊指揮官のマイケルはチャンとアルバートを射殺します。
チャンは死ぬ前に爆弾の起爆スイッチを作動させ、マイケルは爆発に巻き込まれて死亡します。

 

事件の首謀者であるジョーの目的は父親のリーを警視総監にするためにラウを陥れることでした。
狡猾なジョーは口封じのために仲間だったチャンやマイケルも裏切り、わざと現場に火薬成分を残して手を汚すことなく目的を達成させようとしています。
ラウから事件の真相を聞いたリーはジョーを問い質すとジョーはあっさり犯行を認めます。
リーはジョーに銃を差し出すとジョーがリーの銃を手に取ったため、待機していた部隊がジョーを狙撃します。

 

ツァン警視総監とリーは早期退職し、ラウが次期警視総監となります。
事件は解決しましたが、ラウの元に匿名で電話が入り、収監されているジョーの解放を要求されます。
狙撃されたジョーは一命を取り留めていました。

 

続く。

 

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骨太な作品で面白いです(*‘∀‘)
続編がありそうな終わり方ですが、続編あります!
後半は警察内部の争いに焦点が当てられていてハラハラドキドキ♪
人物描写に重点を置いていますが、アクションシーンもあってメリハリがあります。
アクションシーンは作風から乖離しないようなバランスで作られているのが良いですね(*‘∀‘)
アクション監督はベテランのお二人、錢嘉樂(チン・カーロウ)と黃偉輝(ウォン・ワイファイ)なので安心して観れます。
カーロは劇中で役者としても安定の存在感。
本作で亡くなる役なので続編の劇中では登場しませんが、引き続きアクション監督を担当されています。

 

カーファイさんはさすがに演技力が卓越していますね( ゚Д゚)
黑社會で大D役を演じた人と同じとは思えない!!
演技の振り幅が(いい意味で)えぐい。
本当に素晴らしい役者さんです。
ラウとリーが言い争うシーンは見どころの一つなのですが、カーファイさんのあの演技で来られたら相手は大変ですね(;^_^A

 

イケおじすぎる城仔(アーロン・クォック)に惚れた(*´Д`*)
若い時もめっちゃイケメンだけど、今回あまりにも魅力的で渋い大人の男性になっていてハートを奪われました(*´з`*)
ちなみに華仔が保安局局長の役で友情出演しています♪
四大天王好きな方にとっては嬉しいシーンかも(*‘∀‘)
てか華仔も年齢の割には若いなぁ。

 

登場人物の役職名はできる限り原語から翻訳した時に日本の役職に近い形で記載してみました。
なので日本語字幕と一部相違があります。
例えば「警務處處長」という役職は日本でいう「警視総監」にあたります。
そういえば今回の警視総監役は王敏德(マイケル・ウォン)でしたね。

 

廉政公署(汚職捜査機関)の執行部長役を務めた徐家傑(アレックス・チョイ)は本当に廉政公署で働いていたそうです。
やたら貫禄のある雰囲気の方だと思っていたら本物だったのね(;^_^A

 

身代金受け渡しに利用されたタクシーの運転手かわいそうだったなぁ(;'∀')
銃で撃たれるわタクシーは廃車になるわ、踏んだり蹴ったり…。
にしてもジョーはラウを引きずり下ろすためにあそこまでやるかって感じですよね。
執念がすごい(;'∀')

 

しっかりとした作りで楽しめる作品ですが、事件解決に進むフェーズや安志杰(アンディ・オン)演じるマイケルが犯行グループの仲間だと判明するのはちょっと唐突だった気がするかも。
マイケルは序盤で登場してしばらくずっと出てこないからすっかり存在を忘れていたよ(^^;)

 

あと言葉で説明するのが少し多いような気がするかな。
今回は広東語を理解する前にまず日本語すらも難しかった(^^;)
組織の仕組みなどリアリティがあって良いと思うのですが、映画を鑑賞する人の多くは私も含めて警察の専門家ではないので、専門的なことを言われても正直よく分からないんですよね。
他の作品と比較するのはナンセンスですが、無間道は難しい用語がそんなに多くなくても警察や黒社会の内情や緊迫感を見事に表現していますし、ひとつひとつのシーンが強く印象に残ります。
フィクションであっても納得させられ、作品に説得力があります。
寒戰もセリフがもう少し簡易的でもよかったかもしれません。