港片迷阿欣

大好きな香港映画の感想を書いているブログ(ネタバレあり)

少林寺列伝

少林寺列伝

原題 少林寺

製作 1976年

めぐちゃんの満足度 ★★★★★

 

本年もよろしくお願いいたします(^-^)
今年最初のレビューは張徹(チャン・チェ)監督によるスペクタクルカンフーアクション作品「少林寺列伝」です。
午馬さんが共同監督を務めています。

 

清王朝時代。
サイヨ(傅聲)、ワイコン(戚冠軍)、ヘイクン(韋弘)の三人は少林拳を学ぶために少林寺へやって来ます。
しかし少林拳は門外不出の武術であり、易易と入門することはできません。
復讐を固く誓ったサイヨたちは入門を認められるまで少林寺の門前で待ち続けます。
清の暴政を危惧した方丈(顧文宗)は少林拳を民間に伝承するべきだと判断し、厳しい修行に耐えられる者に限って入門を認めることにします。
かくして入門を許されたサイヨ、ワイコン、ヘイクンには厳しい修行が待ち受けます。

 

反清復明を掲げるダッチョン(狄龍)、ダイホン(王鍾)、チウヒン(劉永)、ダッタイ(姜大衛)、セッホイ(岳華)、フォッイー(王龍威)の六人の武将たちはさらなる武術の向上のために少林拳の習得を目指します。
ダッチョンの幼なじみであるウィンチョン(施思)は六人を少林寺へ案内し、方丈と顔なじみの六人はすんなりと少林寺の入門を許されます。

 

サイヨとワイコンは厨房の仕事を命じられます。
実直なワイコンは厨房の仕事をしながら少林十形拳を稽古し、腕を上げていきます。
雑用ばかりでなかなか少林拳が習えないことに痺れを切らしたサイヨは六人の武将たちが修行をしている房を訪れて様子を見学しますが、すぐに厨房に呼び戻されます。
厨房の大師(郝履仁)が片手で炊飯用の薪を割るのを見たサイヨは薪割りが虎拳の修行になっていることを悟ります。

 

新たに入門を希望する若者たちが門前で待ち続けますが、空腹に耐えきれず脱落していきます。
そんな中、チョンホン(李藝民)、トウ(唐炎燦)、クォンイウ(郭追)の三人が新たに入門を許されます。
チョンホンは厨房での飯炊き、トウとクォンイウは経蔵での修行を命じられます。
トウは経典を石の梅花樁に干す作業を繰り返し、クォンイウは脚に重りをつけてひたすらその場を飛び続けます。

 

食事が終わるとサイヨは仲間たちと共に六人の武将たちの稽古を覗きに行きます。
フォッイーに見つかって挑発されたサイヨは彼と手合わせをしますが、腕の立つフォッイーには敵いません。
サイヨは真面目に修行に励んで再びフォッイーに勝負を挑みますが勝つことができません。

 

ある晩、サイヨは虎鶴雙形の動きをする人物を目撃し、動きを見て真似をします。

 

夜が更けるとワイシン大師(山茅)はこっそり寺を抜け出します。
ワイシン大師が向かった先はムンクワイ司令官(谷峰)の屋敷で、なんとワイシン大師は清の密偵で、少林寺で起こっていることを逐一ムンクワイ司令官に報告していたのです。
少林拳がいずれ朝廷の脅威になることを恐れているムンクワイ司令官は少林寺を壊滅させようと企んでいます。

 

ダッチョンとダッタイは屋敷から戻って来たワイシン大師を見かけると不審に思って追いかけようとしますが、ンムイ大師が二人を制止します。
ンムイ大師はダッチョンとダッタイに武術を伝授するかわりにサイヨを無事に寺から連れ出してほしいと頼みます。

 

経典を石の梅花樁に干す作業を繰り返し行っていたトウは干した経典を破らずに梅花樁の上に立つことができるようになり、階段を使わずに上の階に飛び上がれるほどの跳躍力を習得していました。

 

一方、虎鶴雙形の稽古を続けたサイヨは見違える動きでフォッイーを圧倒します。

 

フォッイーは五人の武将たちと違って忠誠心が弱く、これに目をつけたワイシン大師はフォッイーを仲間に誘いこみます。

 

鎖に繋がれながら棒で粥を混ぜる仕事を二年間続けたチョンホンはようやく方丈に呼び出され、ムンユー僧侶(趙岡生)が直接チョンホンの相手になります。
厨房の仕事でチョンホンの棒術も見違えるように上達していました。

 

少林十形拳を極めたワイコンは下山を考えていますが、木人路を突破できるかどうか懸念しています。
サイヨとワイコンが木人路に挑戦することを知ったワイシン大師は二人を始末する絶好の機会だと企みます。

 

木人路の中は道が分かれており、サイヨとワイコンは二手に分かれて進みます。
ワイコンが進んだ先は行き止まりで引き返そうとしますが、ワイシン大師が現れてワイコンを襲います。
木人路に挑戦する合図を聞いたダッチョンたちが駆けつけ、裏切り者のフォッイーがサイヨを襲います。
ダッチョンたちはフォッイーを制止し、その隙にサイヨは逃げます。
駆けつけたチョンホンたちがワイシン大師と戦い、その間にムンユー僧侶がワイコンを逃がします。
その後サイヨとワイコンは合流し、二人は下山に成功します。

 

サイヨたちの逃亡に加担した罪でフォッイー以外の門下生たちは罰を受けます。
その間もひたすら軽功の修行を続けていたクォンイウは驚くべき跳躍力を身につけます。

 

ムンクワイ司令官は少林寺の焼き討ちを企て、ワイシン大師は僧侶たちの動きを止めるために井戸に毒を仕込みます。

 

多くの清兵が通過するのを目撃したサイヨとワイコンは捕まえた兵から少林寺の攻め入りを聞き出すと急いで少林寺へ戻って方丈に伝えます。
ワイシン大師が僧侶たちを次々と切りつける姿を見たサイヨはワイシン大師が裏切り者だと確信します。

 

清兵が少林寺に侵入すると、戦うことができない方丈は逃げのびて少林拳を継承するように弟子たちに託します。
グー将軍(鹿峰)を筆頭に清兵が次々と押し寄せ、幹部たちが少林僧を攻撃します。
ムンユー僧侶はグー将軍に胸部を切られると一時退散しますが、フォッイーにとどめをさされて絶命します。
ダッチョンたちは裏切り者のフォッイーとワイシン大師と戦います。
追いつめられたフォッイーは逃亡しますが、ダッチョンとダッタイはフォッイーを執拗に追います。
ダッチョン対フォッイーの接近戦の末にダッタイが三節棍をフォッイーの腹部に突き刺して倒します。

 

クォンイウはグー将軍と戦うワイコンに加勢。
追いつめられて自ら死を選ぶ少林僧たちも現れます。
トウやチョンホン、ダイホン、チウヒン、セッホイは協力してワイシン大師と戦います。
ワイシン大師は武器の鏟でチョンホンの腹を突き刺すと、瀕死のチョンホンはワイシン大師の鏟を奪い反撃します。
サイヨと連携してワイシン大師を倒すチョンホンですが、腹の傷が致命傷となりチョンホンは命を落とします。

 

ヒン将軍(王青)はトウを追いつめますが、梅花樁では軽功を極めたトウが圧倒的に有利です。
トウは身動きの取りづらい梅花樁に苦戦するヒン将軍を倒しますが、清兵の放った矢によって命を奪われます。

 

クォンイウは軽功でグー将軍を翻弄しますが、このままでは勝ち目がないと悟ったクォンイウはグー将軍を引き込んで清兵の槍に突っ込んで共倒れとなります。

 

弓部隊によって少林寺に火が放たれると、サイヨはドー将軍(蔡弘)を倒して少林寺から脱出します。
少林寺を後にしたダッチョン、ダイホン、チウヒン、ダッタイ、セッホイは反清復明活動を続け、サイヨ、ワイコン、ヘイクンはいったん故郷へ戻ることにするのでした。

 

傑作です!!
ショウブラスター大集結!!
嗚呼、なんて贅沢な作品なのでしょう(*´▽`*)
形式的には傅聲(フー・シェン)が主役ということになるので、狄龍様やデビチャがまさかの助演!!
な、なんという贅沢な使いかた(;゚Д゚)

 

五毒メンバーも出演されています(*^^*)
郭振鋒(フィリップ・コク)と江生(ジャン・シェン)が五毒メンバーの中で出番が多いかな。
フィリップ・コクの宙返りが軽やかでとても綺麗です。
軽功を修行する青年の役なのですが、あの宙返りをみると作品に説得力が出ますよね。
そして可愛い可愛いジャン・シェン♪
てへぺろ♪にはキュンとしたぜ(*´ω`*) 
もちろん可愛いだけではなくカンフーアクションは折紙付!
本作では本名の「趙岡生」の名前でクレジットされていたので準じて表記しました。

 

鹿峰(ルー・フェン)はやっぱり悪役なのね(^^;)
ちなみに鹿峰さんが演じる「グー・ベイツ」というのは名前ではなく清朝時代の称号なのですが、あらすじでは分かりやすくするために「グー将軍」と表記しました。
羅莽(ロー・マン)、韋白(ウェイ・パイ)は修行僧役で少しだけ拝見することができます。
孫建(サン・ジェン)はまだ映画デビュー前なのでお姿は拝見できず…。
五毒メンバーではありませんが、黎強權(ベニー・ライ)や陸劍明(ジェイミー・ロク)などの姿もありました。

 

岳華(ユエ・ホア)が張徹監督の作品に出演されているのが珍しいなぁと思いました。
でも大好きな役者さんなので嬉しい(*^^*)

 

フー・シェンがとても愛らしいのです(*´ω`*)
基本的にシリアス調な作品なのですが、時折垣間見えるフー・シェンのコミカルな演技がほっこり和む♪ジャッキーみたい(^O^)
でも作品の雰囲気を壊さないように絶妙な塩梅なのがGOOD!!

 

そんなフー・シェンとは対照的に硬派な役柄の戚冠軍(チー・クワンチュン)。
サイヨたちが仲間同士で笑っていても硬派なワイコンは決して笑わないんですよね。
この演出がもうたまらん!!!
ワイコンが眠そうなサイヨの手を引くシーンが個人的には凄く好き(*^^*)
チー・クワンチュンは体が美しすぎるぞ(*´Д`)ハァハァ
ブルース・リーのような鍛え抜かれた細マッチョ、あれは見惚れてしまうわよ。
精悍な顔立ちも好み~♪
本物の武術家で洪家拳に精通していたので劇中での南派少林拳も美しいっすな。
ちなみに「戚冠軍」は芸名で、「冠軍(グンクワン)」は「チャンピオン」という意味なのですが、カンフーで優勝経験があるほどの実力者だからつけられた名前なんですかね??

 

そしてわたくしの本命である狄龍様もとても美しく、そして上半身も拝めたので余は満足じゃ(*´∀`*)ウフフ
詠春拳メッチャかっこよかった~!!
今回狄龍様とデビチャが助演という立ち位置でしたが、そんな中でも少林五祖(+1)の中で狄龍様とデビチャだけ登場時の衣装の色が異なっていましたね。
狄龍様が赤系で、デビチャが青系、そして他の4人は山吹色のような衣装でした。
やはりショウブラの二大スターなので、特別扱い??

 

張徹監督にしては残酷描写が控えめですが、ほとんどセット内で撮影をしているのにこれだけのスケールの作品が撮れるって本当にすごい。

 

本作の役名は広東語の読み方で記載しました。
香港映画が好きな方でしたら馴染みがあるかと思いますが、劇中に登場する反清復明を掲げる蔡德忠、方大洪、馬超興、胡德帝、李式開の五人は洪門(天地會)の創始者といわれている少林五祖(洪門五祖)と呼ばれる方たちです。
本作の続編的な作品で少林五祖の活躍を描いた「続・少林寺列伝(少林五祖)」がありますが、実は「続・少林寺列伝」のほうが公開年が先だったりするのでややこしい(;^_^A
あと配役が少し異なります。

 

少林五祖なのに王龍威(ワン・ロンウェイ)が演じている「馬復儀」って誰??という疑問が湧いて調べてみると、おそらく「馬儀福」という人物である説が有力。
(違っていたらご指摘ください)
劇中と同じように少林寺で修行をした手練れですが、素行が悪かったらしいです。

 

そして方世玉、胡惠乾、洪煕官もカンフー作品でよく題材になる英雄で、少林十虎として数えられる武術家です。
ただ方世玉が実在したと思われる有力な資料は存在せず、方世玉は想像上の人物である可能性が高いそうです。
少林十虎のメンバーは洪熙官、方世玉、方美玉、方孝玉、胡惠乾、陸阿采、劉裕德、童千斤、李錦倫、謝亞福です。

 

施思(シー・スー)演じる嚴詠春はイップ・マンでおなじみの詠春拳の武術家です。
嚴詠春の師匠は詠春拳創始者である五枚大師だといわれていますが、劇中では五枚大師が狄龍様演じる蔡德忠に詠春拳なるものを伝授していましたね。
詠春拳の起源については様々な説があるので伝説的な部分も多いのですが、忠実さにこだわらず創作を楽しむのも良いのではないでしょうか(^-^)