港片迷阿欣

大好きな香港映画の感想を書いているブログ(ネタバレあり)

トリック大作戦

トリック大作戦

原題 整蠱專家

製作 1991年

★★★★★

 

王晶(ウォン・ジン)監督のコメディ作品です。
クレジット表記の順番が最初に来るのはアンディ・ラウなのですが、本作はチャウ・シンチー作品といってもいいかと思います。

 

会社員のギッ(劉德華)は新しく人事部に就任してきたロッイー(關之琳)と恋仲になります。
二人は付き合うようになりますが、ロッイーは社内視察のために社員になりすました社長令嬢だったのです。
ロッイーに好意を寄せている同僚のカム(李子雄)は二人の仲を引き裂くためにあらゆる手段を使って相手に嫌がらせをする詐欺師のジン(周星馳)に依頼をします。

 

ジンはギッに近づくためにギッの父親であるチェー(吳孟達)に接触し、チェーの隠し子になりすましてギッと対面を果たすジンですが、弟を名乗るジンを疑うギッは血縁関係の証明を要求します。
ジンはあらかじめ用意しておいた血液を使ってギッを騙し、すっかり本物の弟であることを信じたギッは弟を疑ってしまった罪悪感を払拭するため、ジンの就職先を斡旋します。

 

ジンはギッと同じ会社で働くことになり、ギッは同僚のバナナ(邱淑貞)とロッイーに弟のジンを紹介しますが、ジンはバナナをからかって怒らせてしまいます。
ギッはバナナの誕生日にプレゼントを用意して彼女の機嫌を取るようにジンに促しますが、アメリカにいる恋人から電話で別れを告げられたバナナはショックを受けて泣き出します。
気晴らしにジンたちはバナナをディスコへ連れて行きます。
しかしこれも全てジンの作戦です。

 

ジンは体に入れ墨の模様がつくように細工した服をギッに着せ、ディスコで客に絡んで騒ぎを起こします。
警察沙汰にしてギッの偽の入れ墨をロッイーの父親であるチェン社長(鮑漢琳)に見せて不信感を抱かせる策略です。
しかしギッを信頼しているチェン社長には効果がありませんでした。

 

カムは強引にロッイーを映画館へ誘い、カムと結託しているジンはギッを連れて映画館へ行きます。
事前にジンは薬局で媚薬を購入し、ギッの下着に痒みを誘発する薬を散布します。
これらを使ってロッイーの前で恥をかかせて嫌われるように仕向けます。
またもジンの思惑は外れ、ギッがロッイーへの愛する気持ちを伝えたことで二人の仲はいっそう深まります。

 

重要な商談の日、ジンはギッに同行します。
ジンはチェン社長とギッのお茶に下剤を仕込んで退席させ、取引相手の吉村(江道海)を脅迫すると、チェン社長は取引相手を脅したジンを解雇します。
ギッは責任を感じて辞職を申し出ると、定年間近だったチェーも息子の不祥事の責任を取って会社を辞めます。
カムの依頼通りにギッを会社から追い出すことに成功し、ジンの任務は完了です。

 

任務を終えたジンは家を出て行きますが、自分を本当の家族として優しく迎えてくれたチェーとギッに対してわずかに情が湧きます。

 

会社の内線でジンとカムの会話を偶然聞いてしまったバナナがジンを問い詰めると、ジンは詐欺師であることを認めます。
バナナはチェー親子を騙して失職させたジンを非難し、彼女に説得されたジンは底意地の悪いカムに仕返しをすることにします。

 

ジンは自分が本当の息子ではないことをチェーに告げると、チェーは落胆しながらも納得してくれますが、騙されたことにショックを受けたギッは家を出て行きます。
さらにロッイーが社長の娘だと知ったギッは彼女にも騙されていたことを知り、ロッイーと口論になります。

 

ジンは本職である会社の事務所へチェーを連れて行くと、ジンと同業のトリック大王(程東)がジンたちの前に姿を現します。
カムはチェー親子にとどめを刺すために新たな詐欺師のトリック大王に依頼をしていました。

 

ギッと喧嘩別れしたロッイーはカムと婚約することを決断し、バナナから婚約の話を聞いたジンはカムを倒すための秘密兵器を用意します。
ジンとチェーは人間不信になったギッを何とか説得し、カムとロッイーの婚約パーティーが行われる会場へ向かいます。

 

ジンたちの侵入に気づいたカムはトリック大王に頼んで一掃しようとしますが、ジンは嫌がらせアイテムを使ってトリック大王を翻弄します。
その間にギッは軟禁されているロッイーの救出に向かい、改めて彼女に愛する思いを伝えます。

 

筋肉増強剤を飲んだギッはトリック大王の手下を次々と倒していきます。
ジンは秘密兵器を駆使してトリック大王と一進一退の攻防を繰り広げ、筋肉硬化剤や強力糊を使ってトリック大王の動きを封じ、飛び出すパンチとバズーカでトリック大王を仕留めます。
筋肉増強剤で強くなったギッから逃げて来たカムはロッイーに助けを求めますが、ロッイーはカムをあしらってギッと仲直りします。

 

ジンの勇姿にすっかり心を惹かれたバナナから結婚を迫られたジンは母親に結婚の相談をしたいと言います。
するとジンの母親がチェーの愛人だったことが発覚し、結果的にチェーとジンは本当の親子だということが判明するのでした。

 

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あ~笑った(^O^)
楽しくて大好きな作品です♪♪
トリック大王との戦いがしょうもないんだけど、面白すぎます( *´艸`)
感電バナナとか供述アンパンとか様々な道具が飛び出すのですが、あんな小さいケースにバズーカは入らないでしょ(笑)

 

開始早々フィオンさんがえらい目に遭っています( ;∀;)
友情出演であの仕打ち…(;´∀`)

 

李子雄(レイ・チーホン)はヒール役が本当に似合うなぁ(褒めてます)

 

私が子供のころは血縁関係を調べるのにまだDNA鑑定が一般的ではなかった時代です。
昔って正確に親子関係を証明することって難しかったんだろうなぁ。
最後に登場するジンの母親役がシンチーの一人二役(笑)
てかチェーはあちこちで愛人作ってんな(;'∀')

 

チャウ・シンチーといえば軽妙な語り口が大きな魅力のひとつですが、原語(広東語)ではいったいどんな表現をしているのか気になった言葉をピックアップしてみました。
基本的に広東語は日本語字幕で表現されているより口が悪いです(^^;)
例えば日本語字幕で「デスクまで案内しろ」と表記されている部分は原語をそのまま訳すと「デブ、何見てんだよ?俺の席は?」だったりします(;´∀`)

 

原題の「整蠱專家(チェンクーチュンカ)」の「整蠱」には「人をからかう・人にイタズラをする」という意味があります。
「專家」は「専門家」という意味です。
程東演じるトリック大王が図々しくジンと同じビルに会社を開くというシーンがありますが、トリック大王の原語である「整蠱之霸(チェンクーチーパー)」の「霸」には「占拠する・図々しい」などのニュアンスがあります。

 

ジンは自分のことを「イケてる詐欺師」と自負しているのですが、「イケてる」って原語でなんて言っているんだろうと耳を澄ませてみると、「玉樹臨風(ヨクシューラムフォン)」と言っていました。
「容姿が良い(男性に対して)」という意味で、調べてみると中国の詩人、杜甫の成語だそうです。

 

ジンが薬局で購入した媚薬の名称ですが、日本語字幕では「どうにも止まらない」となっていました(山本リンダか~い!)
原語では「淫賤不能移(ヤムチンバッナンイー)」で、意訳すると「淫らな気持ちが止まらない」といった感じでしょうか。
孟子の言葉で「貧賤不能移(貧しくても動じることなく)」という成語があるそうなのですが、ここから拝借しているんだろうなぁ(´∀`)

 

ジンがトリック大王にあんぱんを食べさせられて早口でしゃべるシーン。
実はこのシーンは今の香港では放映できないであろうセリフが含まれています。
日本語字幕では訳していませんが、天安門事件当時に報道官を務めていた袁木(ユアン・ムー)を称えるようなセリフを口にしています。

 

トリック大王との戦いの時にジンが1月15日までに決着をつけるというセリフがあるのですが、きっとこの日付にも何か意味があると思うのですが、ちょっとこれは分からないですね。

 

シンチーはデッドパンなので視覚的なギャグも本当に面白いんですよね( *´艸`)
本作では華仔とシンチーがキスをするという衝撃のシーンがあるのですが、キスした後のシンチーの表情が最高(笑)
賭神の恰好をしているシンチーが普通にかっこいいわ。
※賭神のパロディで「眼神」だそうです。
裸のスーツは一瞬本物の裸かと思ったよ(;^_^A
視覚的なギャグが多すぎてここではツッコミきれん!!

 

香港版ではジンとチェーが落ち込んでいるギッを元気づけるシーンがカットされていて、台湾版ではカットされたシーンを観ることができます。
あと香港版と台湾版ではセリフの意味や漢字表記などが若干異なります。